オレはどうやら彼女に恋をしていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
オレは任務で偽装家族をつくった。娘のアーニャ、妻のヨル、ペットのボンド。最近はそれなりに距離も近くなり、傍から見たら本物の家族に見えるだろう。
そんなオレの最近の悩みはヨルさんだ。
ヨルさんといるとどうしても調子が狂ってしまう。いつもの〈黄昏〉のように冷静ではいられなくなってしまうのだ。
そんなことも露知らず、今日もヨルさんとアーニャとテーブルを囲み朝食をとる。
オレは何故かヨルさんから目が離せずにいた。
しかしヨルさんに気づかれたら逸らしてしまう。
オレはどうしたのだろうか。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
その日、オレはたまたま表向きの精神科医の仕事が早く終わり、家に帰った。
することも無いから洗濯物でも畳むか、と思ったところ、アーニャが帰ってきた。
「あーにゃきかんしたー」
「おー、手洗いしてこいよー」
というと、「うぃ」と適当な返事で返した。
それから数時間後、やけにヨルさんの帰りが遅い。オレは少し心配になってしまった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
更に時間はすぎ、アーニャはもう眠ってしまった。時計の針は12時を過ぎようとしている。
オレは浮気でもしているのかと思ってしまった。そう考え出すと胸の当たりがモヤモヤする。初めての感覚だ。
すると、玄関のドアが開いた。
ヨルさんが帰ってきたのだ。
「あら?ロイドさん起きていらしたんですね」
と、笑顔で言った彼女を見るといつも以上に綺麗な格好をしていた。オレの知らない彼女がそこにいた。
何故かチクッとした感覚とともに心拍数が上がった。
「お疲れ様です どこかに行かれたんですか?」
と言った時の顔がいつもよりも笑えてないのが自分でも分かる。本当は聞きたくはない。
「あ… 少し用事がありまして」
と、あやふやな返しをされた。
オレは一気に嫌な気持ちと不安が込み上げてきてしまった。格好から見るに、仕事ではなかったようだ。
とりあえず落ち着こうと、〈黄昏〉モードになった。明日様子を見て考えよう、とその日は自分の寝室へ戻った。
だが、なかなか寝付けなかった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
次の日も仕事が早めに終わったので、家に帰った。
昨日と同じような時間を過ごし、またヨルさんの帰りが遅いのを感じた。
やはり浮気だろうか?
少しだけ悲しい気持ちになった。
オレはソファに座り一人で酒を飲んだ。少し眠くなってきた。珍しく酔ってしまったのか?
するとヨルさんが帰ってきた。
「今日も起きてらしたのですね」
昨日とは違う姿。だが綺麗だ。オレは酔った勢いで彼女に聞いた。
「ヨルさん 浮気、してるんですか?」
ヨルさんは目を丸くしていた。
驚かせてしまったのか?
ヨルさんは何も応えなかった。そういう事か、と思い、気づけば涙が出てきそうになった。
胸がチクチクと痛む。
「ロ、ロイドさん!?どうされました?」
その優しい彼女の声でまた、更に涙がこぼれそうになる。
「…」
オレは黙ってヨルさんを見つめた。赤い瞳と少し困ったような顔、艶やかな黒い髪、全てが愛おしいと思った。
そうか。オレはヨルさんに恋をしていたんだ。
こんな時に気づくなんて思わなかった。苦しくて気が狂いそうだ。
「ほんとにどうされました?」
ヨルさんが再度聞いてくる。こっちの気も知らないで。少しだけ悔しくなり、彼女の唇を奪った。
「ん!?」
オレは1回の口付けでは足りなかった。何度も何度も。オレの気持ちが伝わるまで。
口をつけるだけでは足りなくなり、ヨルさんの無防備な口の中へ舌を入れた。
舌を絡めたりヨルさんの弱い上顎の部分を優しく撫でた。
ふと顔を見ると今にも溶けそうな顔をしていた。
「ろ、ろいどしゃん…」
オレはその顔を見て理性がぐらついた。
これ以上はダメだと思い一旦やめた。彼女はオレの顔を見て、
「ロイドさん!私浮気なんてしてないんです!」
と少しばかり大きな声で言った。
オレはキョトンとした。たしかにまだ話を聞いていなかった。
「カミラさんたちと、その…お話してたんです ロイドさんのことについて…」
ヨルさんは少し恥ずかしそうに言った。
オレは目を丸くした。
「私実はロイドさんが好きなんです!」
と頬を朱に染めながら言った。
するとその瞬間、ヨルさんから唇を奪われた。
オレはびっくりしたが、ヨルさんに求められたのが嬉しくて何度も何度も口付けをした。
本当に愛おしいと思える人とのキスはこれほどまでに幸福感と緊張感があることを初めて知った。このままでは理性が保たない。
やめようとした時、ヨルさんはオレを離さなかった。プツンと切れてしまった理性を抑えることは出来ない。
そのままヨルさんを押し倒した。
明日は休みだ。アーニャとボンドも昼までは起きないだろう。
時間は沢山ある。愛する人との時間。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
おわり
コメント
9件
ええええノベル苦手だったけどこのノベルめっちゃ好き。。。ロイヨル尊いです⸜❤︎⸝
さいこぉぉおおおおお(இдஇ`。) できれば…その…続きを……😇
説明上手くね?