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ワールドトリガー
風間蒼也 様との夢小説
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その日、澪は一日中、胸の奥がざわついていた。
風間さんとは一緒に任務もしたし、特別そっけない態度をとられたわけでもない。
……でも、なんとなく、ずっと冷たい気がした。
口数の少なさ。目を合わせてくれない時間。
いつも通り、を装ってる風間さんに、胸の奥がチクチクと痛んでいく。
(……わたし、何かしちゃったのかな)
(それとも……もう、飽きられちゃったのかな)
理由なんて、きっとどこにもないのに。
でも、風間さんは完璧すぎて、冷静すぎて、時々怖くなる。
「……どうした、澪」
その夜、風間さんが迎えに来た時、澪は声をかけられても笑えなかった。
うまく笑おうとしたのに、喉の奥がぎゅっと詰まって、目が潤んで――
「……っごめん……っ、なんでも、ないの……っ」
その瞬間、風間さんが目を見開く。
「泣いてるじゃないか」
「……っ泣いてない、よ……っやだ、こんなの……っ」
泣いちゃいけない。
もっと強くならなきゃ。
そう思ってたのに――止まらなかった。
風間さんの手が、そっと澪の肩に添えられる。
「……何があった?言ってくれ」
「……風間さんが……最近、わたしのこと……冷たい気がして……っ」
「……わたし、何かした?嫌われちゃったのかなって……っ」
喉から絞り出すように言葉を吐き出すと、
風間さんの腕が、ぎゅっと澪を抱きしめてくれた。
「……そんなわけない」
静かな、でも、絶対的な声。
「俺は不器用だ。気持ちを伝えるのが、得意じゃない」
「でも――お前を想ってることだけは、本当だ。誰よりも、ずっと」
耳元に落ちるその声が、胸をじんわりと溶かしていく。
「……すまない。お前を不安にさせたのは、俺のせいだな」
「でも、嫌いになるなんて、絶対にない。むしろ、どんどん……好きになってる」
澪の頭を抱き寄せながら、風間さんが小さくキスを落とした。
髪に、額に、涙の残る頬に――その全部を、確かめるように。
「……俺がもっと言葉にできたら、お前を泣かせずに済んだのにな」
「……ううん、わたしが勝手に思い込んじゃったの……っ」
「いいんだ。そういうお前ごと、俺はちゃんと愛してる」
しばらくそのまま、彼の腕の中で泣いた。
服が濡れることなんて気にせず、ただただ抱きしめられて。
そして、ようやく涙が止まった頃――
「今日は、このまま、離れない」
風間さんが静かにそう言って、
澪の手を握って、ベッドへと導いてくれた。
ベッドの中、澪の隣で横になった風間さんは、澪の指を優しく絡めたまま言った。
「……これからは、不安になったらすぐ言え。隠さなくていい」
「うん……ありがと、風間さん……」
目を閉じると、手の中にある温もりが、心まで温めてくれた。
「好きだよ、澪。ずっと」
「……わたしも、大好き……っ」
もう、不安なんてない。
眠りに落ちる最後の瞬間まで、
繋いだ手が、澪にそう教えてくれていた。