ワァァァァァァァァァ
響く歓声 響くエンジンサウンド
狭き市街地コースをハイスピードで駆けるドライバー達
その中の一人、赤いマシンと共にライバルを引き離した
その走りはまさに
空港
「準備できたか?」
「OKだよ!」
「大丈夫デース!!」
凱旋門賞に挑戦するローマは、三井とエルコンドルパサーと共にフランスへ行った
機内
「この感覚、懐かしいな」
三井が小学生だった頃、カートで世界に行ったことがあった
「大人になってもその事は忘れていないな」
フランス空港
「着いたー!!」
「到着デース!!」
「ふぅ…」
3人は近くのホテルに向かった
「んじゃ、ローマとエルは同室でいいかな?」
「問題ないよ!」
「ローマとの期間限定の同室デス!」
「荷物とか置いて、その後どっか少し観光でもするか!」
「「やった〜!!」」
3人は少し観光をした
フランスは有名な凱旋門があり、街並みが最高だった
夜
ホテルに戻った3人は、夕食を食べた後、それぞれの部屋に戻った
ローマ エルの部屋
「もしもしスペ先輩!」
『ローマちゃん!フランス無事に着いたみたいだね!』
「エルも一緒デスよ!!」
『エル、向こうでもローマさんに迷惑かけないで下さいよ?』
「グラス、心配ありませんよ!」
『そういえば、凱旋門賞会場はもう行ったの?』
「会場?」
「会場はまだだけど、私からするとすっごく広いデス!」
『確か、すごい服装をした人がたくさんいたような気がする』
「すごい服装?」
キーンコーンカーンコーン
「もう始業の時間か?」
『そうですね、この辺で』
「頑張るよ!!!」
「バイバイみんな!」
『凱旋門賞頑張ってね!』
三井の部屋
「凱旋門賞は、世界のウマ娘達が集う最高峰、日本とは違って桁違いのライバルが現れる。そのためには一体何をしたらいいんだ?!」
地元のフランス、更には香港などのウマ娘達が出場してきた子の凱旋門賞。勝利するためにも何か策を講じなければいけないが、全く分からない
「くそ〜!何をやったらいいんだ!!」
ブーーーーー
電話がなった。しかも非通知だった
恐る恐るかけてみると
『やあ君、スクーデリアローマのトレーナーさんね』
「誰だ君は!」
『私はモンジュー、あのエルコンドルパサーと戦ったウマ娘さ』
「まんじゅう?」
『モンジュー!!間違えないでくれ!』
「失礼!上手く聞き取れなくて」
『全く、君のウマ娘は急遽凱旋門賞に挑むのかい?』
「なんでそれを!」
『友人に聞いたさ』
「友人?」
『ま、凱旋門賞はレベルが高いから、頑張れるんだよ』
「おい、待ってくれよ!」
そういったが、既に切られた
「なんなんだ一体」
エル、ローマ 部屋
2人はぐっすり寝ていた
「「…………」」
「?」
ワァァァァァァァァァ!!!!
「何この歓声?!」
すると
「あれって?」
「すごいな!」
「スクーデリアがトップだ!」
「スクーデリア?私だけど?」
すると、何台かフォーミュラカーが来た
「え?スクーデリアって、これなの?」
爆音と共にハイスピードで駆けるフォーミュラカー。その中のトップは、ローマと同じ赤い色のマシン。
「あの、今トップを走っているのって」
「名前は………」
「ん?」
「ローマちゃん、起きましたね!」
「エル先輩…」
「どうかしました?」
「ううん、なんでもないよ!」
名前が分からなかった
『確かに、あの速さは間違いなくF1マシン。しかも、今と比べて遅かった』
「今のF1?」
「うん、夢の中で走っているマシンが遅かったんだ」
「それって、まだV10の時代かな?」
「V10?」
「V10と言うのは、エンジンの形がVの字みたいなエンジン、今はV型にハイブリッドを搭載したF1なんだ」
「そのV型はパワーを出やすいの?」
「もちろん。スポーツカーにもついている。だけど、費用の面を考慮して、ハイブリッドとV型の仕様になったん。昔はターボ着いてたしね」
「参戦する費用ってどれくらいデスか?」
「100億円以上だな」
「「ひゃ、100億円?!」」
「F1は世界最高峰のレース、技術も進歩してるし、年々速くなってるから」
「その中に選ばれるのは何人デスか?」
「チームは10チーム、ドライバーは20人しか走れない」
「厳しい世界だな…」
「ローマも厳しい世界に挑もうとしてるから、気を引き締めろよ!」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ローマは、トレーニングを行っていた。トレセン学園とは違い、練習環境も違っていた
「はぁ、はぁ、はぁ」
「お疲れ様ローマ、環境違いでも中々いい走りだよ」
「ローマの走り、まさに驚きデス!」
「ありがとう、中々馴染めないけど、頑張れるよ!」
「んじゃ、次は併走、頼むよエル!」
「大丈夫デース!」
1度休息を終え、併走練習
「凱旋門賞と同じ2400にするよ」
「ダービーと同じ距離、大丈夫だよ!」
「ダービーの距離走れるの楽しみデス!」
「あそこからスタートな!」
2人はスタート地点に並んだ
「じゃあ行くぞ!よーいドン!!」
スタタタタタタ
『エル先輩先行だ!』
『ローマ、変わらず差すようデスね!』
「ここでもあの速さはどうなるか」
最終コーナー
『よし、行くか!』
スパーーーーーーン
「何?」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
『ならエルも!』
スパーーーーーーン
ローマとエルは、スパートを切った
だが
「なんで離されるの?!」
エルは抜かされたローマを差し替えそうと思ったが、無敗の三冠の強さだろうか、引き離される
まるで、毎日王冠のサイレンススズカみたいに見えた
「ゴール!!」
「ローマ、速すぎデス!」
「勝つためにも、これぐらい強くないと!」
「2人共お疲れ様、いい練習だよ!」
「ローマ速くて、まるでスズカみたいデス!」
「スズカは逃げの中のトップクラスだからね、さすがの私も差せないよ」
「ハハハ、まぁそうかもな」
そして日が暮れるまでトレーニングを行った
ホテル
ローマ、エルの部屋
「2400、懐かしいな」
「ダービーのことかな?」
「うん、もう1年だよ」
「月日が経つのが早いデスね!」
「あの時、無敗の三冠を目指していたもんね」
「いいなぁクラシック、私も出たかったデス」
「?」
エルコンドルパサーは、外国生まれでもあり、同室のグラスワンダーも同じ外国生まれ。
この時、追加料金を払えばクラシック追加登録はできたはずだった
「私もクラシックに走りたかったデス…グラスとい一緒に走りたかった…」
「…もしエル先輩がクラシックに出ていたら、スペ先輩達と争ってたかもしれませんね」
「もしかしたら、激しい黄金世代が見れたかもしれないデス」
「まぁ、エル先輩の後輩が出来たら、クラシック走れるかも!」
「後輩デスか…出来たらプロレスの技とか教えてあげたいデス!」
「プ…プロレスの技ねぇ…」
『教えないで欲しいな 汗』
「「スゥーーーー」」
ワァァァァァァァァァ!!!!
「ん?」
またサーキットだ
昨日の夢と同じ
「そうだ!トップの人の名前!」
聞きそびれたトップを走る選手の名前を聞くため、ローマは観客に聞いた
「すみません!今トップ走ってるのって誰ですか?」
「今トップは…」
キーーーーーーーーン
「うっ!!!!なんだこれ?!」
突然、名前を言おうとした時、激しい耳鳴りと頭痛が走った
「あぁぁぁあぁぁぁ…」
『ダメだ…頭が…痛い!!』
「…ーマ?!ローマ?!」
「はっ!」
「ローマ、起きましたね!苦しい顔してましたが大丈夫デスか?」
「う、うん大丈夫!」
「怖い夢でも見たの?」
「怖い夢は見てないよ?大丈夫だって!」
「そうデスか…」
さてと、準備っと
ジーン
「うっ…頭が…」
ローマは、昨日見た夢からの症状が正夢になって来ている
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ローマ?!ローマ!!!!!」
「大丈夫ですか?」
「ローマさんは何も病気にはなっておりませんので」
「違いますよ…凱旋門賞出るんですよ!!」
俺は険しい顔で診察した先生に言った
「…症状が分からないとなると、何かを思い出そうとしておるでしょう。しかし、それを思い出すと、何が邪魔をするオーラが来てしまうのでしょう」
「何かを思い出す?」
「トレ…ナ…」
「ローマ、ゆっくりしていろ」
「私…ドライバーの名前が分からない…」
「ドライバーの名前?」
「…私を名付けた、伝説の…ドライバー…」
「そのチーム名はなんて言うの?!マシンは何?」
「それが…分からない…」
「トレーナーさん、今はゆっくりしてあげましょう…」
「…すまないローマ、エル」
「……………」
「トレーナーさん、ローマ大丈夫でしょうか?」
「…凱旋門賞までに治ればいいけど」
「心配デス…」
「あら、暗い顔してどうかなさいましたか?」
「君は…」
「モンジューさん?!」
モンジュー
エルコンドルパサーが凱旋門賞に挑んだ時のライバル。勝ったのはモンジューだが、来日したジャパンカップでは、同期のスペシャルウィークに負けている
「ローマが、体調が優れないんだ」
「確かに、フランスと日本は環境が違う。エルと私は問題なかったが、ローマはそれに慣れていないから優れないと思う」
「ローマは普通にトレーニングをやっていた、けど夢の中でローマが名付けたドライバーが分からなくて…」
「ドライバー?」
「エルも車はあまり知らなくて、レースもあまり…」
「いわゆる幻想の辛さだね」
「幻想の辛さ?」
「夢に出てきたことが本当に症状となって現れる厄介なことさ」
すると
「トレーナー…」
「「ローマ!」」
「部屋で休んでろ、凱旋門賞走れないぞ!」
「…なら、1個だけワガママ聞いて…」
「?」
「私…私に憧れるウマ娘をサポートしたい…だから、走り続けるから、シリーズを離れても…」
「引退ってことデスか?!」
「違うよエル先輩…私はまだ走り続けるよ」
「嫌デス!まだ走って下さい!!」
「お願い…だから…」
ローマは涙を流しながら伝えた
エルも俺も、何を言うべきか分からなかった
苦しいよ!
「ローマ、分かったよ」
「え?」
「私もサポートしたいデス…」
「エル、俺もサポートするから…」
「トレーナー、エル先輩…!」
そうして、ローマはエルコンドルパサーに寄り添ってくれた
ローマは、また違う道に挑む予定だ
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