kr視点
あの日から幾許か経った頃。
俺はいつも通り、次の講義の為にとキャンパス内を友人と歩いていた。
隣で何か話しているようだったが、頭には入ってこず適当に相槌を打つ。
あの日、俺は生まれて初めて自分から告白をした。
こんなに誰かを愛おしいと思ったのは初めてで。順番は間違えたが、なんとなく彼も俺に好意を寄せてくれている気がしていたから。
まさかあの時、
ーー断られるなんて思ってもいなかった。
kr 「好きだよ、本気で。…俺と、付き合って欲しい。」
努めて、落ち着いて見えるようにと取り繕っているが心臓はバクバクと煩いぐらい鳴り響く。
スマイルには聞こえるなよ、と願いながらも彼の揺れる目を逃さまいとジッと見つめる。顔から耳までを真っ赤に染め、彼の手にもぎゅっと力が込められる。
sm 「………ぃ、嫌です。」
黙考の末、口を開いた彼は確かにそう言った。
謎の自信から断られる訳がないと思っていたが故に、ダメージも大きく体が固まる。思わず口からはぐっ、と唸り声が出てしまう。だが、変わらず顔を赤くしたままのスマイルを不思議に思い、念の為にと理由を聞くことにする。
kr 「その、…なんでか聞いても良い、デスカ、。」
sm 「……都合のいい人間には、なりたく無いので…。執行猶予、です…。」
kr 「執行猶予……なるほど、。…これからの俺次第でってことね。」
ぽろぽろと些か物騒だがそう答えてくれる彼に、可能性が完全に潰えたわけじゃ無いと希望を見出した。
それがつい2、3週間前のこと。
そういう訳で俺は只今、絶賛スマイルに全力アピール中という訳だ。
そんな回想をしていれば、隣から元気のいい声が耳に入る。その声の主はスマホを片手に、とある店のサイトを開きながら話しかけてきた。
nk 「なぁ、ここ!最近出来たバーなんだけど、俺の友達がバイトしててさ!2人とも、ど?行かね?ゲイの子も結構来るんだって‼︎な!行こうぜ〜!」
br 「え〜、僕課題ヤバいんだよね〜…、」
kr 「…あ〜、俺パス。2人で行ってきて。」
nk 「え!…えぇ〜、やん来ねーの?最近そればっかじゃーん。」
ブーイングをするなかむとそんな会話を横目に、ふと遠くの方に見慣れた焦げ茶色の髪が揺れたのを視界に捕える。
kr 「ちょ、ごめん。後で追いつくから、先講義室行っといて。」
nk 「は!?ちょ!まだ話の途中なんだけど〜〜‼︎」
背中の方でぶるーくの高らかな笑い声を浴びながら、俺の中で一際目を引く人物の方へ走っていく。
いつもと変わらない無表情を崩しにいく為に。
今日もまた、俺だけしか知らない彼の可愛い表情を引き出せるだろうか。
kr 「ーースマイル!!」
整地組 kr×sm 完
NEXT➡︎ズッ友 To be continued…
コメント
10件
初コメ失礼します!! このシリーズ大好きだったので、完結!?となってたんですが、まさかの次作ズッ友で吹っ飛びました… ありがとうございます😭😭
本当に好きです…!🥲読んでいてとても面白かったです💓ズッ友編も楽しみで仕方がないです🙇♀️ありがとうございます!
一気読みさせていただきました...!! 礼碧さんの書く感情描写、読んでる側としてめちゃくちゃわかりやすいのに綺麗で最高でした🫶🥹 knnkも楽しみに待ってます💞