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🌸「…んで、考え変わんないわけ?りん。」

角名「うん。変わんない。俺はここに向いてない。だからここから落ちる。そんだけ。」

私の目の前には私の大好きな彼が立っている。その姿はいつも通りだ。…それが屋上のフェンスの近くの端でなければ。

🌸「別に今更止めないけどさ。私と居てそんなにくるしかったんならもっと前に言って欲しかったわ。それなら私は全力で引き止めてたよ。」

りんは少し前から辛い、苦しいと私に相談をしてきていた。それは友達関係だと聞いていたけど、りんが辛そうな顔をするのは私の前でだけだったと今日気づいた。

角名「なら…なんで今止めないわけ?どうせそーゆーのも口だけでなんでもないでしょ。だから今更言うんだよ。この意気地無し。」

…私のせいであることを否定しない。いつものりんなら『🌸ちゃんは悪くないよ』とかいうのに。いってくれるのに。今日は言ってくれない。なんで。

🌸「意気地なしはどっち?止めない私?それとも逃げるりん?どっちだと思う?私はりんの覚悟とかを全部聞いたから止めないだけだよ。りんの本気を邪魔する気にはならない。」

角名「…人の命かかっとるわりに言い訳がましいな。お前。」

そうだよ。全部言い訳。りんが悩むのは悪いことじゃない。こう言う選択に縋ることだって悪くない。悪いのは止められない私だ。私はただ自分に言い聞かせてるだけだ。私にりんは止められない。だから少しでもりんを困らせてしまえって。

🌸「なら命かけなかったらいいんじゃないの?私はりんがいつそこから戻ってきても責めないよ。だってりんのこと大好きだもん。もしそのまま死ぬなら私は後を任されるし、死なないなら全力でりんを愛し尽くすだけだよ。」

…この言葉が私にとって今は最大限だ。お願い、お願い。お願いだからこっちにきて。そのままじゃりんは落ちてしまう。少しずつ向こうに引き寄せられていくりんの手を掴みたい。

角名「なら俺が死んじゃったら俺のこと好きじゃないの?死んでも好きっていうのは嘘なの?」

🌸「…私から離れようとするりんなんて嫌いだよ」

角名「…はぁ、あっそ。なら嫌いなままでいてよ。」

そう言ってりんはまた私から一歩遠ざかった。その一歩が私たちを引き裂くものだと知っていたから、私はその一歩に向かって走り出した。りんは足から落ちていって、胴体が見えなくなって、頭が見えなくなって、そして腕が見えなくなった。

その見えない腕を掴むために私は腕をのばす。そのまま私の体の1/3が宙に出て、左腕は柵を、右腕はりんの手を掴んでいた。

角名「…止めないんじゃないの?このままだと一緒に落ちちゃうよ。ほら、離して。嫌いな人の手なんて触りなくないでしょ。ほら早く。」

ほんとうに…その通りだ。止めるつもりはなかったし、私の手は必死に柵と手を繋いでいる。今にも引きちぎれそうで落ちてしまいそうだ。

でも一つだけ違うことがある。

🌸「っ、やだね!絶対やだ!私はりんを嫌いになんかなってやんない!一生りんが好きな私のままでいさせてよ!」

私はりんが大好きだ。嫌いなんかじゃない。嫌いになりたくないから、私はりんを死なせるわけにはいかない。足も柵に絡めて右手をさらに強く握った。

角名「はぁ?嫌いって言ったのは🌸じゃ」

🌸「りんは私のこと大好きでしょ!?好きじゃないわけがないでしょ!!じゃなきゃこんな酷いことする前に私に相談しない!!そんなに私のことが好きなりんなら私が嫌いって言ったら止まってくれると思ったの!!わかる!?傷つけたくないのにどうやって止めようにもりんのことを傷つけちゃう選択になってしまう私の気持ち!!」

あぁ、全部吐き出してしまいたい。私がどれだけあなたが好きだとか、心配だとか。このまま落ちてやろうかとかどうやったら正解だったのかとか。全部りんに聞いて聞いて問いただしてやりたい。私の気持ちを全部わかって欲しい。むかつく

角名「わかんないよ!!そんなん言われても俺は知らないよ!!」

りんの手は私の手を離そうと少し抵抗する。

🌸「ならこのまま一緒に落ちる…?笑いいよ。私もりんといっしょなら怖くないよ。」

私はフェンスを握っていた左手もりんの手に添え、ほぼ宙ぶらりんのような体制になっている。

角名「な、やめろ!🌸はまだ死ぬべきじゃ」

今まで憎いような顔をして私を見ていたりんの冷たい目が急に見開かれ、冷や汗をかいている。なんだ。やっぱ私のこと好きじゃん。安心した。

🌸「だったら!!登ってきてよ!!そうしないと私も落ちゃうから!!」

角名「、…はぁ。分かった。って言いたいけど。🌸だけの力じゃ俺は上がらないよ。」

りんが小馬鹿にしたように私に向かって笑う。こんな時までいたずらっ子か貴様。

🌸「でしょうね!笑でもりんならできるでしょ?」

角名「はいはい笑」

いやみったらしく言ったが、りんにはどう聞こえただろうか。なんでもいいけど、少しでもこの落ちるという選択を後悔させられてたらいいな。

二度とこんなこと思わないでよ。絶対。

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