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永くない僕は、階段を上がっていた。


そして、ドアノブの穴に持っていた鍵を刺す。

カチャ、と音がなったことを確認して扉を開ける。


やっと、自分の待ち焦がれたことが目の前に来る。


そう思うと、気持ちが高揚しては堪らない。


扉を開けてみれば、風が自分の元にやって来て、耳元で囁くようにしてから去ってゆく。


掛けていた丸眼鏡がカタリと落ちた。


『あ、』


それに気づいた自分が眼鏡を拾う。

そして、胸に大きな痛みが伴った。


『っ゛あ゛…ッ、あ゛あ゛ッ……』


そのまま膝を着いて俺は蹲った。


痛い、痛い。

辛い、苦しい…?


「痛いだろうな。」


嗚呼、嗚呼、聞いたことのある声だ。

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