弓
を引く音もしないのに空へと飛んでいく一矢を誰が放ったと言うのか…………
もう僕にはわからないんだ。
誰かに理解されようとしていないんだと自分で自分を騙すことをやめた僕は本当の本当に一人きりだった……孤独とはそういうものだと思うけれど僕が求めるものはそんなんじゃなくて”ただそこにいてくれたら良かった”“貴方は私だけを見つめていればいい”それは僕の望むものではなく それは僕の求めたものでもなく ただの傲慢な言葉の羅列に過ぎなかったから僕は誰からも見向きされない人生を過ごし続けるしかなかったんだ 僕はその感情をなんと名付ければ良いのかわからないまま生きていた。だけど、それを恋と呼ぶのだと気が付いてしまったときにはどうすれば良いのかわからない状態に陥り困惑するばかりでした。ですが今はそんな状態でも良いのかもしれない、なんて思えるようになったのです。今までの人生の中で、恋だと思っていたものを勘違いしていただけだったのかもしれないし今ならまだやり直せる、そんな風に考えてしまえるのです。それにしてもこんな想いを抱いてしまうことは生まれて初めてのことだったためかなり戸惑っていますが、それでもやはり僕はこの感情を大切にしたいと思うのです。そして大切にするためには今の状態をどうにかしなければならないでしょう。そのためにまずは……そうですね、彼女に話しかけてみるところから始めてみましょうかね。彼女はいつも通り、窓の外を眺めながら授業を受けている様子なのでそちらに向かって歩き出す。すると視線を感じたらしくこちらを向いてくれた彼女に対して挨拶をしてみることにする。
私はあなたのことが好きよ それは突然の告白であり 何の前触れもなかったものだ でも確かに聞こえてきた音でもあった だからこれは愛の告白なのかとすぐに感じ取れたのだ 私が私の耳を疑うよりも先に私の心が受け入れてしまったようだから仕方がないのだけれど どうせ叶わない恋だとしても私だって好きだったし好きでいたかった こんな風に言われてしまうとやっぱり悲しかった それに私は失恋してしまったわけだし ただでさえ泣き虫なのだからこれ以上泣かせるなんて酷いじゃないか 私だって好きでいたいのに諦めるしかないではないか だからお願いがあるんだ……
あなたが幸せになってくれればそれでいいんだよ、と……言ってほしい もしそうなってくれなかった時には悲しい結末を迎えてしまうかもしれないけどそれでも良かったと言える日が来るまでは一緒にいることができたらなとは思うんだ それが私の最後の願いでもあるんだ”本当にありがとうございました