冷たい風が頬を刺し、ユズとリクは雪に覆われた道を黙々と歩き続けた。 おばさんの声が、まだ耳に残っている。
二人の心には不安と希望が入り交じっていた。
「おばさんは私たちのこと心配してるかな?」
「そうだね」
ユズはリクの頭にのる雪を軽く払った。
二人はしばらく無言で歩き続けた。
雪は深く、足を取られるたびに互いに支え合った。
やがて、見覚えのない景色が広がり始めた。
「リク、あれを見て!」
ユズが指さした先には、たくさんの木々があった。
まっすぐと進み、目の前に着いた頃には、
はるかうえを見上げても先の見えない大きな木が無数にあった。
木々の間からは薄い光が漏れており、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
「ここが外の始まりかもしれない」
森の中に足を踏み入れると、灰色の雪が木々の緑と混ざり合い、神秘的な風景が広がっていた。
「怖いね、でもワクワクする」
「そうだね」
二人は慎重に進みながら、森の奥へと進んでいった。途中、いくつかの小動物が姿を見せたり、遠くで聞いたことのない生き物の鳴き声が聞こえたりした。全てが新鮮で、不思議な感覚だった。
やがて、森の中に小さな小屋を見つけた。古びてはいるが、住むにはまだ十分に使えそうだった。
「ここで少し休もうか」
ユズはリクに提案した。
「うん、少し寒い」
二人は小屋の中に入ると、火を起こし、少しの食料を分け合った。暖かさが体に広がり、疲れが少し和らいだ。
「この小屋は誰のものだろう?誰かが住んでいたのかな?」
ユズが不思議そうに小屋の中を見回す。
「わからないけど、明日になったらもう少し先に進んでみよう」
疲れた様子のリクを見て、ユズは微笑んだ。
外への旅はまだ始まったばかりだ。
これからどんな冒険が待っているのか、二人には分からなかった。
夜が更け、二人は火の暖かさの中で眠りについた。
夢の中でも、広がる未知の世界の冒険が続いていた。
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