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でも、それは過酷な1週間だった。
みんなが一日に交代して看病してくれる
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初日は藤だ。
「トントンッ」
「?」
「📱お腹すいた?」
「空いてないよ」
「📱分かった」
でも、藤の顔からは何かを感じる。いつもならスマホを見ているはずなのに、今日は会話の時以外ほとんど見ていない。
ずっと下を向いて黙り込んでいる。
そして目が腫れている。おそらく泣いたんだろう
私は、時々無音に慣れずに暴れそうになる
「ッ、、、フーッ、、ッ」
「蘇芳、!?落ち着いて、!?」
「、、あ、ごめん、。」
「✍」
【水飲む?】
「うん、、」
でも、その裏では深夜に1人で心の悲鳴をあげている
「あ゛あ゛あ゛ッポロポロなんで、、ッポロポロ」
学内で「SSRのプリンス」と呼ばれている私が、裏ではこんな事になっていると思うと自分でも頭が狂いそうだ。
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2日目は萩くんが来てくれた
「あ、蘇芳さん、!」
「、、、」
「あ、」
「📱蘇芳さん。この後お医者さんが来るって」
「分かった。ありがとう」
少しぎこちないけど、それでも私の為に来ていると考えていると、嬉しく感じる。
担当医師が14時に来てくれるからそれまで待機している。萩くんは1回大学に戻って行った
「✍」
【体の調子はどうですか?】
無音になれなくて時々暴れだしそうです、、
「あー、、✍」
【わかりました。こちら側も治せるように全力を尽くします。最悪の場合を想定して、暴れた時に飲む睡眠薬も用意しときますね。】
「ありがとうございます。」
睡眠薬を貰ったのは初めてでなんだか落ち着かない。
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3日目は琥珀が来てくれた。
【📱蘇芳さん。萩さんから昨日のお話聞きました】
「そうなんだね」
「、、、」
「琥珀?」
「なんで蘇芳さんなの、、あの時自分が庇っていれば、、ポロポロ」
なんで?なんで琥珀が泣いているの、?
「琥珀、?」
「?」
「泣かないで?」
「ありがとうございます、、」
そして、今日から病棟内を歩けることになった。
【📱蘇芳さん。大丈夫ですか?】
「大丈夫だよ!ずっとベットだと暇だからさ」
久しぶりにベッドから出て、歩けるということの素晴らしを実感した
「ズキッ痛った、、」
「蘇芳さん、!?一旦あそこのソファに座りましょう、!」
頭を打ったから、時々激しい頭痛がする。でも琥珀が支えてくれるから頼もしい。
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4日目は浅葱くんが来てくれた。
そして、この日は補聴器を貰えた
【📱大丈夫?】
「ちょっと慣れないな、、(笑)」
【📱う〜ん、、慣れるように俺も頑張るね!!】
「ありがとう」
「えへへ(*ˊᵕˋ*)」
いつもとあまり変わらないけど、どこか張り切っているところが嬉しく感じる。
「暇だな、、」
「うーん、、あ!トランプあるよ!!」
【📱トランプする?】
「いいね!」
耳は聞こえていなくても、得意なスピードでは、私の圧勝だった
「すごっ!?蘇芳さん凄いね〜!!」
「ニコッ」
この時間は、とても楽とは言えないけど、楽しかった
そして、明日は大好きな彼が来てくれるはず。
【📱あ、常盤は明日来れないって。大学が急遽だってー】
「そっかー、、」
残念。でも、明日は久々に1人で楽しむことにした
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5日目。
誰も来ないため、1人で病棟内を探検することにした
「よし、補聴器も着けた。」
補聴器を付けると耳が曇った感じがする。でも、聞こえないよりかはマシだ。
病棟内でも、私は絶賛視線浴び中。
「トントンッ」
「?」
そこに居たのは、20歳くらいの綺麗な女性だった。でも、
「あの!もしかして蘇芳様ですか、!?なんでここにっ!?」
「ぁ、ぇっと、、」
「ん?もしかして、、」
【📱もしかして、蘇芳様ですか!?】
「え?」
【📱あ、すみません、、私前に蘇芳様が働いているBARに行ったことがあるんです!】
「うぇ、!?」
そう。その子は前に私たちが働いているBARに来たことがある子だった。
「ところで、蘇芳様は何故ここに?(手話)」
「!!」
しかも、その子は手話ができる子だった
「私は、友人と水族館にいた時に天井のコンクリートに頭を打って、内耳障害っていうのになってしまったんです(手話)」
「え!?」
その子の顔は信じられないほどに驚いていた
「ちなみに、お名前はなに?(手話)」
「私は陽菜(ひな)です!」
「陽菜ちゃんはなんでのここにいるの?」
「私は、6ヶ月前に白血病と診断されて、こないだ医師に余命4ヶ月と言われてしまいました(手話)」
「よっ、!?」
でもその子は白血病で余命宣告をされていた
「そして、その4ヶ月目が今日です(手話)」
「え、!?びょ、病室にいなくていいんですか!?(手話)」
「大丈夫です!もう今日死んでしまうのは覚悟の上でここにいるので(手話)」
「最期に蘇芳様と話せてよかったです!(手話)」
「私も嬉しい。ありがとう。(手話)」
でも、そんな時間は長くは続くかなかった。
「ゴホッゴホッゴホッ」
「え、?陽菜ちゃん、!?」
「ゴホッゴホッカヒュッ」
「だ、へあッ!!」
「、、え、?」
なんで、?上手く話せない、、
「だ、えかッ!!ポロッ」
「!?今すぐオペ室にッ!!!」
でも、数分後、陽菜ちゃんは旅立ってしまった
「、、、ペコリッ」
「え、?ポロポロ」
たった10分だけの親友。でも、こんなにも、時間が大切だと知った。
私は病室に戻ってから、ひたすらに泣いた
「う゛わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッッ!!!!!!!ポロポロ」
でも、どんだけ声を荒らげても彼女は戻ってこない。「プリンス」という名を捨ててでもまだ話したかった。
「ごめッ、、らさぁッ、い、、ッ!!ポロポロ」
どんどん、私の滑舌も悪くなっていった
その日、夜ご飯も食べれなかった。
そして、私はまともに喋れなくなってしまった
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6日目は、常盤くんが来てくれた
「蘇芳さん。もしかして泣いた?(手話)」
「え、?」
でも、泣いたことは彼にはバレてしまった
「あ、急にごめんね?(手話)」
そして、今日の為に手話も覚えてくれたんだと、勝手に解釈している。
「大丈夫だよ。手話できるようになったんだね(手話)」
「うん。どう?できてる?(手話)」
「コクッ」
「よかった、、」
まだ手話に少し焦りがあるけど、一生懸命覚えてくれているんだと感じる。
「今日。もう少ししたらお医者さんがくるって(手話)」
「コクッ」
「失礼します」
「トントンッきたよ(口パク)」
「コクッ」
「えっと、、最近はどうですか?」
「、?」
「あ、すみません、。」
「最近はどうですか?(手話)」
「最近滑舌が悪くなって、まともに喋れなくなってしまったんです(手話)」
「あ〜、、なるほど、、」
こうして、30分くらい話していた
「トントンッ」
「?」
「外に行きたい(手話)」
「うぇ!?今っていいの!?」
「お医者さんがいいって(手話)」
「分かった。ちょっとまってて(手話)」
こうして私は久しぶりに外に出た
「広いね(手話)」
「桜の木がすっごい大きい、、」
大好きな彼の瞳には桜の木が映っていた
「トントンッ」
「ん?」
「私と桜。どっちが好き?(手話)」
「うぇ!?いきなりっ!?えぇ〜、、」
桜の木に対して少しモヤッと来てしまった自分が恥ずかしい。でも、今は彼との時間を大切にしたい
でも、彼の困った顔もそれはそれで面白い。
「ふふふっ(笑)」
「えぇ、、?(笑)」
その時、私はあるものが目に入った
「トントンッ蘇芳さんっ!」
「?」
「これっ!あげる!」
彼が差し出してきたのは1つの袋。でも中身は、
「お守り?(手話)」
″健康″と書かれた赤色のお守りが入っていた
「なんでお守り?(手話)」
「えっと、、」
「″蘇芳さんの耳が治りますように″ってな感じ、?あと、、」
少し照れくさそうに笑う彼に、また1つの思い出と恋心が生まれた。
「ありがとう。これ病室に飾っておくね(手話)」
「いや!?そこまでしなくていいよ!?」
「ふふふっ(笑)」
私は知っている。彼のリュックには同じお守りがあることを。
そして、この日手術をするということを彼にだけ教えた
「じゃあね。蘇芳さん。手術頑張って(手話)」
「ありがとう。頑張ってくるね(手話)」
そして数時間後。私の手術は成功した。
その事をグループ通話で伝えたら、藤は下を向いて1人で泣いていて、琥珀は大泣きで近くの萩くんに慰めてもらっていて、浅葱くんと常盤はとても喜んでいた。
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7日目、ついに退院の日。
「常盤くん、藤、琥珀、浅葱くん、萩くん。」
「ありがとう。」
「本当、、よかったよ、、」
「よかったです、、ポロポロ」
「俺もびっくりだよ、!!」
「よかった〜(´;ω;`)」
「常盤くんのお守りのおかげだね!」
「ちょっと蘇芳さんっ!?それ言わないって約束だったでしょ!?」
「常盤?💢」
「ふーん。やるじゃん」
「あ〜、、浅葱さん。蘇芳さん。自分らは先に出ていましょう」
「え?なんで?」
「そうだね〜」
「ちょっと!?」
「あははっ(笑)」
帰りの車で後ろの席で1人静かに泣いていたというのは、秘密のこと。