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「夏美か懐かしいのぉ、なにをしに来た。」
そう言って秀一は目を細めて夏美を睨む。
なんでこいつがここに!
僕は内心焦りと怒りが湧く。
「お爺様、お知り合いですか?」
「黒田家の当主補佐のババアじゃよ。黒田家は、あやかし嫌いの集まりでな。あやかしへの扱いが酷すぎるので、陰陽師界隈では嫌われておるんじゃよ。もちろんわしも大嫌いじゃ」
「これはお厳しい。みんなそれぞれ理由があるのですよ。」
「それでなんの用じゃ?」
「これから強力な式を作ろうと思いまして、協力していただけませんか?いや、邪魔しないだけでも結構です。」
「黒田家の式作りというと、あの最悪の方法で作るのじゃろう?やっぱりおぬしらはクズじゃな。で、どこのあやかしを調伏するのじゃ?」
「天災様はご存じですか?」
天災様だって!?あのめちゃくちゃ強いでかい顔のやつか!?
「当たり前じゃ、ここらにしばらくいたら嫌でも目につく。あれは4級じゃぞ。調伏するなんて無理じゃ。やめておけ、人が死ぬだけじゃ。」
「ふふ。4級のあやかしを調伏した人など伝説でしか聞いたことありません。我が家が伝説となるのですよ。」
「待ってください!天災様が戦ったらとんでもないことになりますよ!」
咄嗟に会話に割り込んでしまった。
「ん?なにか知っておるのか?」
立花さんのお爺ちゃんが訪ねる。
「えっと、天災様が戦うと嵐になったり土砂崩れが起きたりなどの天災が起こると聞いたことがあります。」
「だ、そうじゃぞ?一般人への被害が大きすぎる。やめるんじゃ。」
「知っている。しかし、これはもう決定しているんじゃ。」
「やめるんじゃ。強行するようならば、立花家は黒田家と敵対することになるが、それでも良いかな?」
しばらく立花さんのお爺ちゃんと夏美というお婆さん陰陽師が睨み合う。
急に緊張の糸が切れ、
「ふふ、冗談ですよ。調べてみたら、ここの周りは強いあやかしが多すぎます。必ず邪魔が入り、失敗するので、私が当主を止める予定です。他を当たりますよ。」
「そうか。じゃが、いつか黒田家は身を滅ぼすぞ?」
「リスク無くして得られる物はありませんよ。では。」
そう言って、下山していった。
「全く、本当に黒田家は嫌いじゃ。さっきのババアもかなりの実力者で、力のある陰陽師も黒田家に多いのがまた最悪じゃよ。」
「それにしても、あんなに強いあやかしを調伏して黒田家はどうする気なんでしょうね?」
「全てのあやかしを滅したいみたいじゃよ?」
「全てのあやかしを…」
「そうじゃよ、真広君。彼らはあやかしによって家族を殺されているものも多い。あやかしを憎んでいるものが多いのじゃよ。黒田家もそういう者を養子にとっているのじゃ。」
「いいあやかしやかわいいあやかしもたくさんいるのに。」
実は私も母をあやかしに殺されてあやかしを恨んではいるが、全てを滅しようとは考えない。いや、あの時、黒田家に声をかけられたら、私ももしかしたら全てのあやかしを恨んでいたのかもしれない。
夏美の説得は成功したようでこの街に集まっていた黒田家の者たちは引き上げていった。
黒田家は天災様を調伏しようとしていた。
つまり、黒田家は天災様単体なら調伏できる力を持っているのだ。
もしも、僕たちが黒田家と全面戦争することになったら、僕たちはどうなってしまうのだろうか?
戦って見ないとわからないが、今の僕たちの力ではおそらく…
帰り道
「そういえばさ、真広君私のことずっと立花さんって言ってるよね。そろそろ、琴巴って下の名前で呼んでよ。」
「えっ?急になんで?」
「そ、そっちの方が友達ぽいでしょ?私も真広って呼ぶから…」
そう言って、顔を赤めながら立花さんが言う。
「え、えーと、琴巴。」
「な、なによ真広。」
二人の顔は真っ赤だ。
そのあと、なんだか気まずくなりあんまり話さなかった。
ーなんだかこっちまでドキドキして来ますねー
うるさいわい!