テラーノベル
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「 木洩れ日の奥で 」
もりょき
Prolog
秋の終わり。
空気はどこか乾いていて、夕暮れがすぐに地面を赤く染める。
後者の裏手 小さな裏庭の奥で、その子は座っていた。
しゃがみ込んだまま 声を出すでもなく、ただじっと 風に吹かれていた。
「 …また、いた 」
そう呟いたのは涼架。
保健室からの帰り道 偶然じゃない回数で見かけるその姿に、涼架は知らずに 足を止めていた。
シャツの袖から覗く 細すぎる腕。
膝にはうっすらと痣
近づこうとすれば、彼_元貴は 一瞬びくりと肩を震わせ 身を縮こませた。
「 …..っ、さわんな…ッ 」
低く掠れた声。
息が浅くなっていることに涼架はすぐ気づいた。肩が上下に波打ち、目は焦点を失っていて、まるで酸素を探しているかのようだった。
「 …わかった。触れない。俺、触れないから…..! 」
涼架はすぐに地面に膝をつき、少しだけ距離をあけてしゃがむ。
風の音しかない中で、元貴の荒れた呼吸だけが響いていた。
「 …大丈夫。ここに居るだけだから… 」
その声に応えるように、ほんの少しだけ 元貴の呼吸が整い始めた。
2人の影は、傾いた陽の中で静かに重なることはなく、それでも 静かに近づこうとしていた。
これが秋の始まり。
やがて訪れる冬の、静かな始まりだった___
大森元貴 : 2年2組 学校には居るが不登校扱い…?
友達は居ない。
虐待を受けている 病弱。
藤澤涼架 : 2年2組 みんなと仲がいい。
友達が多くお節介。
元貴の事を気にかけている…?
新作です。私の作品を褒めてくださる方が居て嬉しい限りです。
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