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一週間後。
ピンポーン。
「……来た。」
前回と同じ時間。
俺は玄関へ向かい、ドアを開ける。
「こんにちは。本日もよろしくお願いします。」
「……こんにちは。」
そこにいたのは、前回と同じ山中さんだった。
「どうぞ。」
「失礼します。」
山中さんが部屋に入る。
そして、部屋を見渡す。
「…………」
「……どうかしました?」
「前回より、少し綺麗ですね。」
「……ほんと?」
「はい。」
なんだか、少し嬉しかった。
「俺も一応、掃除したんですよ。」
「そうなんですか。」
「……まあ、床に落ちてるものを拾っただけですけど。」
「それでも十分です。」
そう言って、山中さんは掃除を始めた。
俺はその間、仕事をすることにした。
パソコンを開き、メールを確認する。
「…………」
しばらくして。
「……」
画面を見つめたまま、手が止まる。
「…………」
「お疲れ…ですか?」
「……え?」
顔を上げる。
山中さんがこちらを見ていた。
「さっきから、同じところを何度も見てます。」
「……そんな?」
「はい。」
「……ちょっと疲れてるだけや。」
「そうですか。」
それ以上、山中さんは何も聞かなかった。
ただ、黙々と家事を続けている。
……なんだろう。
この人といると、変に気を張らなくてええ。
会社では、疲れていても「大丈夫」と言う。
弱音なんて、ほとんど吐かない。
なのに。
「……ちょっと疲れた…かも。」
ぽつりと呟いていた。
山中さんは少しだけこちらを見る。
「今日は、早めに休んだ方がいいですよ。」
「……はい。」
素直に返事をしてしまった。
しばらくして、山中さんが時計を見る。
「そろそろ時間なので、今日はこれで失礼します。」
「あ……はい。」
山中さんは荷物をまとめ、玄関へ向かう。
「本日もありがとうございました。」
「こちらこそ、ありがとうございました。」
ガチャ。
ドアが閉まる。
「…………」
静かになった部屋。
俺はソファに座る。
「……なんで俺、あの人には素直なんやろ。」
そんなことを呟きながら、俺は少しだけ笑った。
コメント
1件
おお、第3話読んだわ!主人公がちょっとずつ心開いてる感じがいいな。部屋がきれいって言われて嬉しそうなのとか、素直に「疲れた」って言えちゃうのとか、人の優しさに触れてほぐれてく様子がじんわり伝わってきた。山中さんの「余計なこと言わないけど気づいてる」スタンスもプロやな〜。最後の「なんで素直なんやろ」って呟きも含めて、この関係性の変化、好きだわ🔥