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ぐへへへ
(夜。銀時と彩音、廃れた港町の屋上)
風が強く吹き抜ける。
遠くの灯が、波に揺れている。
銀時「……なぁ、彩音」
彩音「ん?」
銀時「オメェ、最近…無理してんじゃねぇのか」
彩音「……また急だな。何を見てそう思った?」
銀時「そりゃあ、ずっと一緒にいりゃ分かる。笑ってても、目の奥が笑ってねぇ時あるからよ」
彩音「……あんた、観察眼だけは鋭いな」
(小さく息を吐く)
彩音「……ちょっと、夢見が悪いだけだよ」
銀時「夢?」
彩音「あぁ。昔の、消せない記憶。……守れなかったやつらの顔」
(沈黙)
銀時「……そっか」
彩音「……笑わないんだな」
銀時「笑えねぇよ。俺だって似たようなもんだ」
(銀時、少し俯きながら)
銀時「守るとか救うとか、簡単に言うけどよ……そのたびに、何か失ってんだ。だからもう、“全部守る”なんて大言壮語は言えねぇ」
彩音「……それでも、あんたは前に進む」
銀時「……お前もだろ」
(風が吹く。海の音が重なる)
彩音「……怖いよ、正直。また誰かを失うのが。また、自分があの時みたいに何もできないのが」
銀時「……怖くていいんだよ」
(静かに言葉を重ねる)
銀時「怖くなくなったら、人間終わりだ。……怖えと思いながら、それでも立ってる奴が“本物”だろ」
彩音「……銀時」
(銀時、視線を合わせずに笑う)
銀時「俺はよ、もう何度も折れた。
でも、折れた先に“守りたい奴”がいる限り、また立ち上がるだけだ。お前が折れそうな時は……その、背中くらい貸してやるよ」
彩音「……ずいぶんと、らしくない台詞を」
銀時「バカ言え、らしくないのが“本音”なんだよ」
(彩音、目を伏せて小さく笑う)
彩音「……ありがとな、銀時」
(その声には、少し涙が混じっていた)
銀時「礼はいらねぇ。どうせまた俺の財布から金抜くだろ」
彩音「バレてたか」
(ふっと二人の間に笑いが戻る)
(夜明けが近づく。海面が薄く金に染まっていく)
銀時「……もうすぐ朝か」
彩音「あぁ」
銀時「じゃ、次は――ちゃんと笑って朝飯食おうぜ」
彩音「……あぁ。約束だ」
(朝日が二人の影を長く伸ばす)
ぐへへ