ドライヤーのスイッチをオンにしてあたたかい風をローレンの髪にあてる。
少しあてるだけでついさっきまで濡れていた髪はあっという間に乾いてしまった。
特別な手入れは何もしていないはずなのに
髪の毛が女の子みたいにサラサラで少しだけ羨ましい。
乾いたよ。ありがと。なんてやり取りをしながら
ドライヤーコンセントを抜き元のあった場所に戻しに行こうとすると
「今日泊まっていけば?」
手に持っているドライヤーを危うく足元に落としてしまうところだった。
『え、え?なんで?帰るよ?』
「雨まだ土砂降りだし風もつえーし。」
「折角あったまったのにまた濡れて冷えたら意味ねーだろ」
『でも』
これわたし試されてる?
それとも普段遊んでいる女の子達の代わり?
どうするのが正解?
ぐるぐると頭の中で考えてしまってドライヤーを持つ手に少しだけ力が入った。
そんなわたしを見てローレンはくくくと笑う。
「んな焦った顔しなくても取って食ったりしねーよ、」
「ただの善意。それじゃダメなん?」
その言葉の裏に深い意味も変な意味もきっと本当になくて。
ほっとしたような少しだけ残念なような。
色んな気持ちがどばっと心に溢れた。
『……じゃあ、泊まろうかな』
「うぃー。すまんけどベッドは一緒な」
『変なことしないでよ』
「バカ、しねーよ」
そんなハッキリ言わなくても。
改めてドライヤー元の場所に戻して新品の歯ブラシをもらって歯磨きをして。
寝る準備万端にして部屋に戻るとローレンは既に、
ベッドの上に横になってテレビを見ていた。
『……わたしやっぱ床で』
「は?身体痛くすっからダメお前もこっち」
ぽんぽんと少し空いたスペースを叩きわたしの方を見てくる。
同じベッドでローレンと寝る日が来るなんて思ってもいなかったし
行けるわけないでしょと心の中で少し怒ってみたけれど
いくら反抗しても結局はベッドで寝かされるのは分かっていたから
諦めてお邪魔させていただくことにした。
『お邪魔します……』
「どぞ」
身体をローレンの方に向けることは流石にできないから背中を向ける。
あまり時間が経っていないように感じていたけど
気づいたらかなり夜になっていたらしく
深夜にやるようなバラエティ番組がテレビから流れていて
それを見て声を漏らしながら笑うローレンは本当にわたしにキョーミないんだな、と
改めて分からされた気がした。
コメント
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のあぁぁぁ!頼むからローレンの照れ隠しであってくれ(?)