「殺しちゃえばいいんだ」
そう言われた時、確かに、と思った。僕が死んで、ヒョンが生きてれば僕は永遠にヒョンの物。それでもいい。だけどヒョンの顔が見れない、ヒョンと話せない、それは嫌だった。
「ごめんねジョングガ。こうするしかないんだ」
「、、、分かりました。だけど最後に、どうして別れを切り出したか教えてください」
「そうだよね笑 気になるよね」
ヒョンは包丁を下げて床に座った。僕もその隣に座る。
「別れようとしたのは全然本気じゃなかったんだよジョングガ。どのくらいおれのこと好きでいてくれてるのか試したかっただけ。別れたくないって言われたくてね。まぁ、ジョングガは何も言わずに殴ってきたけど。でも、それぐらい好きだったんだよね、おれのこと」
最初から全部嘘だった。ヒョンはそう言った。
「ジョングガのこと怖がって泣いてたのも演技。震えてたのも演技。抵抗出来なかったのも、、、ぜーんぶ演技。本当は嬉しくて仕方なかった」
ヒョンは僕のせいで狂ったんじゃない。最初から狂っていた。
「おれ、いつからジョングガのこと好きだと思う?出会った時からずっとだよ。ずーっとジョングガしか見てないよ。昔のジョングガは泣き虫で、よくおれにくっついてたよね。ジョングガの泣いてる顔、大好き。」
ヒョンが笑う。
「でも最近なんだか大人になって泣くことも少なくなったよね。だから残念だよ」
僕の中で何かが切れた。あんなにテヒョニヒョンが好きで、好きすぎておかしくなったのに、今はヒョンのことが少しも好きじゃない。目の前にいるのは僕が大好きなヒョンじゃない。
「どうしたの、ジョングガ。もしかして引いてる?顔暗いよ」
「僕、ちょっと出掛けてきますね、、」
立ち上がろうとした。立てなかった。足に包丁が刺さっている。
「ッ、、」
「どこにも行かせないよ。ジョングガは殺されなきゃいけないんだから」
激痛に耐えながらヒョンから少しずつ距離をとる。
「不思議だねぇ、自分もおれに同じようなことしたくせに逃げようとしてる」
包丁が勢いよく引き抜かれた。
「ア゙ッ、、」
「痛いね、ごめんね。ちょっと意地悪しちゃった。でも大丈夫。すぐ楽にしてあげる」
僕はヒョンに恋して、離れられないと思っていた。違うんだ。離れられないんじゃない。逃げられないんだ。
「テヒョニヒョン、僕と別れてください」
コメント
2件
はい、サイコー
めっちゃ好き‼︎