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第2話目 『終電』
ガタンゴトン🚃
樹『はぁ…今日も疲れた…』
ゆらゆらと揺られながら彼はそう口にする
彼…樹はごく一般の会社に勤める会社員だ
真っ暗になるまで仕事に終われやっと
日付が変わる前に終われこの電車に乗り急いだ
樹『こんな時間まであったっけ?』
そんな事を一人ボヤきながら
無意識に閉じようとする瞼を何とか閉じないよう
ガタンゴトンと揺れる電車に身を揺られながら
着くのを待った
あれから幾分か経った…が
樹『なんで…まだ着かないんだ』
いつもなら10分…15分で着く距離のはず…
こんなには遠くは無かったはず…
疲れきった頭を再び思考でグルグルと巡らせていると
『お客さん』
樹『ビクッ…え?あ、駅員…さん?』
おかしい…駅に乗っているのは客か
運転する運転手だけのはず…
駅員『珍しいですねぇ…』
『正常な人間が乗っているとは…』
樹『は、は?何を言って…』
駅員『……お客様…ここは生と死の狭間ですよ』
樹『何を言って…そんなことより早く帰してくれ!』
駅員『…お客様もう一度言いますよ?』
『此処は、”生と死の狭間”なんです』
『本来この電車は死んだ者、死にたいと強く願う者』
『それ以外の方の乗車は行っておりません』
樹『じゃ、じゃあなんで俺が…』
駅員『さぁ…貴方の心の中にある死にたいという欲に連れてこられたのでは…?』
何を言っているのかさっぱり分からない
死にたい…?そんな事…
樹『思ってる訳無いだろ!』
『俺は結婚して子供も居るんだ!』
『し、仕事だって順調で失敗も無い』
『死にたいなんて思う訳が…!』
駅員『本当に…そうなのでしょうか…』
『貴方がそう…思い込んでいるだけ…なのでは…』
違う…俺は…幸せで…
駅員『樹さん。貴方は本当は辛いのでは』
『ブラックとも言える長時間労働』
『加え上司からのパワハラ』
『それを何年も受けられている貴方は』
『本当に…幸せなのでしょうか?』
樹『……ッ…お、俺がちゃんとすれば…いいことで』
そう俺がちゃんとすればいいんだ
そうしたら仕事だって…上司にも何も言われない
残業もなくて…家に居る妻と子と一緒に居れて…
樹『…あぁ……でも疲れたな…』
そうだ…この人の言う通りだ
俺は疲れたんだ…仕事も…家族も…
樹『このまま…死なねぇかな…』
駅員『…………』
駅員『お客様。終電です。』
樹『終電…』
駅員『ここで降りれば貴方は帰れます』
『が、このまま居られるのでしたら』
『あの世へ出発致します。』
樹『……じゃあこのままで…』
駅員『本当に…それで宜しいのですか?』
『奥様とお子様が…”待っていますよ”』
『貴方の帰りを今か…今かと…』
『仕事等いつでも辞めれます』
『しかし…家庭はそう簡単には捨てられません』
樹『そう…だ…』
そうだ…俺は帰らなきゃ
帰らないとまた心配かけて泣かれる…
樹『此処で…降ります…』
駅員『はい。お客様。』
『ご乗車有難う御座いました。』
貴方は此処で降りますか?
それとも…
どうでした?💬❤お願いします!