テラーノベル
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「はぁやとっ♡」
「あ゙アッッ?!」
「ふはっ、変な声〜」
「いや……いきなり触られたらびっくりすんだろ?」
「ごめんごめん」
「ほんとに思ってんの〜?」
少しだけ呷ったアルコールのお陰か、いつものツンツンは鳴りを潜めデレデレと後ろから仁人に抱きつかれる。背中に感じる同じ男のはずなのに柔く甘い匂いのする身体。注意すると可愛らしく謝罪の言葉をかけられるが、抱きつかれたときから仁人の両手は変わらず俺の臍にある。しおらしい態度とは正反対に、仁人のもちもちの両手は俺の臍周辺をさすさすと蠢く。こんなことされたら誰だって大声上げるに違いない。いや、柔太朗は上げつつもノるかもしれないけれど。
「じーんちゃん、」
「ん〜?」
「その手を止めなさい」
「え〜〜?だめ?」
拗ねる仁人の顔、可愛い。絶対今がシャッターチャンスだ。袋とじになっていても可笑しくない。
「ダメなの?」
「…………ダメです」
「だってはやとのお臍キレイだもん」
話しながらも俺よりずっと小さな手は強弱をつけながらもするすると動く。
「ほら、離れる!」
「いじわる」
「意地悪じゃないでしょ」
「だって勇斗、いい匂いするもん」
俺にとっては仁人の纏う香りが、落ち着くのに一番ドキドキする。それはまた後でゆっくり教えてやればいい。それよりも、せっかく同じ空間にいるんだから、可愛い顔を見せて欲しい。
「俺は背後より正面から仁人のこと見たいんだけど、仁人は違うの?」
ばッと、勢い良く離れた仁人が前に回り込み、上目遣いで見詰めてくる。大きな瞳が忙しなく動き、袖をキュッと摘まれた。
「俺も、勇斗の顔、見てたい……」
「ふふ、こっちのがいいね、」
「………うん、」
「ほら!」
「ん?」
「せっかく向き合ったんだから、」
「ひょわっ?!」
袖を摘む手を取って引き寄せ、反対側の手で仁人の細い腰を抱く。甘い香りが強くなって鼻腔をくすぐる。
「どうせ抱きついてくれるなら、正面からにして。こっちの方がかぁわい〜じんちゃんの顔が見れるから」
「………可愛いし綺麗なのは勇斗の方だよ」
「仁人がそう言ってくれるならこの顔で良かった」
「もうっ!」
「ぅわっ?!」
目が合ったと思ったらぼふんと、胸に顔を埋められる。ぐりぐりと前髪越しに額が押し付けられ、くふくふと笑う吐息で服の上から胸元がじんわり温められていく。
「あれ?勇斗、胸育った…?」
「じんちゃんは俺のことが好きなの?それとも俺の身体が好きなの?」
「勇斗のだからいいんじゃん。勇斗なら足だって手だって全部好き♡」
「赤ちゃんみたい♡」
アルコール様々である。子供が親に甘えるように、ぎゅう、と背中に回る腕の力が強くなる。よしよしと頭を撫でれば、俺のよりも細くさらりとした仁人の髪が揺れる。何もセットされていない髪を撫で梳くと、その度に仁人に似合う甘く爽やかな匂いが薫った。
「勇斗が可愛がってくれるなら赤ちゃんでもいいかなぁ」
「俺はこの年で良かったと思うよ。そうじゃなきゃ、」
「うん?」
「今からベッドに誘うのも大変だろ?」
耳元でひっそり告げれば、触れた肌がじわじわと熱を持っていく。抱いた腰を撫であげれば、可哀想なくらい肩をビクリと震わせた。
「ぇ、あ、ぅ……」
「俺だって、仁人のこと、もっと深いとこまで触りたい」
「お、お手柔らかに…?」
そんなん、お前次第だろ。
コメント
1件
ふわあ…読了しました。これはもう、完全に距離感ゼロのいちゃいちゃですね。隼斗くんの「正面から仁人見たい」って心情、本当に大事なポイントだと思います。身体への触れ方一つとっても、お互いへの信頼と愛情がにじみ出てて、単なるスキンシップ描写で終わらせないyomiさんの筆力に痺れました。袋とじの比喩、あまりにも的確で笑ってしまいました。カップルの空気感の描き方が、本当に自然で素敵です。
#ご本人様とは一切関係ありません
noa.

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ゆき
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