TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

最空港占拠

一覧ページ

「最空港占拠」のメインビジュアル

最空港占拠

1 - 最空港占拠

♥

18

2025年05月27日

シェアするシェアする
報告する

プロローグ:静寂は嵐の前に


【空港セキュリティルーム】


内海圭吾「監視カメラ4番、ゲート前に不審な影。隊員を一名回せ」


隊員A「了解。ですが、ちょっとした酔っ払いかと」


内海圭吾「判断するのは俺だ。動け」


隊員A「……了解しました」


内海圭吾(小声)「……何か起きる気がするな……」


【報道控室】


川端美沙「今日は要人のフライトもあるのよね?」


記者B「うん。内閣府の官僚が海外から帰国するって話」


川端美沙「それ、映像押さえておいて。ついでに空港警備の動きにも目を光らせて」


記者B「まさか何か起きると?」


川端美沙「起きなくても、スクープは自分で拾いに行くものよ」


【空港管制室】


藤田隆也「着陸予定が1便遅れているが、これは影響しないか?」


スタッフ「滑走路は問題ありません。気流も安定しています」


藤田隆也「この空港の運営にミスは許されない。報告は逐一上げてくれ」


スタッフ「はい、局長」


藤田隆也(小声)「……今日が、限界だな。隠し通せるのも、ここまでか……」


【職員休憩所】


佐藤光一「おい、また人員調整? 一体何人分のシフトが足りてねぇんだよ」


空港職員A「申し訳ありません、委員長。急な欠員が……」


佐藤光一「また“急”か? どうせ、賃金に不満がある奴が辞めてるだけだろうよ」


空港職員A「……はい……」


佐藤光一「ふん、これ以上騒がれる前に手を打たねぇとな」


【ロビー】


観光客A「見て、警備がやけに厳重じゃない?」


観光客B「国際線の要人到着日って聞いたよ。いつもよりピリピリしてる感じ」


観光客A「ふーん、まぁ安全ならそれでいいけど」


【警察連絡ブース】


武蔵三郎「おい、丹波。あの書類、通してくれたか?」


丹波一樹「ちゃんと目を通したよ。だが“警備補強”の理由が曖昧だな」


武蔵三郎「……俺の勘だ。何かが、動いてる」


丹波一樹「お前の“勘”は大抵当たるがな。で、今度は何だ。テロか?」


武蔵三郎「断言はできん。だが……今朝届いた匿名の通報、気になる点が多すぎる」


丹波一樹「“空港で大罪が裁かれる”って、まるで予言めいた文面だったな」


武蔵三郎「ただの悪戯とは思えない。内部犯の可能性もある」


丹波一樹「また内通者か……うんざりだな」


【廃棄搬入口・無人通路】


赤鬼「時刻、10時43分。侵入開始」


青鬼「各班、準備は?」


白鬼「滞りなし。通信遮断装置、起動可能」


紫鬼「監視カメラ死角確認済み。進入ルートに異常なし」


橙鬼「爆破班、5分以内に各要所へ到達予定」


赤鬼「“空港”という巨大な舞台に罪人たちを集め、裁きを下す」


青鬼「世に隠された罪が、今、白日の下に晒される」


白鬼「準備は万端。あとは実行するだけだ」


紫鬼「一人残らず、罪を告白させる。嘘の仮面を剥ぎ取れ」


橙鬼「躊躇は不要。お前らの正義を貫け」


赤鬼「……始めよう。“新空港占拠”を」


【上空・ヘリ通信】


警視庁無線「こちら航空警察、管制塔応答願います。……あれ? 通信……?」


【空港各所】


内海圭吾「警報?! 何があった!? 応答しろ!」


川端美沙「何? 何よこの警報音……! 撮れ、全部撮れ!」


藤田隆也「全システムに異常信号? 誰がアクセスを……!」


佐藤光一「おいっ……何だこの音は!? 誰か答えろ!」


武蔵三郎「来たか……始まりやがったな」


丹波一樹「おい三郎、お前……最初から気づいてたのか?」


武蔵三郎「勘だ。だが、今は確信に変わった」


丹波一樹「じゃあ、どうする?」


武蔵三郎「行くぞ。地獄の底まで、全部暴いてやる」


【滑走路地下・非常通路】


赤鬼「“審判”の時間だ」


全鬼「了解」



第一章 11:20 封鎖


武蔵三郎「……まさか、またあんたらの仕業か」


大和耕一「お久しぶりですね、武蔵刑事。しかし今回の“鬼”は、私たちではありませんよ」


武蔵三郎「じゃあこの占拠は誰の仕業だ。紫鬼……お前が戻ってきたってことは、ただ事じゃないな」


紫鬼「“償い”の続きだ。前回は“病院”。今回は“国の玄関”——この空港だ」


青鬼「空港内の“12名”が拘束されている。人質だ。だが今回の人質はただの犠牲者じゃない。全員、“罪人”だ」


武蔵三郎「罪人……?」


白鬼「“暴くか”“見捨てるか”。選択の猶予は与えるが、制裁は待たない」


武蔵三郎「……今回もゲーム形式か?」


赤鬼「ゲームじゃない。“審判”だ。“12の罪”をお前が暴ききれれば、皆は生きて出られる。だが一つでも失敗すれば、その時点で“処刑”される」


丹波一樹「……また、始まったな。“鬼”の正義ごっこが」


紫鬼「正義などいらぬ。ただ“真実”を暴き、誰かの人生を壊した罪を明らかにする。それだけだ」


武蔵三郎「一体誰が捕まってる」


青鬼「第一の罪人——南雲陽一。元警視正」


白鬼「お前は、空港計画推進の名のもとに“情報操作”を行った。住民の反対運動を“テロ計画”とでっち上げ、潰したな」


南雲陽一「それは……国家のため、だ。公共の利益を守るため……!」


赤鬼「お前の正義で何人が人生を奪われたか。今、それを償え」


南雲陽一「待て!私は命令に従っただけだ!」


橙鬼「“命令”の盾に隠れた罪人よ。お前の命を、ここで断つ」


武蔵三郎「待て!!南雲は——!」


(銃声)


丹波一樹「……撃たれた。……殺したのか」


白鬼「これが、“一つ目の償い”だ」


武蔵三郎「……最初から殺す気だったのか……!」


紫鬼「それでもやるか、やめるか。選べ。次の罪人は“1時間後”に選定される。選ばれた時点で、お前の“暴き”が始まる」


武蔵三郎「……やるよ。俺が暴く。お前たちの“裁き”なんかに任せられるか」


青鬼「楽しみにしているよ、“武蔵刑事”」





第二章 12:30 無言の毒


青鬼「第二の罪人——須賀川陽平。元・新空港環境局長」


白鬼「“地下汚染”の報告書、改竄したのはお前だ。実際には空港地下に有毒物質が流出していたにもかかわらず、“安全”と書き換えた」


須賀川陽平「そ、それは……!上からの圧力だ!俺は……!」


橙鬼「“命令”に従うことで得たのは何だ?金か、地位か?」


須賀川陽平「違うっ……!俺だって、怖かったんだ!抵抗すれば……!」


赤鬼「その“恐怖”のために、現場作業員は3名死亡している。あなたは報告すらしなかった」


須賀川陽平「う……うわあああっ……!」


武蔵三郎「待て!あんたの改竄は事実か?」


須賀川陽平「……俺は……やった。改竄した。けど、それは“仕方なかった”……!」


武蔵三郎「仕方ないじゃ通らねぇ。お前のせいで死んだ人間がいるんだ。……俺に全部話せ。記録も出せ」


白鬼「残念だ。今の発言は“自白”とみなされる。“裁き”に移る」


武蔵三郎「ちょっと待て!今話してる途中だろ!!」


(毒ガス噴出音)


須賀川陽平「ぐっ……!か……から……が……っ!」


丹波一樹「くそっ……ガスか!」


橙鬼「ガスは中和済み。外には出ていない。我々は、“罪人”だけを殺す」


武蔵三郎「……チクショウ……!」


紫鬼「次は13:30だ。まだまだ、終わらないぞ」


第三章 13:30 許されざる音


青鬼「第三の罪人——柿谷優里。空港アナウンス主任」


橙鬼「“管制情報の誤送信”によって起きた航空機ニアミス、覚えているだろう?」


柿谷優里「そ、それは……システムの不具合で……!」


白鬼「お前が故意に切り替えた。“ある人物”を早く帰国させたくて、便の優先順位を改ざんした。それが、結果として他の機体と接触寸前の事故を生んだ」


柿谷優里「そんな……!私のせいじゃ……!」


武蔵三郎「“誰かを助けたくて”やったのか?誰のためだ?」


柿谷優里「弟……弟が事故に遭って……。一刻も早く帰ってきてほしかったから……。たった1回、少しだけ……操作したの……!」


丹波一樹「だがその“少し”で、数百人が死にかけた」


柿谷優里「……うぅ……ごめんなさい……ごめんなさい……!」


白鬼「罪は泣いても消えない。あなたの命で“償う”しかない」


武蔵三郎「待て!謝罪してる!それに今の証言で、十分罪は明らかになった!」


青鬼「“明かされた”だけでは救えない。“許された”ことにはならない」


(拘束音、電気音)


柿谷優里「や……やめて……お願い……!」


(電気ショック音、絶叫)


丹波一樹「……やりすぎだ……」


武蔵三郎「このやり方じゃ、何も変わらねえ……!」


紫鬼「次は14:30。次もまた、“偽りの顔”を剥がしてもらおう」




第四章 14:30 切り捨てた命


赤鬼「第四の罪人——設楽俊。建設業者代表」


白鬼「こいつは下請けに違法工期を強いた、

結果、死者4名、重傷者2名」


設楽俊「契約通りにやらせただけだ。泣き言抜かすような連中に建設業は務まらん」


橙鬼「死んだ作業員には“遺書”が残っていた。“無理をすれば間に合う。だが死ぬ”——と」


設楽俊「勝手に死んだんだろ。俺の責任じゃねえ。仕事ってのは、そういうもんだ」


武蔵三郎「それを“責任逃れ”って言うんだよ。あんたは人を人と思ってなかっただけだ」


設楽俊「綺麗事を抜かすな、刑事。お前らだって“使い捨て”のくせに」


赤鬼「——死刑執行」


(ギロチン落下音)


設楽俊「……ッ!?あぁ……!」


丹波一樹「……即決かよ……」


白鬼「反省なき者に、裁きを語る資格はない」


武蔵三郎「残り、あと8人……。全部こんな調子じゃ、全員殺される……!」


紫鬼「だからこそ、お前が暴け。“罪の核”を掘り当てろ」


第5章 15:30 消された声


青鬼「第五の罪人——岩代真理恵。空港保安検査官」


橙鬼「“ある密輸事件”において、あなただけがスーツケースの検査記録を“消去”していた。それが、事件発覚直前の荷物だった」


岩代真理恵「それは……!確認ミスだったの!」


白鬼「確認ミスで“拳銃数丁”と“覚醒剤10キロ”が通過することはない」


岩代真理恵「私は……脅されてたの!子どもが、さらわれてて……あれしか手がなかったの……!」


武蔵三郎「その時の報告書を出せ。誰かと連絡取ってた記録は?」


岩代真理恵「LINEでやりとりしたけど、消されたの……私、もう……終わり……」


赤鬼「罪を犯した動機が“恐怖”であっても、結果は消えない」


岩代真理恵「お願い、子どもにだけは手を出さないで……!」


白鬼「我々は罪人しか裁かない。だが、あなたには償ってもらう」


(注射器の音)


岩代真理恵「っ……冷たい……!これ、なに……」


(鼓動が遅くなる、沈黙)


武蔵三郎「……心停止だ……クソ……」




第六章 16:30 爆心地の影


紫鬼「第六の罪人——佐久間功。空港設備局長」


佐久間功「……認める。あの“格納庫爆発”は、俺のせいだ」


青鬼「最初から認めるとはな。意外だ」


佐久間功「だが俺は、誰かを守ろうとしたんだ。設計不良の報告があったが、それを出せば会社が潰れる。社員が路頭に迷う」


橙鬼「代わりに“点検済”と書類を偽装した。そして事故が起き、作業員が3人焼死」


佐久間功「そいつらだって、設計が甘いことは知ってた!自己責任だろ!」


武蔵三郎「ならなぜ、報告を黙殺した?」


佐久間功「現場を守るためだ……!家族のある社員たちを守るため……!」


赤鬼「家族のために他人の家族を殺したのか?」


佐久間功「ぐ……っ、俺は……!」


白鬼「“正義”を履き違えた罪人よ、命で贖え」


(爆破装置起動音)


武蔵三郎「待て!まさかこいつごと吹っ飛ばす気か!?」


佐久間功「ハハ……これで俺も終われるってことか……」


(爆発音、建物一部崩壊)


丹波一樹「制御されてるな……吹き飛んだのは隔離区画だけだ」


白鬼「他者を犠牲にして“守る”者は、守る資格を持たない」


第七章 17:30 裏切りの刃


赤鬼「第七の罪人……内海圭吾。空港警備隊隊長。お前の罪は何だ?」


内海圭吾「……隊を守るためだ。俺は仲間を裏切らせなかった。裏切り者を排除しただけだ」


白鬼「排除? つまり、密告者を殺したということか?」


内海圭吾「密告者は組織を混乱させる毒だ。俺はその毒を断ち切っただけだ」


紫鬼「その“毒”が消えたのは、誰の手か? お前の手だ」


武蔵三郎「お前は、どれだけの命を奪った?」


内海圭吾「五人だ……反乱の疑いがあったからだ。俺は隊の秩序を守った」


橙鬼「反乱かどうか、確証はあったのか?」


内海圭吾「あった。あいつらは陰で俺を罠にかけようとした。隊を分断し、空港を混乱させようとしていた」


丹波一樹「お前のその行動が、隊を分断させたんだ」


内海圭吾「違う! 俺はまとめた。……まとめるために必要だったんだ」


白鬼「五人の命が、秩序のための代償だと? 許されるわけがない」


内海圭吾「俺だって苦しいんだ……だがやらなきゃ、もっと多くの人が死んだ」


赤鬼「言い訳は聞き飽きた、 裁きの時間だ」


(銃声が連続で響く)


内海圭吾「くっ……! 誰か、助けてくれ……!」


(内海は倒れる)




第八章 18:30 嘘の報道


青鬼「第八の罪人、川端美沙。元報道記者だ」


川端美沙「私の報道は、真実を伝えたかっただけよ。嘘じゃない」


橙鬼「だがあなただけが、被害者の証言を捻じ曲げた。多くの人を苦しめたデマを流した」


川端美沙「スクープのためだった。真実を伝えようとしたんだ!」


武蔵三郎「そのせいで無実の人が何人も傷ついた」


白鬼「報道は力だ。その力で無実の人を追い詰めた罪は重い」


川端美沙「私は……信じていた。あの話が本当だって」


赤鬼「だがあなたの手で歪められた真実が、どれだけ多くの人を苦しめたか考えろ」


川端美沙「……!」


(刃が刺さる音)


川端美沙「うっ……ああ……!」




第九章 19:30 隠蔽の闇


紫鬼「第九の罪人、藤田隆也。空港行政局長だ」


藤田隆也「私は不正を隠蔽した。認める。しかし組織の命令だった」


青鬼「利益誘導のために環境調査のデータを捏造し、市民の健康を害した事実はどう説明する?」


藤田隆也「それは……組織の命令だ」


武蔵三郎「組織の命令なら許されると?」


橙鬼「お前は自分の良心を捨てただけだ」


丹波一樹「誰もお前を守らない。罪はお前自身のものだ」


白鬼「裁きを受けよ」


(打撃音)


藤田隆也「うっ……!」




第十章 20:30 沈黙の真実


赤鬼「第十の罪人、佐藤光一。空港労働組合委員長」


佐藤光一「俺は労働者の味方だ!」


紫鬼「だがお前は賄賂を受け取り、組合員の声を押さえ込んだ。真実を封じた」


武蔵三郎「証拠は揃っている。逃げるな」


白鬼「向き合え。逃げられない真実だ」


(銃装填音)


丹波一樹「これが続けば、みんな殺されてしまう……!」




第十一章 21:30 終焉の時


青鬼「最後の罪人はお前だ、武蔵三郎」


武蔵三郎「俺が罪人だと?」


紫鬼「お前もまた空港の闇に加担した。真実を隠し、罪を見逃した」


武蔵三郎「俺は警察だ。罪を裁くためにいる」


橙鬼「しかし捜査の妨害もしてきたな」


武蔵三郎「……!」


白鬼「最後の審判を受けろ」


丹波一樹「武蔵、どうする?」


武蔵三郎「……俺は、すべてを暴く」


紫鬼「なら最後の戦いだ」


(SAT、武蔵三郎などが占拠場所に突入)

(激しい銃撃戦が行われる)


武蔵三郎「……終わりか……」


丹波一樹「まだだ! 負けるな!」


(銃声と爆発音)


紫鬼「終わったな」


青鬼「全ての罪人が清算された」


白鬼「罪は終わらず、いつか自らも暴かれる」


赤鬼「真実を暴く者もまた、裁かれるのだ」


(静寂)


武蔵三郎「俺は何を守ったんだ……」


丹波一樹「お前は警察だ。俺は信じてる」


紫鬼「終わりは新たな始まり。審判は巡る……」




物語終幕



エピローグ:空に還る言葉


【空港・臨時捜査本部】


武蔵三郎「……終わった、か」


丹波一樹「いや……まだ何も終わっちゃいねぇよ。ここからが地獄の始まりだ」


武蔵三郎「……そうだな。暴いた罪は……数え切れねぇ。だが……償いきれる命じゃねぇ」


青鬼(無線越し)「我々の目的は果たされた。空港という“境界”で、罪を白日の下に晒した。それだけだ」


紫鬼「……だが、代償は大きかった。橙鬼は……戻らなかった」


白鬼「選んだのは本人だ。俺たちは、ただ道を示しただけだ」


赤鬼「お前らの罪は、罪人を裁くことでしか晴れなかった……皮肉な話だな」


丹波一樹「……テロリストが正義を語るのか?」


赤鬼「違う。“正義”なんて曖昧な言葉に逃げ込むつもりはない。ただ、“本当に悪い奴ら”を裁いた。それだけだ」


武蔵三郎「だが、お前らが殺した命も、本当に“悪”だったのか?」


赤鬼「お前はどう思う? 佐藤光一……彼の過去を見て、同じことが言えるか?」


武蔵三郎「……」


赤鬼「人間は、自分の罪をなかったことにする生き物だ。それを許せなかっただけだ」


丹波一樹「だが、そのやり方じゃ、何も残らねぇよ……正義も、未来も」


赤鬼「それは、お前たち“生き残った者”が考えることだ」


【空港ロビー】


川端美沙「……カメラ回ってる?」


記者C「回してます。でも……報道できるんですか? この内容」


川端美沙「誰かが報じなきゃ……また同じことが起きる。だから私は、カメラを止めない」


記者C「あなた、殺されてもおかしくなかったのに……なぜ?」


川端美沙「……私は、あの時“目を背けた側”だったから。だから今度は、逃げない」


【拘置所前・面会室】


白鬼「……意外だな。お前が来るとは」


武蔵三郎「一言だけ、聞いておきたかった」


白鬼「何だ?」


武蔵三郎「“あの動画”を最初にリークしたのは……お前か?」


白鬼「……違う。“告発者”は他にいた。だが、俺たちが動いたことで初めて意味を持った」


武蔵三郎「……なるほどな」


白鬼「一つ忠告する。あの空港にいた人間の“罪”は、あれで全部じゃない」


武蔵三郎「……?」


白鬼「生き残った者の中にも……“真実を隠してる奴”がいる。そいつが本当の“悪”かもしれない」


武蔵三郎「名前を言え」


白鬼「それは、お前自身で探せ。刑事だろ?」


【空港・解体予定のターミナル跡地】


藤田隆也「……結局、こうなるんだな。あの場所はもう二度と使われない」


内海圭吾「人は、忘れるからな。時間が経てば、誰も“占拠”のことなんて口にしなくなる」


藤田隆也「それでも……俺は忘れない。橙鬼に撃たれる前、彼が言った言葉……『お前の虚構が崩れる瞬間が見たい』と……」


内海圭吾「なぁ、局長……お前は、本当に“被害者”だったのか?」


藤田隆也「……さあな。だが、あの日俺が失ったものは……“すべて”だった」


内海圭吾「なら……せめて、今を生きろ。俺たちはまだ、生きてる」


【病院・回復室】


丹波一樹「お前、本当に大丈夫なのか? 頭撃たれてたんだぞ?」


武蔵三郎「ヘルメットに助けられただけだ。もう平気だ」


丹波一樹「運のいい野郎だよ……橙鬼は、ヘルメットもつけてなかった」


武蔵三郎「……あいつは、最期に人質を庇った。あの一瞬だけは、紛れもない“正義”だった」


丹波一樹「……認めるのか? テロリストの正義を」


武蔵三郎「……あれは“正義”なんかじゃねぇ。“覚悟”だ。命を捨てる覚悟」


【夜の空港滑走路】


赤鬼「青鬼……もう、俺たちに“道”は残ってないな」


青鬼「道は“作る”ものだ。たとえ踏み潰されても、誰かが歩いた足跡は消えない」


赤鬼「……見届けろ。“この国の正義”が、どこへ向かうのか」


青鬼「ああ。俺たちが死んでも、“嘘のない世界”を夢見たことだけは、真実だ」


【武蔵のモノローグ】


武蔵三郎「この事件で、7人の命が消えた。鬼たちも、罪人も、人質も――全てに理由があった。

だが、理由があるからといって……許されるわけじゃねぇ。

だから、俺は忘れない。空港に響いた銃声も、叫びも、命の重みも……

いつか“正義”が“正義”であるために、俺たちは歩き続けなきゃならない。

――生きてる限り、な」

この作品はいかがでしたか?

18

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚