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「彩歌、どうした?」
「んぁっ!なんでもないです」
あれから北斗くんの助言通り田中先輩を信じて田中先輩と仲良くすることになった。とはいってもまだ付き合ってるという訳ではなく、グレーライン。梨奈やクラスの子などたくさんの人に「田中先輩はやめておけ」と言われた。ちなみに今は田中先輩とお昼ご飯中。
「そ、なら良かった。でもさ、彩歌?最近ボケっとしてること多いよな。心ここに在らずつーか」
「そうですか?最近疲れてるのかもしれないです 」
「疲れてるだけのようには見えねぇけどな。つか、いつになったら彩歌は俺の事好きになってくれんの?」
この言葉も何回聞いただろうか。信じる、とは言ったものの100%信じられているわけでもなく、やはり心の奥底にはまだ「捨てられるかも」という疑念が残っている。
「おーい、彩歌?」
「…しょう」
「え、?今なんて?」
「もう、終わりにしましょうよ」
「は?どうしたんだよ急に」
「私、田中先輩に捨てられるってわかった上で付き合うのは嫌です。だからもう終わりにしたいんです。」
「なんで俺が彩歌を捨てなきゃいけないんだよ」
「そうやってほかの女にも言ってきたんでしょう?でも結局すぐに用済みになって要らなくなるんでしょう?もう女を惑わすのはやめてください」
「さっきからなんの話ししてんだよ。まずほかの女って何?用済みって何?意味わかんねんだけど」
「とぼけるのはやめてください。自分が一番わかっているくせに」
「…俺、彩歌が初めてなんだけど」
「え、?」
初めて、その言葉を聞いた瞬間私は我に返った。
「俺、彼女なんていたことない。だから女を捨てるなんてしたことない。俺は今、人生で初めて人を好きだって思ってんの。彩歌を捨てたりなんかしないよ。彩歌が望むなら一生大事にする」
「彼女…いたことないんですか?」
「今ないって言ったべ」
「じゃあ経験人数2桁越えっていうのも違うんですか?」
「経験人数ゼロだよ。どこでそんな情報仕入れてきたのか知らねぇけど」
「学校中が知ってますよ。私の学年で田中先輩が有名なのもそれが理由です」
「まじいい迷惑だわ笑」
「あ、バレンタインには机とかロッカーとか下駄箱とか入れられるところ全てにチョコが溢れかえるっていうのは…」
「ああ、それはまじ。ま、ひとつも食べたことないし、返したこともねえけど」
「え、それもったなくないですか?」
「俺、手作り無理なんだよな。それに何十個も食べてたらキリねぇし、鼻血出るし。あ、でも捨ててはねえな。全部兄ちゃんとか友達とかが貰ってくれるし」
「じゃあ、今度のバレンタイン買ったやつにしますね」
「ん、期待しとく」
彩歌のだったら手作りでも食うけど、そう田中先輩が言ったことに私は気づかなかった。
「で?疑いも晴れたしいつになったら俺の事好きになってくれんの?」
田中先輩ってほんとに鈍感。田中先輩に出会うまで私がこの世で1番鈍感だと思ってたけどそんなことなかったみたい。
「先輩ってほんと鈍感ですね笑」
「は?」
「もうずっと前から好きですよ?さっき私が話してたこと聞いてたら普通わかると思うんですけど」
「いや、わかんねえよ。遠回しすぎんだろ」
「でも言いましたよ?好きですって。ってわけで付き合いましょう。先輩」
「彩歌ってそんなキャラだったっけ」
「そうですよ?」
「まじか、知らなかったわ」
「で?付き合うんですか?付き合わないんですか?」
「付き合う。ってことで今から田中先輩と敬語禁止な?樹って呼べよ」
「え、そんな急に?!」
「田中先輩って言ったらコーラ奢り、敬語使ったらパンケーキ奢り」
「意外と甘党なんですね」
「はい、パンケーキ奢り〜」
「あっ…」
そんなこんなで無事田中先輩と付き合うことが出来た私。樹呼びとタメに慣れるのが時間かかりすぎて何度コーラとパンケーキを奢ったことか…
6年後。
今日は大学の卒業式。大学在学中は色々ありすぎて一時退学の危機まで迫られたけど何とか4年間過ごすことができた。大学最後ということでゼミの仲間たちと談笑していると…
「ねぇ、岡田ちゃん?あれ岡田ちゃんの彼氏だよね」
「え?」
友人が指す先にはスーツ姿で花束を持った樹の姿が。
「樹っ!今日仕事で来れないんじゃなかったの、?」
樹はIT企業に就職し、エリート街道まっしぐらな生活を送っている。
「悪い、嘘ついた笑 どうしてもサプライズしたくて」
「んもー…」
「…袴、似合ってる。超可愛い」
「ありがと。」
「田中、イチャついてないで早くしろよ」
聞き馴染みの深い声。声のする方に目を向けると北斗くんの姿が。
「ッ、北斗くん?!」
「いやー、田中に「ほっくん先生手伝ってよ」って言われたもんで。そんで早くしろ田中。彩歌も暇じゃないんだから」
「わーってるって。彩歌、卒業おめでとう。そして…」
一瞬の沈黙。樹が何かを取り出している。
「俺と結婚してください」
取り出したものは指輪。少し大きめのダイヤモンドが輝いている。私は涙が止まらなくなってしまった。
「泣いてないでさ、早く応えてくんね?俺今超恥ずかしいんだけど。ま、どうせOKって言うんだろうけどさ」
「何それ。俺様すぎない?笑」
「いや彩歌も同じこと6年前にしてるからな?」
「そだっけ笑」
一息着いて、私は口を開いた。
「お願いします。」
私は田中の姓をもらい、田中彩歌となった。そして永遠の愛を誓い、二人の子供も授かり死ぬまで幸せに暮らした。
〜END〜