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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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 俺は秋月湊瀬秋月湊瀬あきづきみなせ、17歳。向田高校の美術部に所属している。当たり前だが、趣味は絵を描くこと。 

 突然だが俺は、今ものすごくヌードデッサンを描きたい。勘違いしないでほしい、エロ目的ではなく純粋に書いてみたいんだ。 

 いち芸術家として、挑戦してみたいんだ。しかも、芸術欲に駆られて、何事にも集中できずに困っている。 

 だから一刻も早く描きたいんだが、そんなこと頼めるやつがいない。いや普通はどんなに仲が良くても頼めないか。 

 教室内を見渡して頼めそうな人を探す。 

 端から端まで探すが無理そうだ。最後に隣の席の篠原美咲しのはらみさきを見る。 

 無理だと分かっているが、描くなら篠原のヌードデッサンを描きたいな。 

 彼女は長い黒髪に美しい琥珀色の目をしていて、普通に可愛い。 

 女性的の魅力も存分にありつつ、服の上からでも分かる美しい肉体。最近まで運動部に所属していたのもあり、出るところは出つつ締まるところからしっかり締まっている。 

 まさに肉体美の象徴。彫刻ちょうこくとして後世に残したいくらいだ。 

 だけど俺のことが嫌いなのか、俺だけにツンとした態度を見せる。篠原は無理だろうな。でも、どうしても描きたい。ダメもとで頼んでみるか。 

 ―― 

「秋月くんわざわざ美術室に呼び出して、なんの用かしら」 

 彼女は腕を組み、指先でトントンと一定のリズム刻みながら、俺をにらみつけている。 

 帰るところを、わざわざ引き止めたから怒っているよな。顔も紅葉しているし、その怒りがうかがえる。 

 変に回りくどく言っても無駄だから、単刀直入に伝えたほうがいいよな。 

「篠原のことを描かせてくれ!!」 

 当たって砕けろの精神で伝える。 

「ど、どうしてわたしなの?ほかにも人はいるでしょ…」 

 あれ?ここは変態とかどうしようもないバカ、などの罵声が飛んで来ると思ったが。 

 よし、もう一押しいくか! 

「美しいと思ったから!!」 

「ほかに可愛い人や綺麗な人いるでしょ?ぜひなく、わたしじゃなくても…いいと思うわ」 

 ちょっと表情が柔らかくなったように見えるが、まだ足りないな…ここは最終手段の土下座だ!! 

「頼む、篠原(の体)が好きなんだ!!」 

 時が止まったかのような沈黙。ど、どうだ?恐る恐る見上げると 

「そこまで言うならいいわよ。そのかわり、わたしが満足するように描きなさいよ!!」 

「いいのか!サンキュー!いろいろ準備があるから、そこで待っていてくれ」 

 心のなかで特大ガッツポーズを決め、早速準備に取り掛かる。 

 篠原というと、イスに座りモジモジしたり、顔を手で覆ったりしながら、うつむいていた。 

 ―― 

 よし準備が終わった。バスタオルとデッサンに必要なものを揃えた。 

「秋月くん、わたしはどんなポーズを取ればいいかしら?」 

「あーその前に制服脱いでくれ」 

「ジャージになれってこと?」 

「いや、全裸になれってこと」 

 お互い首を傾げ、頭に?を浮かべ認識の違いを感じる。 

 ようやく理解したのか、顔がみるみる赤くなり、怒りの風船が割れる。 

「ほんと信じらんない!!あんたってそういう人だったの!!」 

「違うんだ落ち着いてくれ」 

「何が違うのよ。たしかに全裸って言葉が聞こえたわ」 

 どうして、急に嫌がったんだ?俺の態度が悪かったのか? 

「大丈夫、けして性的な目で見ないから。俺が根っからの美術オタなのは、知ってるだろ」 

「性的な目で見られないですって?わたしの体じゃ欲情できないって言いたいの!!」 

 なんで、今の会話でヒートアップすんだよ…怒りのスイッチが分からない。 

「本当に好きなんだ(体が)信じてくれ」 

「変態の戯れ言にしか聞こえないわ」 

「初めて同じクラスになったときから、一目惚れだったんだ」 

「そ、それがどうしたのかしら…」 

 俺の夢はここで終わってしまのか…そう思った瞬間、突然頭に言葉が浮かんでくる。 

「篠原と一緒に暮らしたいんだ」 

 そのほうが、モデルとかに困らないし… 

「え?それって」 

(それって告白だよね?好きです付き合ってください!!を遥かに越える告白だよね。付き合うどころか、結婚も視野にいれているってこと!?本気でわたしのこと、好きってこと?もう!なにがなんだか分からないわよ!!) 

 篠原は、ぐしゃぐしゃになった言葉と思いが喉に詰まり吐き出せずにいた。一旦大きく深呼吸をし、リセットする。 

「秋月くんの思い、分かったわ。描いてもいいわよ…」 

「ほんとうか!!」 

 今にも踊りだしそうな俺に、指先を突き刺し静止させる。 

「ただし、下着だけは着させて。それが無理なら諦めてもらうわ」 

 本当に篠原の思いは読めないが、なんとかなった。感謝しか言葉が浮かばない。 

 鉛筆や消しゴムを、コロコロしながら制服を脱ぎ終わるのを待つ。 

「言っておくけど、あまり下着じろじろ見ないでよね。できるだけ意識から消して描きなさい」 

「そんなムチャなこと言われても」 

「できるわよね?」 

 とんでもない圧を感じる。 

「頑張ってみます」

 この日から俺と篠原の奇妙な関係が始まった。

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