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見覚えのある屋敷に連れられ廊下を歩く。

長い廊下にはいくつもの扉が取り付けられていて、奥に行けば行くほど何か不穏なものを感じさせる。

 

「あなたはギャーギャー喚かないのね。」

「喚いたところで逃げられませんから…。」


「ま、利口だと思うわよ。過去に連れてきた女のほとんどは、この廊下で抹殺されていたから。」

 


「殺……?」

「黒鬼院様のもとにつく前に逃げ出そうとして、首元をグサリと……。」

 


「それは…キズさんがやったんですか?」

「私がやるときもあったけど、ほとんどはこの扉の奥にいる腹を空かせた下層吸血鬼たち。後片付けをしなくていいから楽だって、黒鬼院様はおっしゃっていたけど。」

 


「後片付けって……。」

「血肉をすべて奪われ骨だけが残る。まあ、マルチのあなたが彼らの餌食になったら、骨も残さず食べられてしまうわ。」

 

恐怖とかそういうものはほとんど感じなくなっていた。


ただ、皆が来てくれることを…それだけを心の底で願っていた。

 


「あいつらが迎えに来ることを待っているの?」

「はい…皆を信じていますから。」

 



「そう……伏せて!」

「え…?」

 



グシャ

 




背後で何かがつぶれた音がする。ポタポタと何かが滴る音。

それを血だと感じるまで、時間はかからなかった。

 


「全く…自分たちでこのドアを開けてしまうだなんて…。」

 



キズさんが槍を構える。恐ろしくて後ろを振り向くことができなかった。

 



「向こうのほうで待っていなさい。こいつらを片付けるから。」

 

背中を押される。後ろを振り返ることなく言われた通りその場を離れた。


その間も、後ろから聞こえる何かを刺す音と呻き声。その音が私の頭を恐怖で支配し始める。

 


「逃げなきゃ……。」

 


ふと、耳に手をやるとそこにあるべきものがついていない。

 


「イヤリングが…ない…。」

 


慌てて来た道を見るが、どこにもイヤリングと思われしきものは落ちていなかった。



もしかしてさっきキズさんに背中を押されたとき…?

 

 

 


ごめんなさい…キズさん。

 

 

 

 

その思いを抱えながら来た道を戻った。

生贄の花嫁~Lost girl~

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