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童話『三匹のこぶた』パロです。
むか〜しむかし あるところに三匹のこぶたの兄弟がいました。
長男の元貴こぶたは何事にも妥協を許さず、「完璧にしたい!」という性格。
次男の滉斗こぶたは冷静で堅実。いつも「効率と実用性」を考える性格。
三男の涼架こぶたは天真爛漫で天然、周囲を笑顔にする不思議な魅力を持っていました。
三匹は成長し、お母さんぶたにこう言われます。
「お前たちももう大きくなったのだから、それぞれ自分の家を建てなさい」
こうして三匹は、独立して暮らすための家づくりを始めました。
一番最初に完成したのは三男の涼架こぶた。
「ぼくはお昼寝が大事だから、すぐに終わる方法がいいな〜」
そう言って彼は近くの畑からわらを集め、ふわふわ積み上げていきました。
屋根も壁も、ほとんどはわらの束。
本人は「ふかふかで気持ちいい〜!」とご満悦。
しかし隙間だらけで、風が吹くたびに家全体が揺れ、近所の動物たちは「これは危ないぞ」と首を振りました。
次に動いたのは次男の滉斗こぶた。
「わらなんて話にならない。最低でも木材を使わないと」
彼は山へ行き、木を切り出し、きちんと測って組み立てていきます。
構造はシンプルだが強度は十分。
入口の扉もしっかりしていて、雨風くらいではびくともしません。
「これなら安心して眠れるな」
滉斗こぶたは満足そうに頷きました。
そして最後に、元貴こぶた。
「どうせなら、絶対に壊れない家を作ろう」
彼は村のレンガ職人のところへ通い、作り方を学び、自分で一つ一つレンガを積み上げました。
窓の位置や屋根の角度までこだわり抜き、少しでも歪んでいればやり直す。
長い時間をかけて――ついに立派なレンガの家が完成しました。
強固で美しく、村の誰もが「これはお城のようだ」と驚く出来栄え。
「ふふん、これなら何があっても安心だ」
元貴こぶたは胸を張りました。
しかしある日。
山から恐ろしいオオカミが下りてきました。
その毛は黒く逆立ち、赤い目をぎらぎらさせています。
牙は鋭く、腹を空かせ、獲物を探しながら森を歩いていました。
「うまそうなこぶたの匂いがするな……」
オオカミは笑い、三匹のこぶたの家を一軒ずつ訪ねていきました。
最初に見つけたのは涼架こぶたのわらの家。
「誰かいるな……開けろ!」
「いやだよー!僕のおうちだもん!」
オオカミは鼻で笑い、深く息を吸い込むと――
「ふーーーっ!」
わらの家は一瞬で吹き飛びました。
涼架こぶたは「うわぁぁぁ!」と叫んで、慌てて兄の滉斗こぶたの木の家へ逃げ込みます。
次にオオカミは木の家へやってきました。
「開けろ!さもないと……」
「絶対に開けない!」と滉斗こぶた。
「ならば……吹き飛ばしてくれるわ!」
オオカミは深く息を吸い込み、力いっぱい吹きつけます。
「ふーーーーっ!」
木の壁は大きく揺れました。
二度、三度……。
そして四度目で――「バキッ!」
家は大きな音を立てて崩れ始めました。
二匹のこぶたは必死で逃げ出し、元貴こぶたのレンガの家へ駆け込みました。
三匹は元貴こぶたの家に入り、必死に扉を閉めました。
「どうしよう、オオカミが来るよ!」と涼架こぶた。
「落ち着け。ここはレンガの家だ。そう簡単には壊れない」滉斗こぶたは言います。
「もちろん。完璧に作ったんだから」元貴こぶたも頷きました。
やがてオオカミが到着し、扉の前で吠えました。
「ここにいたか!今すぐ出てこい!」
そして大きく息を吸い込み――
「ふーーーーーーっ!」
……しかし、レンガの家はびくともしません。
もう一度。三度。
「ふーーーっ!ふーーーっ!ふーーーっ!」
オオカミの顔は真っ赤になり、息は荒れ、ついにその場にへたり込みました。
「なんて頑丈な家だ……!」
しかしオオカミは諦めませんでした。
「よし……煙突から入ってやる!」
屋根によじ登り、煙突に体を滑り込ませようとします。
家の中でそれを見た元貴こぶたは落ち着いて言いました。
「来るぞ。用意はいいか?」
滉斗こぶたはすぐに大きな鍋を持ってきて、水を入れ、火にかけます。
涼架こぶたは「僕、薪をいっぱい持ってくる!」と笑顔で張り切ります。
やがて鍋の水はぐつぐつと煮えたぎりました。
そこへ――
「ズルズルッ……!」
煙突から降りてきたオオカミ。
「どりゃあああ!」と叫んだ瞬間――
ドボンッ!
オオカミは大鍋に落ち、熱さに飛び上がりました。
「ぎゃああああああっ!」
全身を火傷しながら慌てて飛び出し、泣きながら山へ逃げていきました。
こうして三匹のこぶたは無事に助かりました。
涼架こぶたは「わぁ〜、やっぱりレンガの家ってすごいね!」と笑顔。
滉斗こぶたは「効率よりも耐久性だな……学んだよ」と真剣な顔。
そして元貴こぶたは静かに言いました。
「大切なのは、手間を惜しまずに作ること。そして仲間と力を合わせることだ。」
三匹はその日から、レンガの家をさらに大きくし、3人暮らしで助け合って暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。
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