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「……これで、もういいですよね?」
できればシャツのことは忘れていてほしいという願いを込めて、そう念を押すように訊いてみる──と、
「シャツもと、言っただろう」
まだ、忘れてはいなかった──……。
「だけど、どうしたら……。だってシャツを脱がせたら、裸になってしまうのに……」
困惑して呟くと、
「……裸にしたいのか? 私を……」
と、逆に尋ねられ、瞳の奥を覗き込むように見つめ返されて、火が点いたようにボッと顔が真っ赤になった。
ああーもう、酔った人たらしさんってば、最強すぎかも……。
自覚もなく色っぽいのって、手ごわすぎやしませんか? 私ごときには、全く太刀打ちができないんですけど──。
「……熱い」
くり返される言葉に、
「……それなら、とりあえずボタンだけ外しますから」
と、彼のワイシャツのボタンを一つ外した。この先どうしようと悶々と考えながら二つ、三つとボタンを取り外して、胸の辺りまで開いたところで、不意にまた手首が捕らえられた──。
「あっ、あの……」
手を捕まれるのはこれでもう三度目になるけれど、今度は何なのだろうと感じていると、
「……君は、私のことは嫌いじゃないのか?」
唐突にそんなことを訊かれて、「えっ……」と、声を詰まらせた。
これって、どう受け取ったらいいの?
まさか、本気……? ううん、そんなわけないし……と、頭を力なく左右に振る。
……きっと、悪酔いをしているんだよね? それなら、やっぱり初めから酔い覚ましにお水を持って来るべきだったんだと、
「……お水を入れてくるので、手を離してもらえますか」
と、口にした。
「水はいい。だから、手を離さないでほしい」
そう言って、私を引き止めた彼が、
「……嫌いじゃないなら、私と一緒に寝てくれ」
告げた台詞に、今夜最大の衝撃を覚えた──。