テラーノベル
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ホテルの奥に逃げ込んだふたりは、従業員室のような小部屋にたどり着いた。
そこで、1冊のノートを見つける。
表紙には油性ペンでこう書かれていた。
「Project_TN - 取材ログ」
日付:2018年9月21日
記録者:アキ / 映像班代表
「……アキって、心霊系YouTuberだった人だよね?何年も前に失踪して……」
ミナミがページをめくると、中には日記のような記録が残っていた。
9⁄21 15:34
ホテルの中に“録画されたままのカメラ”を発見。
中身は不明。映像には“未来の自分たち”が映っていた。
俺は、それを信じなかった。
9⁄22 03:01
1人が階段で消えた。姿も声も、記録にも残っていない。
カメラは“残されたはずの記録”すら消していた。
9⁄23
これを読んでるお前らへ。
「もし、このホテルで“自分の未来が映っていたら”、
絶対にその通りに動くな。
カメラは“未来を見せる”んじゃない。**未来を“決める”**んだ」
「……え?どういうこと……?」
「つまりさ……映ってるのが“予知映像”じゃなくて、フラグってことじゃない?」
「やだ、それもう怖すぎてバズ狙う気ゼロになったわ」
「いや、逆にバズりそうじゃね!? “未来を撮るカメラに挑む!”みたいな!」
「ハルカ、お前……脳みそが企画書」
すると、ミナミのポケットの中のスマホが突然勝手に録画を開始した。
《録画中:00:01》
「……え、なにこれ、触ってないよ!?録画止まらないんだけど!?」
スマホの画面には、自分たちの背後──扉の外が映っている。
でも、現実には“無人”のはずのその廊下に、ゆっくり歩く影が映っていた。
《録画中:00:02》
その影は、右手に何かを持っている。三脚?カメラ?
ハルカが小さく呟いた。
「これって……まさか、“あの時失踪した映像班”のひとり……?」
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