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《 枯 れ た 花 に 水 を あ げ よ う 》
「 大丈夫 」
これはあいつの口癖
多分、本人はあんまり口癖の自覚はない
いつでも強がった笑顔を見せる
辛い表情は、、、ほぼ見たこと無い
というか見せてくれない
どんなに疲れていても、辛くても
「 想太、少し休んだほうが… 」
「 大丈夫、大丈夫よ、大輝くん 」
ほらね
また無理に笑ったような困り笑顔
頼ってはくれない、休んでもくれない
なんて言えば良い?
なんて言ったら想太は納得してくれるかな
ねぇ、想太
俺は心配なんだよ
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st視点
僕には勿体無いほど皆優しい
でもそれがたまに鬱陶しい
迷惑かけたくないから僕はわざわざ何度も
壊れてしまった笑顔の仮面を作り直しては
つけてるんだからさ
ほっといてほしい
でも一緒にいたい
僕ってほんと面倒くさいし我儘
そんな自分が
「 大嫌い、 」
強がりが良いと思っていた
最善策だと思っていた
僕は馬鹿だなぁ……ッ
「 想太ッ!!! 」
たおれちゃぁ頑張ってた意味ないやんけ
ちょうど打ちどころが悪かった
階段でぶっ倒れたもんだから頭を切ったらしい
血がどくどく、と溢れている感覚がある
はっきりと傷の位置が分かるほどに
霞んでいく視界に写るのは今にも泣きそうな、
見たこと無いほど焦っている僕の大切な人
あぁ、そんな顔見たくないよ…っ
そんな顔させたくないから頑張ってたのに
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想太の意識がなくなって3週間
もうすぐ1か月経つ
すっかり習慣化されてしまったこの行動
家を出て人通りの多い大通りを進んで
曲がり角を曲がってすぐの所に聳える病院
受付を済ませエレベーターに乗って
押し慣れてしまった4の数字
3つ目の個室に入れば見える愛しい人の顔
もうだいぶ細くなった想太
「 力いれたら折れそ……、 」
なんて不謹慎な事考えていた俺に思わず
乾いた笑い声が溢れる
「 はぁ……… 」
俺の深いため息
に混ざってわずかに聞こえたうめき声
ぴくっ、と動いた想太の瞼
「 そ、た…? 」
そう言って頭を軽く撫でてやるとうっすらと
その目が開かれる
「 想太…!!? 」
「 ぁ、…た、き…く 」
「 そうたっ分かる!?大丈夫? 」
「 ふ、…ひっし、すぎ…やで、? 」
なんて軽く笑ってくれた想太
その後、先生に診てもらい以上がないので
明日には退院できるそう
久々に2人っきり
お互い言いたいことはあるけど沈黙が続く
先に口を開いたのは想太だった
「 なぁ、大輝くん 」
「 …ん? 」
「 ………怒ってる…? 」
ちょっとしょんぼりしたような顔で
そう言った
「 ……怒ってる 」
「 っ…ごめッ…! 」
「 でも 」
俺は想太のごめんをかき消した
別に謝らせたいわけじゃない
そうじゃなくて……
「 …でも、今は心配してる
不安と自分への怒りだけだよ 」
「 なんで想太をここまで
追い詰めちゃったんだろうなぁ…って 」
お前のために、って言っときながらきっと
負担かけてたよな
必死な時に触れる優しさは痛いよな
鬱陶しく思うよね、想太は優しいから尚更
それでそんな事を思っちゃう自分が嫌になって
「 想太、俺もごめんね
言い過ぎたね、負担かけちゃったよね 」
「 …僕も、ちゃんと言う事聞かなくて
ごめんなさい 」
それから3人が来て、想太はお説教コース笑
徹からは
「 倒れそうだったら殴ってでも
休ませるからな 」
だってさ。愛されてるね、想太。
これから少しずつで良いから枯れてしまった
花に沢山の水を注いで、もう一度俺達全員で
“ Da-iCE ”という大輪を咲かせよう
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コメント
2件
え、なにこれ天才?😭🫶🏻 絶対もう、文才しかないっ‼️🫵🏻わたしよりも絶対見られるべきだよぉ😿😿💝