11月16日、土曜日の午後。
空は爽やかな青色なのに、冬の匂いを含んだ風は冷たい。俺はコートのポケットに入れた手をギュッと握り、目の前の無機質な建物へと足を踏み入れた。
この病院の216号室に母さんがいる──順調だったのに、ここにきて俺の足はなかなか前へ進もうとしない。
「…………」
「大丈夫、裕孝?ちょっと何か飲んで落ち着く?」
瑠斗が「俺もお母さんに会いたい、絶対一緒に行く」と言ったのは、恐らく俺がこうなることを予想していたからだ。母親と会うのに緊張で動けなくなるなんて、心底情けない。瑠斗がいてくれて助かったのは確かだった。
一人じゃない。俺には大きな味方がいる。
「…ふぅ…」
「裕孝?」
「ありがとう。…もう大丈夫、行こう」
自分の両頬をバチッと叩いて気合いを入れ、エレベーター横の階段へと歩み************
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