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 紫×桃
 紫×モブ要素あり
 桃さん可哀想です
 
 
 
 
 らんがいるまを好きになったのは、ほんの些細なきっかけだった。
誰にでもわかるほど不器用なくせに、時折みせる笑顔がやけに眩しかった。
口が悪くて、乱暴で、それでも__触れられるたびに心臓が狂ったように跳ねた。
 「……俺、バカみたいだな」
自分にそう吐き捨てても、もう止まらない。
 らんの世界は、いるまだけで埋め尽くされていった。
 ____________
 
 だが、いるまは決して同じ気持ちではなかった。
彼にとってらんは「都合のいい存在」でしかなかった。
寂しい夜に呼び出せば、必ず来る。
体を重ねれば、泣きながらも受け入れる。
そんな相手。
 「なあ、もう帰れよ。明日も仕事だろ」
いるまは煙草を吹かしながら、淡々とそう言った。
 「……でも、俺……」
「うるせぇな。別に好きとかじゃねーから。わかってんだろ?」
 刃物より鋭いその言葉に、らんの胸は裂かれそうだった。
それでも、ただ頷くしかなかった。
「うん……わかってる」
 わかっていないはずなのに。
信じたい言葉は、一度も与えられなかった。
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 ある夜、らんは偶然見てしまった。
いるまが女と歩く姿を。
街灯の下、自然に手を繋ぎ、笑っていた。
その笑顔を、らんは一度も向けられたことがない。
 視界がぐにゃりと歪んだ。
「…っ」
声にならない嗚咽が喉を塞ぐ。
 帰り道、雨が降り始めた。
びしょ濡れになりながら歩いても、心は乾かなかった。
 __やっぱり俺じゃない。
__俺は、何者でもない。
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 「いるま…」
どうしても会いたくて、彼の家の前で待った。
深夜、ようやく帰ってきた彼が眉をひそめる。
 「は?なんでここに……」
「…俺、いるまがいないとだめなんだ。好きだよ、ずっと好きだった」
 必死だった。泣きながら抱きしめた。
それでも彼の返事は冷たかったを
 「……悪ぃけど、俺はお前なんか愛せねぇ」
 世界が、音を立てて崩れた。
らんの手が震え、力が抜けていく。
それでも、ただ縋るしかできなかった。
 「お願い……捨てないで……」
 「…ほんと、めんどくせぇ」
彼は無理やりらんを振りほどいた。
 そのとき、らんの中で何かが静かに壊れた。
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 それからの日々、らんは食べることも眠ることもできなくなった。
職場でも心ここにあらずで、次第に周囲からも距離を置かれる。
心配する人は誰もいなかった。
だって、らんの世界は「いるま」だけだったから。
 唯一の光だった存在に「価値がない」と告げられ、残ったのは暗闇だけ。
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 最後に送ったメッセージは、既読すらつかない。
 『ごめんね。俺、ちゃんといなくなるから』
 返事はなかった。
 部屋に響くのは時計の針の音だけ。
冷たい夜風がカーテンを揺らす。
らんは最後にもう一度だけ、いるまの名前を呟やいた。
 「いるま……」
 その声は闇に飲まれて消えた。
 ____________
 
 翌朝。
スマホの通知が鳴る。
「今さら何だよ」
いるまは不機嫌そうに画面を開いた。
 そこに残っていたのは、未読のままの長い文章。
震える文字で綴られた「すき」と「ありがとう」と「さよなら」。
 読んだ瞬間、いるまの手からスマホが滑り落ちた。
 「……は?」
 胸の奥に、鈍い痛みが広がる。
だがその痛みを、彼は最後まで認めなかった。
 ただ、冷たくなった画面を見つめるだけだった。
 
 
 
 
 
 𝐹𝑖𝑛.