テラーノベル
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生徒(人によっては)も先生も辛い日を乗り越え、いよいよ当日。そう。中間テストが始まった。
生徒によっては赤点覚悟で、端(はな)からやる気がない生徒もいれば
今回だけは勉強を頑張った生徒もいる。そう、円のように。
円は謎に、そして勝手に体育祭の旗作りのリーダーを名乗っているので、赤点を取ってはいられないのである。
なのでいつもより多少は勉強した。というより、いつもが勉強しなさすぎなのだが。
達磨ノ目高校では、テストの点数の成績よりも、祭り事と呼ばれる、一般の高校でいうところの行事に対して
どれだけ精を出したかを重要視する少し変わった高校なのだ。
なので別に赤点を取ろうが余裕で挽回できる。しかしもちろんテストも成績には反映される。
なのでテストの点数が良いことに越したことはない。
なのでしっかり勤勉な生徒ももちろんいるが、「ド真面目」という生徒は非常に稀である。
虹言(にこ)も達磨ノ目高校の中ではド真面目になるが、世間一般的にはド真面目ではない。
万尋(まひろ)もテスト期間中にもWEW(Word Extreme Wrestling) Entertainmentを見ていたし
士は部活のために勉強を少ししたが、それも1日5分〜15分程度。
それもただプリントや教科書を広げて眺めていただけ。蘭は虹言と似たタイプ。虹言よりも真面目度は低いが
虹言と同じで普段の授業もちゃんと聞いてるし、テスト前となったら多少テスト勉強もする。
同じバンドメンバーのボーカル兼ギター担当の葉道(はど)はというと
「勉強してなさすぎてヤバす」
言わずもがな勉強していない。
家ではお気に入りのアメリカのバンドのライブ映像をスマホで見て盛り上がっていた。
先生の鳥愛(とあ)はというと、テストの制作、自分で解いたり、問題文の確認
補修の生徒は十中八九大人数出るので、その補修のためのプリントの制作と割と地獄だった。
生徒はテスト勉強で辛い生徒もいれば、呑気にいつも通りの生徒もいたが
先生はそうではない。先生は一様に地獄。数学も英語も地理も日本史も世界史も。
「副教科でよかったぁ〜ってテスト期間毎回思いますわ」
と言う天美(あみ)。そう、副教科の先生を除いて。
そんなそれぞれのテスト前を過ごして、いざ、テストが始まる。
先生がテストを配り、生徒は後ろに回していって、先生が時計を見て先生の合図で始める。
教室内はカリカリスースー、サー、ペラッっとシャーペンで書く音、プリントを捲る音などが響く。
ちゃんと勉強してきた者はちゃんと考え、思い出し、解答欄を埋めていくが
葉道なんかは選択肢の問題を勘で埋めるだけ。あとは覚えてる単語でテキトーに空欄を埋めていく。
もしかしたら当たっている可能性もなくはないので。
そんなそれぞれの過ごし方でテスト期間が過ぎ去った。テスト最終日、最終科目が終わり
「はあぁ〜!おぉ〜…わったぁ〜!」
伸びをする葉道。
「どうだった?」
と虹言に聞く万尋。
「んん〜…。まあまあ?」
「おぉ〜。さすがです」
なんて話す虹言と万尋。
「つぅ〜かぁ〜さぁ〜」
と机に突っ伏す士に声をかける葉道。
「どうだったっす?」
「…。死んだ」
「お?爆死?」
「爆死」
「おぉ〜おぉ〜」
と葉道は嬉しそうに士の肩に腕を回して
「一緒に補修頑張ろうな」
と言った。
「アイビル。どうだった?」
とアイビルに聞く蘭。
「うん。まあ。まあ?」
「お。自信あり?」
「ま、赤はないかな」
「ま、オレも赤はないと思うけど。ちなみにさ?」
と蘭は問題用紙を持ってきて
「ここ正解わかる?」
と質問していた。このテストに賭けていた円はというと
「大丈夫大丈夫。うちが抜けたら今年の体育祭は崩壊する。旗作りリーダーで旗作りのキャプテン
旗作り部長のうちが抜けたら旗がゴミ旗になって、体育祭はうちらのクラスが足を引っ張って最下位になる。
大丈夫。赤はない。補修もないはず。大丈夫…大丈夫…」
とぶつぶつと呪文のように呟いていた。テスト期間は通常授業のときと違って早めに終わるので
「ヘェ〜イ!お疲れっしたぁ〜!」
葉道がコップを片手に乾杯の音頭をとる。
「「「かんぱぁ〜い」」」
アイビル、士、蘭と葉道の4人でコップで乾杯する。
そう、一旦帰ってからファミレスにて「テストお疲れ様です会」を開いていた。
「いやぁ〜、終わった終わった」
「葉道は通過しただけだろ」
「まあなぁ〜。勉強はしてない」
「威張るな」
「いやぁ〜でもテスト終わってよかった。あのテスト期間マジで雰囲気(ふいんき)が好きじゃないからさぁ〜」
「雰囲気(ふんいき)ね」
「そう。雰囲気(ふいんき)」
蘭は首を振って
「「ふ ん い き」ね」
と言う。
「は?」
「葉道は「ふいんき」って言ってるけど、実際は「ふんいき」だから」
と言う蘭に、額に手をあてる葉道。
「蘭姉」
「兄ちゃん」
「そーゆーとこだぞ?マジで」
「ん?」
「モテない。マジでそーゆーやつは」
と言う葉道に
「そうだね」
と涼しい顔をして頷く蘭。
「腹立つわぁ〜。この余裕顔。どお思います?」
と葉道が士に話を振る。
「さあ。オレは赤でサッカーできる時間が限られることと、何より顧問に怒られることが怖すぎてヤバい」
「え、サッカー部の顧問ってさ」
と葉道と士が話す中
「アイビル頭良いよね」
とアイビルと話す蘭。
「え。全然そんなことはないと思うけど」
「イギリスでは何点くらいが平均だった?」
「えぇ〜…。覚えて、ないかな」
「ほんとか?謙遜で覚えてないって言ってるだけじゃないの?」
「そんなことないよ」
と言うアイビル。そんな男子陣の一方、女子陣もファミレスにてテストお疲れ様でした会を行っていた。
「で?円どうだったの?勉強会した成果は」
と円に聞く万尋。
「…」
聞かれた円は笑顔のまま、ゆっくりとテーブルに額をつけた。
「ダメだったと。ま、結局勉強会でも勉強してなかったしね」
と万尋が言うと
「失礼な」
とスッっと顔を上げた。
「うちにしては勉強したほうですー」
「で?解けたの?」
「…」
またテーブルに額をつける円。
「むでぃでーじだ(無理でーした)」
「赤は免れそう?」
「…ん“ん”〜…。五分五分」
「なんだそれ」
と笑う万尋。
「マジヤバい。補修あったらどうしよう…」
「1教科くらいは平気っしょ」
「そうかなぁ〜」
「だって旗作りだって毎日やるわけじゃないんだしさ。
1、2教科くらい赤あったって旗作りにそんな影響出ないって」
「…」
そう万尋に言われて考える円。
「…た、し、か、に?…え?てことはそんな必死に勉強する必要なかったんじゃん」
と気づいた。
「いや、そもそも必死でもなかったけど」
と言う万尋に、クスッっと笑う虹言。
「なにを言いますの?去年に比べたら100倍は勉強しました」
「だとしたら普段勉強しなさすぎだよ」
「いやいや。普段勉強することある?虹言ちんはしてそうだけど、万尋とか正直家で勉強してないっしょ」
「ん?テスト前はちょっとはしたよ?」
「普段は?」
「普段はそんなしないかな」
「ほらぁ〜」
「いや、私は授業ちゃんと聞いてるからね?」
「授業聞いててもわからんくない?」
「わからんよ?でも赤くらいは回避できるよ」
「マジ?天才なん?」
「話聞いてた?赤くらいは回避できるって言ってんだからよゆーでバカだよ」
なんて話をしていたら
「お。円だ」
「お。マジだ」
と声がしてそちらを向くと
「うげっ。またかよ」
真夜衣(まよい)とルビーと詩衣(うたい)がいた。ルビーが店員さんに言って円たちの横の席にしてもらった。
「円たちもお疲れ会?」
ルビーが聞く。
「そうそう」
「お疲れ」
と目を閉じて円に向かって合掌する真夜衣。
「おい!今回はそっちのお疲れ会じゃないわ」
「嘘じゃん。去年ずっとこっちのお疲れ会だったのに」
と「こっちの」と言うとき合掌する真夜衣。
「へへぇ〜ん。今年は勉強したのですよ」
「えっへん」と言わんばかりの顔をする円。
「マジか」
「ヤバ」
と真夜衣とルビーが同時に驚く。
「え、ほんとです?」
とルビーが万尋たちに聞く。万尋は静かに顔を横に振る。
「おい!万尋!」
「あ、やっぱり」
「嘘はいかんぞ嘘は」
「嘘じゃないし。去年ゼロだった勉強をちょっとはしたし」
「「おぉ〜」」
と拍手する真夜衣とルビー。
「そんな?」
思わず呟く万尋。
「そんなそんな。だって去年テスト期間中もまよと遊び歩いてたもんね?」
「そうねぇ〜。テスト期間って早く終わるから、小旅行みたいの行ってたよな」
「行った。浅草とか行った」
「旅行じゃないでしょ」
「「いや、旅行っしょ」」
息が合う円と真夜衣。
「さすがまどかマヨイコンビ」
「○どか☆○ギカみたいに」
と呟く虹言に、スッっと視線を向けるルビー。視線だけで
あなたもこちらの者(ヲタク)か
と言う。虹言もそれを受け取り
まさかあなたも?
と言う。ルビーは頷き、虹言も頷く。
「もしかして…遠空田(とおくだ)さん」
詩衣が虹言に話しかける。
「は、はい」
「ルビーと話したかったりする?大丈夫だよ。ルビーああ見えて誰にでも優しいし
前話したとき、遠空田さんアニメ好きって言ってたでしょ?ルビーも好きだから話合うと思うよ」
と詩衣が言うと
「やっぱりそうなんだ」
と呟く。
「はい。ありがとうございます。でも大丈夫です。たぶん袴田さんも同担拒否だと思うので」
「ど、ルビーもそれ言ってるんだけどさ、どうた、なんたらってなに?」
と虹言に聞き、虹言がそれに答えていた。
「うおっ。ルビー先輩じゃないっすか」
「あ、真夜衣先輩」
「お、美休(みき)ちゃん」
「お。星空(ステラ)」
円や真夜衣、ルビーたちの後輩、達磨ノ目高校の1年生も来ていた。そんなこんなで盛り上がる女子陣。
生徒たちはテストから解放され、まあ、テストの返却で「何点だろう」と不安な生徒もいるが
生徒たちは一様に解放された気持ちになっていた。しかし先生陣はというと
「あ“ぁ”〜…」
「う“ぅ”〜…」
一様に項垂れていた。そう。生徒たちはテストに向けて準備し、テストで本領を発揮すれば終わる。
発揮しなくても終わる。本領を発揮できなかったら終わる。勉強しなければ終わる。
ま、生徒はいろんな「終わり」があるが、先生は「終わり」ではない。
先生はテストを作ってテスト当日を迎えてもそこで終わりではない。
むしろ地獄の「始まり」とも言える。テスト作りももちろん大変である。
しかしテスト作りは、各学年ごとに、現在では進めている範囲内で作ればいい。
そして機械にまかせて数百枚印刷すればオッケーなのだが、テスト終了後はそうはいかない。
印刷した数百パターンの解答用紙を1枚1枚○×をつけていかないといけない。控えめに言って
「「地獄の始まりだ」」
地獄である。思わず鳥希と我希(わき)の声が揃う。
「なぜうちは生徒が多いのか…」
「ほんとそれっすね…」
「なんで何百部も印刷してしまったのか…」
「ほんとそれっす…」
今言ってもどういにもならないこと、そもそものことを言う鳥希と我希。
「須藤くんはそもそもここのOBでしょ。人数多いのは知ってたでしょ」
と言う天美。
「知ってましたよ?知ってましたけど、教師やるならここ以外考えられないんすよ。
めっちゃアットホームだし、先生も生徒も」
「まあ。たしかに」
「それにオレの代がピークで人数減るかなって思ったんすよ」
「あぁ、なるほどね?少子化進んでるからね?」
「そっす。でも…」
「変わらず多かったと」
「はい…。なんならオレらのときより多いんじゃないかレベルです…」
「マジか。ご愁傷様です」
チーンと聞こえてきそうな雰囲気で手を合わせる天美。
「…天美ちゃん、手伝ってもらうからね」
「え。いやいや。ね?情報漏洩的な問題で担当科目の先生がやらないとだから」
「いや、手伝ってもらう。いや、お願いマジで、300円あげるから」
「安いなぁ〜…」
「嘘嘘。奢る。ビールとか諸々」
「…ま。考えます」
「え。それはダメでしょ。ズルいっす。ってか、違反でしょ」
「須藤くん。頑張ってね」
ということで先生ここからが地獄の始まりであった。
「天美ちゃん。なんか夜食作ってー」
天美は鳥希の家にいた。鳥希がキッチン向かった天美に声をかける。
「出た。冷蔵庫開けますよー」
氷を入れたグラスをキッチンに置きながらそう言う天美。
「いつもそれ言ってから開けるけど、別に断んなくていいよ?」
そう言われて天美は冷蔵庫を開け
「鳥希先輩もそれいっつもそれ言いますけど、一応人の家ですからね。言いますよ」
と冷蔵庫を見ずに鳥希のほうを見て言う。
「別に冷蔵庫に変なもの隠してないから平気だよ」
「まあ」
と言いながら冷蔵庫に視線を向ける。冷蔵庫の中を見て固まる天美。
「先輩」
「ん?」
「野菜室も開けていいっすか?」
「いよー」
冷蔵庫のドアを閉め、確認を取ってから野菜室を開ける天美。野菜室の中を見てまた固まる。
「先輩」
「ん?」
「よくこの冷蔵庫の中身で夜食作ってくれって言いましたね」
それほどまでに冷蔵庫の中身はスカスカだった。
「Oh…。じゃ、ちょっとコンビニでなんか買ってくる。…よっ、っと。なんか欲しいものある?」
と鳥希はソファーから重い腰を上げる。
「え。私も行きますよ」
「ううん。寛いでて。休日出勤伴ってもらうわけだし、ゆっくりしてて」
「休日出勤私も行くのは決定なんですね」
「決定。ビールとかいろいろ買ってくるから」
「じゃあ、まあ…」
「私が食べたいものテキトーに買ってくる。あ、アイスとか買ってこようか」
「お。いいですねぇアイス」
「じゃ、またコンビニでLIMEする」
「うぃ〜っす」
ということで鳥希は家を出た。部屋着で髪も前髪も触角と呼ばれるフェイスラインの部分の毛も
後ろの毛とまとめてお団子にして、ぴょこんとはみ出る毛は全部クリップで留めた、完全オフの状態。
そこでコンビニに入ろうとしたとき、コンビニから見覚えのある人が出てきた。
「…え。アイビルくん?」
「あ、奥樽家(おたるげ)先生」
そう。鳥希のクラスのアイビルだった。
「なにしてんのこんな時間に」
時刻はもうすぐ12時。18歳未満は11時、23時以降は補導となる。
「え。ちょっとアイス食べたくて。あ、奥樽家先生も食べます?プピコなんで、半分よかったら」
「いや、そういう話じゃなくて。時間」
と「時間」のとき、してもないのに左手の手首を右手の人差し指でトントンする鳥希。
「もう補導される時間だからね?」
親御さんも言わないと
と思った後すぐに
あ、そっか。親御さんイギリスにいるんだっけ…。もう。同居人の方もしっかりしてよね
と思う鳥希。
「あぁ〜…。もうっ。ちょっと来て」
と今コンビニから出たばかりのアイビルの腕を引いて、またコンビニに入る鳥希。
冷凍食品コーナーでパスタやチャーハンなどを
「あれだからね。今、天美ちゃん、あぁ〜…家庭科の兄邏(けいら)先生が家(うち)に来てて
兄邏先生が食べたいって言うから」
と買い物かごにどんどん入れていく冷凍食品やこれから買う食料品を天美のせいにしながら
買い物かごにどんどんと入れていく鳥希。
「っ…しょん…」
そんなこと言われているなんて梅雨知らず、天美はくしゃみをして鼻の下を人差し指でさすさすしていた。
そしてお菓子コーナーでお菓子を、お酒のコーナーでお酒を、アイスコーナーでアイスを買い物かごに入れ
レジに持って行ってお会計を済ませた。そしてコンビニを出た。
「で?どっち?」
と言う鳥希に「ん?」という顔をするアイビル。
相変わらずイケメンだな
と思う鳥希。
「家。アイビルくんの家。どっち?」
「あ、。こっちです」
とアイビルの横について歩く鳥希。アイビルは鳥希が持つレジ袋に手を伸ばす。
「うおっ」
急に手が持ち上がって声が出る鳥希。
「持ちます」
「え、いいよ」
「大丈夫ですよ」
少し押し問答があったが、結局アイビルが持つことになった。
「先生が生徒に持たせてるように思われないかな…」
「大丈夫ですよ。今先生と生徒だってわからないだろうし」
「あ、…たしかに」
「カップルと思われてたら女性に持たせてる男性のほうが変に見られますからね」
「カッ、なに言ってんの」
と言う鳥希に
可愛い
とクスッっと笑うアイビル。
「というか奥樽家先生になら持たされてもいいですよ」
と微笑むアイビル。
Mか
と思う鳥希。がさすがに口にはしなかった。
「テストどうでした?オレのもう採点しました?」
「ん?まだぁ〜…じゃないかな…。わかんない」
「お家でも採点ってするんですか?」
「え?しないよ。解答用紙自体、家持ち帰るのダメだからね」
「あ、そうなんですか?」
「そうよ?法律で禁止されてる。ま、今だとスキャンしてパソコンでって先生も多いけど」
「へぇ〜。家でも丸つけてるイメージでした。紙のテストを」
「私もね、家に持ち帰ってでもしたいよ?終わんないから。でもダメなんだって。
生徒の個人情報がどうたらこうたらって。
…生徒の個人情報ももちろん大事だけど、教師の苦労も考えてほしいもんだよほんと。
そもそもさ?昔、テストの解答用紙が入ったバッグを電車かなんかに忘れて
生徒の点が知られた。みたいな話があったとかなかったとか言うけどさ?
テストの解答用紙入ってなくてもバッグなんてふつー忘れなくない?
あと個人情報のどうたらとか言うけど、パソコンでスキャンして家で採点がオーケーって
ネットのほうが流出する危険性があるのに、なんでスキャンしてパソコンでの採点がオーケーで
紙を持ち帰っての採点がダメなわけ?ほんとーに意味がわかんない」
など鳥希が愚痴をこぼし、アイビルは頷きながら聞く。そんな話をしていたら
「あ、ここです」
とアイビルの家の前についた。
「デカッ」
思わず声に出た。見るからにめちゃくちゃ高級マンションだった。
「上がってきます?」
「は?いや、そんなわけないでしょ」
「あ、そうですか?」
「そうですかって…。時間的な問題で送ってきただけ」
「なるほど。じゃ、今度はオレが先生を送りますね」
「ありが…。いやいや。意味ないから。永遠にループするだけよ」
「永遠にループ。ま、それもありじゃないですか?」
と微笑むアイビル。
な、なに言ってんだこやつは
と思う鳥希。
「じゃ、とりあえず持ってくれてありがとね」
とアイビルからレジ袋を受け取る鳥希。
「大丈夫ですか?夜遅いし心配ですよ」
「ありがたいけど、高校生のほうが心配だからね」
法的に
と思う鳥希。
「それにこんな色気のかけらもないブスは誰も相手にしないから大丈夫よ」
と言う鳥希に、キョトンとした顔をして
「え?オレはコンビニ前で会ったときから、いつも可愛いけど、違った可愛さがあるなって思ってましたけど」
と言うアイビル。
「へ」
思わぬ言葉に変な声が出て、頭の中でアイビルの言葉を整理して、ポッっと頬が熱くなるのがわかった鳥希。
その顔を見られまいとクルッっとアイビルに背を向ける。
「じゃ、じゃあ。これからはこんな時間に外出ないようにね。
今日はたまたま私と会ったからいいけど、もし会わなかったら補導されてたかもしれないんだからね」
「すいません。でも奥樽家先生と一緒ならいいんですね」
「いー…いけど、そんなことないからね。じゃ」
と一歩踏み出したとき、頬に冷たいなにかがあたる。肩をすくめる。
「送ってもらったお礼です」
というアイビルの声に、頬の冷たさに手を伸ばす。頬にあたっていたのはプピコのホワイトサワー味だった。
「あ、ありがとう」
「いえ。じゃ、気をつけてくださいね」
「うん、じゃあまたね」
「はい」
とアイビルから貰ったプピコを開け、食べる鳥希。
「ん。ひさしぶりに食べたけど美味し」
とプピコを食べながら歩いて行き
「はふぁいあー(ただいまー)」
家へと帰った。
「お。おかえりなさい」
「…おえっ…」
プピコの空の容器をくわえていたら、気持ち悪くなって嘔吐く鳥希。
「大丈夫っすか?」
「あ、大丈夫大丈夫」
と言う鳥希の手に握られたプピコの空の容器を見て
「あ、プピコ買ってきたんすか。何味っすか?」
と食いつく天美。
「ん?あぁ〜…。ホワイトサワー。…でも天美ちゃんの分ないわ」
「え!?なんでっすか!プピコってシングル売ってましたっけ?」
「さあ」
「え。2本とも食べたんすか?」
「いや…。ま、バーゲンダッシュ買ってきたから許して」
「まあ…。割とプピコの口になってたけど、ないもんはしゃーないっすね。明日買お」
ということでアイスを食べ、お酒を飲み、夜食を食べて夜更かしした2人だった。
ベランダから、ベランダのスライドガラスを開けるアイビル。
「お。おかえりぃ〜。コンビニにアイス買いに行くだけにしては遅かったですなぁ」
と同居人のシノが言う。アイビルは靴を脱いで中に入る。
「ちょっとね。知り合いと会って家まで見送ってきた」
「お。誰?同族?」
「いや?学校の人」
「なんだぁ〜…。私も学校行きたくなってきた。今から入学できないかな」
「無理だろ。…あ。今度体育祭あるから来れば?」
「え!?参加できんの!?」
「それは無理だろうけど」
「なんだよぉ〜…」
「オレが楽しそうにしてるの見ればいいよ」
と笑うアイビル。シノは「むぅ〜」という顔をして言った。
「この悪魔め」
食いもんだと思ってくれ
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#初心者🔰
ゆあ
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#イラスト
紅葉.
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あおいです🤍 第14話、読ませていただきました! テスト期間の生徒たちの緩さと先生たちの地獄っぷりのギャップが面白かったです!特に葉道の「ふいんき」ネタと蘭の冷静なツッコミに思わずクスッとしました。 そしてラストのアイビル×鳥希先生!コンビニ前での偶然の遭遇、アイビルの「いつも可愛いけど違った可愛さがある」発言に先生が赤面するところ、プピコのお返しも含めてすごく甘酸っぱくてドキドキしました。悪魔vs教師の距離感が絶妙です🌷