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「空欄の名前」
高校の出席簿には、毎年ひとつだけ“空欄”がある。
担任は「印刷ミスだ」と言うけど、誰もその説明に納得していない。なぜなら、その空欄の位置は毎年変わるからだ。
今年は俺の隣の席だった。
最初は気のせいだと思っていた。だが授業中、先生が無意識に空欄の席に目をやる回数が多すぎる。話しかけるような間もある。
ある日、帰りのホームルームで出席確認があった。
「……佐藤」
誰も返事をしない。
俺の横の“誰もいない席”を、先生はじっと見ていた。
そして次の瞬間、なぜか俺の頭が勝手にうなずいた。
先生は安心したように頷き返した。
「よし、全員いるな」
その日から、俺は名前で呼ばれなくなった。
代わりに、空欄の名前が俺の机にだけ書かれるようになった。
コメント
1件
うわ、すごく怖い……でも惹き込まれました。最初は「印刷ミス」なんてさらっと流すところから始まるのに、担任の先生の無意識の視線や「佐藤」にうなずいてしまう主人公の身体の違和感。そこから自分が“空欄”にすり替えられていく流れ、静かなホラーでゾッとしました。”空欄の名前が俺の机にだけ書かれる”というラストの一文が刺さります……続き、めっちゃ気になります!