何となく、なにかに呼ばれたような気がして、とある部屋へ入った。そこはシズハの部屋だった。キャリーケースの中身が散乱している。おそらく怪物の仕業だろう。その中で、私はある物に目を留めた。
シズハがいつも持っている、かなりの分厚さのノート。学校でも、休日にカナと私とシズハで遊んでいる時も。ずっと手放さなかったノート。私は、興味本位でノートを開いてみた。
中には、たくさんの絵が描いてあった。女の子の絵、クマの絵、うさぎの絵・・・ページをめくっていくと、メモのようなページを見つけた。
「パパの仕事案:ぬいぐるみデザイン テーマ:子供に人気そうな可愛いクマ」
そこには、かつての親友が持っていたクマのぬいぐるみにそっくりなクマが描かれていた。
どうやらシズハの父親は玩具を作る工場で働いているらしく、このノートは玩具のデザイン案を描くためのものらしい。
途中のページから絵のタッチが変わった事から、それまではシズハでは無い誰かのノートで、何かをきっかけにシズハが引き継ぎ、発案、デザインの担当になったのだろう。そして、その「きっかけ」というのは・・・
そう考えていた時、ノートの間から何かが落ちた。私はそれを拾い上げた。
それは、鍵のようだった。タグには、「在庫置き場」と書かれている。
「この船はただの豪華客船じゃない」改めてそう思った。
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