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わ ぁ ~ っ … .ᐟ
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「 No.1ホストと幼馴染」 ― ya × et
えとさんをタクシーに乗せ、最後まで見送ったあと。
深く息を吐いて、ゆあんくんは店の裏口へと戻ってきた。
――夜風に冷やされた頬はまだ熱いまま。
(……俺、あんな顔、客に見せたら終わりだろ。)
扉を開けると、ちょうど休憩中のうりが煙草を持った手でこちらを見た。
にやりと笑う。
「ずいぶん遅かったね。裏で何してたんすか?」
「……別に。」
いつもの塩対応で流そうとする。けれど、グラスを拭いていた手がわずかに止まっていたのを、うりは見逃さなかった。
「へぇ……顔、赤いっすよ。珍しい。」
ゆあんくんは黙ったままロッカーの扉を強めに閉める。
(……やっぱ、隠せてねぇのか、俺。)
胸の奥に残るえとさんの声が消えない。
「私は……仮面のゆあんくんじゃなくて……本気のゆあんくんがいい。」
その一言が、何度も反響して苦しい。
グラスを手に取り直したけれど、結局、口に出たのは溜め息だった。
「……ちくしょう。」
うりが目を細める。
「ゆあんさんにしては、ずいぶん人間らしいじゃないすか。」
「……黙れ。」
「…認めないようなら俺がえとさん貰いますからね。」
「っ…は」
「俺この前はじめて話したとき一目惚れしちゃったっぽいんすよね〜」
「あの唯一無二な存在感。…ふわっと香る甘い匂い。色気のある美しい体。全部俺のものにしたい。」
「お前…あまり調子に乗るなよ。」
「ゆあんさんこそですよ。うちのNO.1ってこと自覚してます?」
「幼馴染に気とられてやめるとか…許されるんすかね」
「……っ」
そう言いながらも、ゆあんくんの胸の内では、もう答えが出ていた。
――えとさんを、手放すわけにはいかない。