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「ねぇ、見てー?」彼が無邪気に私に見せてきたのは、一輪の小さく可愛く咲く花。
たった一つ、そこにポツリと咲いていた。
「ひとりぼっちで可哀想。でも、こんなに頑張ってる。」
彼のこういうところが好き。
人間に対してもそうだ。
人の気持ちに寄り添って心配して、いい所も見つけて。
「まるで私みたい。でも、私は頑張れてなかったかも。」
苦笑しながら私はそう言った。
すると彼は「何言ってるの?頑張ってたじゃん。それに今も。」って言うんだ。
私が何も言わないでいると、言葉を続けた。
「君が頑張って生きてる姿。花や動物に向ける笑顔。その優しさと強さに僕は惹かれたんだよ?最初、俺の事を睨んだとき顔も鮮明に覚えてる。怖かった。」
そう言って笑った。
人のことを信用出来なくなっていた私は、他人に対して笑顔を作れないでいた。
「もー!その話はやめてよー!恥ずかしい!ごめんってばぁ!」
彼の方を叩きながら言う。
彼のおかげで私は心から笑顔でいることが出来る。
「この花にもきっと素敵な子が現れるよ。君の前に現れたこの僕のようなね。」
「自分で素敵とか言、う、な。」
「へへっ。よし、行こっか。また会いに来るね。」
お花にも挨拶をして私たちは手を繋いで歩き出す。
この温かさがとても幸せ。
“ずっと一緒に居ようね。いつもありがとう”
ぎゅっと握られた手を見つめて私は心の中で彼にそう呟いた。