テラーノベル
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4回目の土曜日。
岩本は張り詰めた空気の中、自宅のリビングで一人、宮舘(幽霊)が来るのを待っていた。
今回、目黒と渡辺は一番近くで家の外までしか来られない。
💛「………」
部屋の隅をじっと見つめる。
密室での事態に備え、目黒が用意したのは一台のペットカメラだった。
普段は彼が留守番中の愛犬の様子を確認するために使っているものだ。
まさか自分の身の安全と監視のために使われることになるとは。
💛「……はぁ」
岩本はカメラのレンズを見つめながら、少し複雑な思いに駆られていた。
――ピーンポーン
静寂を破り、インターフォンが鳴る。
💛「……はい」
岩本が意を決してドアを開けると、そこには大きな袋を抱えた宮舘(幽霊)が立っていた。
🔴「お邪魔しま〜す♡」
💛「……その袋、何?」
🔴「ん? 材料、買ってきた!」
岩本は警戒しながら中を覗き込む。
すると、そこに入っていたのはジャガイモ、ニンジン、タマネギ、豚肉、そして市販のカレールー。
🔴「カレー、一緒に作ろ♡」
💛「…………はぁ…」
あまりにも日常的で平和な提案に、岩本は拍子抜けしてしまった。
しかし、いざキッチンに立って調理を始めようとした瞬間、幽霊は困ったように眉を下げ腕を組んだ。
🔴「う〜ん」
💛「……どうした?」
🔴「……何すればいいの?」
💛「……はぁ?」
外見は料理が得意な宮舘そのもの。
🔴「肉でも切ろっかな♪」
💛「待て」
それなのに中身の幽霊は包丁の持ち方すら怪しく、料理が全くできないようだった。
💛「……ゆっくり教えるから」
🔴「は〜い!照せんせい♪」
💛「……先生は止めて」
岩本は仕方がなく、野菜の切り方から炒める順番まで、一つ一つ丁寧に教えながらカレーを作り進めた。
.
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🔴「う〜ん♪良い匂い♡」
やがて、香ばしい匂いと共にカレーが完成する。
💛「できた」
🔴「やったぁ♪」
💛「用意するから席に着いて」
🔴「うん!」
一緒に準備していた炊き立てのご飯と合わせてテーブルに並べ、二人は席についた。
🔴「いっただきま〜す♡」
💛「いただきます」
スプーンを口に運んだ宮舘(幽霊)は、あまりの美味しさにパッと頬を綻ばせた。
🔴「超、美味いっ♡」
その無邪気な表情は、まるで5歳児の子供のようだった。
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🔴「ごちそうさまでした♪」
💛「ごちそうさま」
食べ終えて片付けも終わると、幽霊は満足そうに微笑んだ。
🔴「照!カレー、美味しかったね♡」
その言葉を聞き、岩本は知らず知らずのうちに張っていた緊張の糸を、ふっと緩めてしまった。
💛「……そうだな」
――だが、悲劇はその一瞬の隙に起きた。
💛「……え」
ガタッ、と椅子が倒れる。
💛「ぁ」
気付いた時には、岩本はリビングのベッドへと強引に押し倒されていた。
💛「ちょ…」
自分の身体の上に宮舘(幽霊)が跨っていて両手を頭の上で完璧に押さえつけられていた。
💛「おい!」
岩本は必死に力を込めて振り払おうとした。
💛「聞いてるのか!」
本来なら、鍛え抜かれた岩本の方が圧倒的に力は上のはずだった。
💛「離せよ!」
しかし、幽霊はそれを片手で容易く押さえつけ、微動だにしない。
💛「ぐっ…」
人間離れした怪力に、岩本は戦慄する。
🔴「あはっ♡……照、油断してたでしょ? 何もしないわけないじゃん♡」
宮舘の顔が見たこともない邪悪な笑みで、至近距離まで迫ってくる。
💛「やだっ……! やめて……! 」
絶対的な絶望感に、岩本の瞳から涙が溢れそうになる。
💛「……れ、れん……蓮っ!」
必死に恋人の名前を呼ぶ岩本を見て、幽霊はクスクスと嘲笑う。
すると、部屋の隅にあるペットカメラへと冷酷な視線を向けた。
🔴「…おい、そこのカメラで見てるんだろ? ここに来たら、……わかってるよな?」
カメラの向こうで狂いそうになっているであろう目黒と渡辺に向け、幽霊は明確に釘を刺した。
動けば岩本の命はない、という脅迫だった。
🔴「そんなに目、うるうるさせちゃって……可愛いね、照♡」
💛「……ほんと、に…やめて…っ…」
抵抗できない岩本を嘲笑うように、幽霊は宮舘の唇を岩本の首筋へと近付け、容赦なく強く吸い上げた。
――ジュッ
💛「…っ!」
生々しい音が響き、岩本の肌に真っ赤なキスマークが刻まれる。
❤️「ふふっ♡」
満足した幽霊は、漸く岩本の上から退くと、ゆっくりとペットカメラのレンズの前まで歩み寄った。
画面を覗き込むようにして、凍りつくような冷たい声を放つ。
🔴「唇には、しないでやったよ。……あと1回なんだから、我慢しな……?」
それだけを告げると幽霊は妖しく微笑んだ。
🔴「……じゃあね、照♡」
バタン、と玄関のドアが閉まり静寂が戻る。
その直後、ドアが開く音と共に顔を真っ青にした目黒と渡辺が部屋へと飛び込んできた。
🖤「照くん!!」
💛「蓮……!」
目黒の姿を見た瞬間、張り詰めていた感情が崩壊し、岩本は目黒の胸に飛び込み涙を流した。
目黒は岩本の身体を、壊れ物を扱うように強く、強く抱きしめ返す。
💙「……照。……ごめん、ごめんっ……!」
隣で首筋の赤い痕を見つめていた渡辺が膝を崩れさせる。
自分の不甲斐なさと、友人を傷つけられた罪悪感から、声を震わせて謝罪した。
💛「……謝らないで、翔太」
目黒の胸に顔を埋めたまま、岩本は静かで確かな決意を秘めた声で呟いた。
💛「あと1回……あと1回だから。俺、絶対に負けないから……」
💙「照……」
🖤「…………」
かつてないほどに暗く、重苦しい空気が、岩本の部屋に漂っていた。
ついに訪れる最後の土曜日。
幽霊との最終決戦が、すぐそこに迫っていた。
【残りデート数:1回】
くろ
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コメント
4件
くるとこまできたなぁ… 一緒に仲良くカレー作るとこまではよかったんだけど…(🔴料理できないんかい! 🔴💛になってきたぁ…
うわあ、第6話……一気に空気変わったね。前半のカレー作りは「日常的な平和」に思わせて油断させるための巧妙な布石だよね。料理できない幽霊に一つずつ教える岩本の姿にちょっと和んだ直後のあの豹変——「何もしないわけないじゃん」の邪悪な笑みで全部ひっくり返される構成、ゾッとした。ペットカメラ越しの脅迫も鳥肌立ったよ。ラストの「あと1回」、どう決着をつけるんだろう……伏線の張り方が本当にうまい。