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『気づきから生まれる、運命の選択。』
セフレになって初めて行為をした俺たちは…後処理をした後、疲れ果てて、そのまま眠ってしまった。
「…」 パチッ
「…あ、千空ちゃん、おはよ♪」
「…ぁ”ーー……はよ、…」
寝起きの千空ちゃんは…当たり前だけど、いつもの千空ちゃんとは違くて、とても眠そうだった。
寝起きの体をだるそうに動かししながら、着替えをしている。
声だって…まぁ、昨日あんなに喘いだせいかな。いつもより低いし、ガラガラ…枯れてる。
「体調どぉ?」
「…喉と腰がいてぇだけだ。」
「軽症と重症の間ね…」
俺が話しかけている間も、千空ちゃんは身支度をする動きを止めない。
「なんか飲む?」
「いや、帰るわ。チェックアウト頼むぞ。」
「…え、!?」
「じゃぁな。」
「ぇ、あ…バイバーイ…」
バタンッ
扉の音がした後。
部屋に残ったのは…俺と、静けさ。
てっきり、これからまったりムードで一緒にコーヒー飲んだり、お話したり、笑いあったりするのかと…
…あぁ、そっか。
本当に”体だけ”なんだ。
それからずっと…俺たちは、週に一度だけセックスをした。
ちょっと特別なプレイをしたり、玩具を使ってみたり…
その度に返してくる千空ちゃんの反応がとても繊細だった。まるで付き合っているかのように。
体だけ。千空ちゃんにも、俺にも、気持ちは芽生えていないのに…
……その、はずだった。
ある日のテレビ局。
いつも通り、スタジオでの撮影が終わって、控え室に行く途中。
あー、疲れた。
早く行ってお弁当食べよ。
「〜~…」
…ん、なんか…話し声?
……まぁ、話し声とかするの当たり前なんだけど…
でも、それにしては…なんか、…
「やっぱさ、調子乗ってるよな…」
…あーー、はいはい。陰口ね。
多分、番組スタッフかな…
まぁ、人間だから不満が溜まるのはしょうがないけど。
面倒事に巻き込まれたくないしスルーでいいや。
俺の利益にならないことは基本動かないのが俺だからね〜。
「あーー、だよな。」
「石神千空ってやつ。」
……
「”天才科学者”なんて呼ばれちゃってさ。」
「口も悪いしな。」
「この間の撮影、あさぎりさんが弄ばれてる感じがして不快だったわ〜」
………
「バカでなんも出来ない俺らを見下してんだよ。心ん中で。」
「クズじゃん。」
「ねぇ、ちょっといい?」
「っぁ、はい!あさぎりさん!」
「……千空ちゃんはそんな人間じゃない。」
「一人のできないを、他の一人のできるで補えばいい。…そんな考え方をする、素敵な人間。」
「千空ちゃんは、他人に理解される気なんて無いだけで…クズじゃないよ。」
「え……」
「あと…」
「人が見てないところで毒を吐く君たちの方がよっぽどクズじゃないかなぁ…?」
「その毒を本人が知ったらどうすんだろな…?」
「…ま、例え千空ちゃんがさっきのこと知っても…」
「こんなことで千空ちゃんなら絶対に挫けないけど…」
「…それだけ!じゃあね♪」
…振り返らなくても分かる。
番組スタッフ、今、ぽかんとしてる。
そんで…『…は?何、アイツ。』みたいなこと、思ってんだろうな。
控え室。お待ちかねのお弁当。
…だけど……
…バイヤー。
なんで口出しちゃったんだろう…しかも結構毒舌だった気がする。
なんか、千空ちゃんの陰口って知ったら無性に腹が立っちゃって…
千空ちゃんはそんな人間じゃないって対抗したくて…
いつもならスルーするのに…
…俺が感情を元に動くなんて…
…待って……俺って、千空ちゃんのこと…
「…好き、?」 (ボソッ)
その日の夜。
俺は、千空ちゃんのことが好きだ。
それはもう自覚した。そこから生まれる選択は…
俺の思いを伝えるか、伝えないか。
それだけで……俺たちの運命は変わる気がする。
第3話 『気づきから生まれる、運命の選択。』
終わりですーーーーー!!
前のアンケートでハッピーエンドとバッドエンドどちらも見たいという意見があったので、
ここからエンド分岐するみたいな感じでやっていきたいと思いますーーーー
どっちのエンドを先に書くかはお楽しみです🤫
感想待ってまぁあああす……
コメント
6件
好きっ!!! 最初の千空が起きたら何もせず帰っちゃうのが本当に体だけなんだなぁ…て思いました でもゲンがいつもはスルーするのに千空の陰口言われたらちゃんと言い返すのは…それはもうあれですね。恋ですね 次回も楽しみに待ってます!