テラーノベル
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『伝えない、ただそれだけで。』
パンッパンッパンッパンッ…
いつも通りのラブホの部屋に響く、肌と肌がぶつかり合う音。
「っ、ぁ”…♡ぁ”ァ”ッ、♡♡」
それと同時に聞こえる、甘い、可愛い声。
…あぁ、好き。
大好きだ。
千空ちゃんにこの思いを伝えるか、伝えないか…
「……すぅ、…すぅ……」
…小さい寝息。
視界のすぐ横にある、満足したように眠る千空ちゃんの顔。
…あーぁ、君のことが好きな男の前でこんな無防備になっちゃって…
何をするかわかんないのに…
そんなに心を許してくれてるんだ…
“好き”って言ったら……この関係も、この信頼も、
全部全部、無くなっちゃうのかなぁ……
…よし、決めた。
この思いは…墓場まで持っていく。
俺が思いを伝えなかったことで変わったことは…
何も無かった。
週1にセックスをして、寝て、起きて、家へ帰って…
その繰り返しを、一年以上続けた。
今日も、いつも通り…セックスをした次の日の朝。
さっさと着替えて家へ帰る千空ちゃん… じゃなかった。
何故か、着替えた後も俺の隣に座っている。
…なになに?どうしたの?千空ちゃん…
「なぁ…」
緊張した面持ちでようやく口を開く、千空ちゃん。
「……俺は、新しい研究でアメリカに行くことになった。」
「明日、出発する。」
「…えっ、」
「…だから、この関係も今日で終わりだ。」
「…」
いきなりのことに…言葉が出なかった。
…あぁ、もう、千空ちゃんだけだよ…俺をこんなことにするの…
普通の俺なら、1拍も待たずに最善の返しがパッと出てくるのに。
「…ぁーー、うん!そうだよねぇ…いつか終わりが来るもんね、どんなことにも。」
「…」
…何よ。その顔。
だって、しょうがないことでしょ?
仕事のせいでこの関係が終わったってだけで…
何も邪魔がなかったら…ずっとこの関係は、続いてた…
……そうだよね??
「…どちらにせよ、テメーが俺を好きにならない限り…この関係を終わらせるべきだと考えてた。」
「…ぇ…」
そう言って…出口のドアに歩き出す千空ちゃん。
…待って…待ってよ、…
俺、好きだよ…千空ちゃんのこと好き。
好き……
口が、開かない。
「…俺は、テメーのことが好きになった。」
「でも、もう…これで終わりだ。」
「…じゃあな、ゲン。」
バタンッ
…言えなかった。怖かった。自分の思いを伝えるのが。逃げてしまった。
「っ、ぅ”う…〜…!」
目頭が熱くなる。
頬に伝う液体が、くすぐったい。
ポタッ、ポタッ、という音。
…泣いてる…だなんて…
認めたくない。
…好き。
…そんな、たった一語、たったの二文字。
伝えていたら、少しでも変わっていた。
それだけなのに…
どうしてこんなに、重く感じるんだろう。
BADEND_
第4話 『伝えない、ただそれだけで。』
終わりです。短すぎるけど許してください…
次はハッピーエンドバージョン出しますね…
感想待ってまぁあああす…
コメント
6件
両片思いがッッ‼︎‼︎終わる瞬間を見てしまった‼︎バドエンも良いぃぃ‼︎‼︎ 悲劇的で最高でした。文学光ってますなぁ‼︎‼︎千空ちゃんの「傷つけない」が感じられてて、あんなにしたのにゲンは何も感じて無かったんだなぁって傷ついてそうでゲンのペラペラが出てない素の千空ちゃん大好きッッって感じのゲンでもうほんと好きでした!!ハピエンも楽しみにしてます!!
いやぁぁあ!悲しすぎるよぉぉぉ!!!泣😭😭😭 実は両片思いだったのね…2人とも…😭1話を読んだ時どんな話かなぁって思ってたら…こんなに素晴らしくて悲しいお話だったなんて…全米が泣きますよ!? 主様素晴らしすぎますよぉ… 次回のハピエン楽しみに待ってますぅ…😭
千空ちゃぁぁぁぁん😭😭😭 「ちょっと待ったぁぁ」って入りたい…🥺🥺🥺🥺🥺🥺 あなたたち…両思いじゃないのよ!!!!!!😭😭😭😭😭😭😭 タイトル回収がうますぎてもうほんとに天才ですね😘😘 ハッピーエンドも楽しみにしてます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 二人に幸あれ……😭😭😭