長尾 「 戻りましたぁー! 」
夜見 「 おっ! おかえりなさいー 」
体育館へとまた顔を出してみれば、先程までとは全く違う風景になっていた。
装飾が沢山されて、一段と豪華に見える。
どこからこんな装飾を出したんだ…?
夜見 「 元気な鳩だねぁ。倉庫に入れて置いてくれますか? 」
長尾 「 あいよ〜 」
長尾と共に体育倉庫へと向かう。
ガラッと重い扉を開くと、中には鳩の餌が用意されていた。
あとは普通にボールとか色々。
葛葉 「 適当にカゴごと置いとくか。 」
長尾 「 そっすね〜 」
長尾がカゴを床に置いたことを確認して、2人で倉庫から出て扉を閉める。
夜見 「 よーし、準備完了! 」
「 とりあえず今日は帰っていいよぉ、明日のお昼にやるから皆に言っといて! 」
葛葉 「 はいよー 」
彼女の言葉で皆が解散していく。
自分は何をしようか。皆に知らせることは確実として…ま、ゆっくり寝ようかな。
そんなことを考えながら、ゆっくりと体育館を後にした。
…あ、お腹空いた。
ふとそう思って、食堂へ向かう。食堂には誰もいない。
まぁ、毎回人が集ってるわけじゃないし当たり前か。
葛葉 「 輸血パックと…あ? 」
何かあるかと冷蔵庫を探っていると、ラップがかけられたおにぎりがあった。
「誰でも食べてどうぞ」と書いてある。
葛葉 「 …なんだこれ、怪しぃーなー! 」
毒でも入ってんじゃねぇの? と首を傾げる。
…まぁでも、こんな分かりやすい殺人方法はないか。
こんなんおにぎり作った人が犯人だし。
あと普通にお腹空いたし……
葛葉 「 …食べよ。 」
3つのおにぎりが乗った皿を手に取って、食堂の椅子に座る。
どれから食べようかな、左のやつにしようかな。
適当に選んで、手に取って口に運んだ。
普通の味だ、毒とかはなさそう…。
そう思って、もう一口…
葛葉 「 …ンぐッふぅ゛?! 」
咄嗟に吹き出した。
え、何。甘…苦…?え?何味?マッズイ。
混乱した頭で手元のおにぎりを見詰めながら、口元を拭く。
葛葉 「 ある意味毒だよもうこれ 」
もう食べないとこう。そう固く決意して、おにぎりを捨てた。
もう2つは…戻しとこう。
葛葉 「 地獄を味わったマジで 」
ヂュー、と血液パックを飲みながら、部屋の方向へ歩いた。
叶 「 あ、葛葉。 」
葛葉 「 お、叶じゃーん! 」
廊下で見慣れた姿が見えて、少し嬉しくて声を明るくした。
葛葉 「 叶はもう聞いたの? マジックショーの話。 」
叶 「 え?何それ。僕は知らないよ」
葛葉 「 夜見さんがやるんだってさ 」
叶 「 へぇー、良いじゃん。明日? 」
葛葉 「 明日の昼 」
叶 「 ふーん… 」
俺がそう伝えると、叶は数秒黙り込んだ。何か用事でもあっただろうか?
そう考えていたら、叶は口を開く。
叶 「 行くのはいいけど、一緒に行こう 」
葛葉 「 あぁ、そのつもりだけど 」
叶 「 …あっそ、僕のこと好きだねぇ葛葉 」
葛葉 「 は? いやいやいや…w なんでそうなんのw 」
叶 「 別にー 」
そう軽く会話を交わした後、叶に別れを告げて、俺は部屋に戻った。
その後は本当にすぐ終わった。
お風呂に入って着替えて、歯ァ磨いて寝た。
…明日のマジックショー、楽しみだなぁと思いながら。
葛葉 「 …ン、 」
葛葉 「 …るさ…何、 」
ゆっくりと体を起こして、ぼやけた視界に目を擦った。
大きくあくびをしてから、扉を開く。
葛葉 「 はい… 」
叶 「 おはよ、葛葉 」
葛葉 「 あぁうん…なんかあった? 」
叶 「 あ、ホントに寝てたんだ? あのね、今からシロクロ決めるって 」
葛葉 「 シロクロ…あぁ、あのカードの… 」
叶 「 そうそう、今回は食堂でやるって。もう放送かかってんだから早く一緒に行こ? 」
葛葉 「 うん 」
叶に差し伸べられた手を握って、小走りの背中を追いかけた。
本間 「 あ、やっと来た〜! 」
剣持 「 寝起き感満載だな…(笑) 」
カグ 『 じゃあ、集まったので早速始めようと思います… 』
『 人の電子手帳は見ないこと。見たらお仕置だから。 』
『 では…それぞれ開いてどうぞ。 』
ポケットの電子手帳を開いて、[ カードを確認する ] ボタンをタップした。
今回、自分は……
シロだ。
良かった…。殺さなくて済む。
…あれ、殺さなくて済むってなんだ。
まず殺人することが普通じゃないのに、なんでこんな考えが…。
まるで、必ず殺人が起きるって言っているみたいじゃないか。
…気分が悪い。慣れてきてしまっているんだ、この状況に。
…今日か明日、殺人がきっと起きる。
いやでも、マジックショーがあるし…まずはそれを皆で見るだろ、普通。
とりあえず…それは楽しみにしておこう。
コメント
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続きありがとうございます!! とても好きです。!