pn
 
 rd「ねぇ見てこれ」
 pn「え、かわいい … 買ったの?」
 rd「うん 、 一目惚れしてさー 笑ヾ」
 pn「へー、珍し 笑ヾ」
 rd「これ … お揃いにしない?」
 pn「えっいいの?」
 rd「大切にするならね〜」
 pn「もちろん !! 笑ヾ」
 夏の暑さも過ぎ去り、季節はあっという間に秋になっていた。
夕日でオレンジに色に光る海はキラキラと輝いていて彼の青い髪を照らしていた。
珍しく彼がキーホルダーに一目惚れしたそう。
うさぎのキーホルダーだった。
お互いの好きな色のキーホルダーを通学用カバンに付けて写真を撮った。
 rd「気に入ってくれた?」
 pn「うん !!」
 俺は彼の事が好きだった。
俺より背が高くて、運動神経が良くて、成績だって学年トップ。
皆から憧れて好かれているけど決してその立場を利用せずみんなに対等に接してくれる。
その中でも俺は昔から一緒にいるからこうして登下校の時間を一緒に過ごせて嬉しかった。
彼が俺に特別な気があるわけじゃないのは知っているけど、それでもこうして俺にキーホルダーを買ってくれたのは嬉しかった。
 pn「んふ … なんからっだぁに似てる気がする」
 rd「そう?」
 pn「うん、なんか見たら思い出しちゃいそう」
 rd「いいじゃん 笑ヾ」
 rd「別々の大学行っても、お互いの事忘れずにいれるなんて …」
 pn「…」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 pn「あー寒ッ …」
 pn「ほんとに秋かよこれ … もう冬だろ」
 冷たい風が首元を通り過ぎていって、俺の寒さを悪化させた。
俺割と寒い時期に生まれてるはずなのになぁ
 …
 寒さにだけは勝てないわ。
久しぶりに高校の頃の通学路歩こうなんて馬鹿なこと思うから …
早く帰って熱っつい風呂に入りたい …
 rd「…あれ、ぺいんと?」
 pn「…ん? って …」
 pn「え 、 らっだぁじゃん」
 rd「やば、久しぶり」
 pn「2年ぶりとかじゃない?」
 rd「あーそうかも …」
 rd「相変わらずここの景色綺麗だよね」
 pn「え、あぁ … たしかに」
 彼は俺が高校の頃好きだった人。
結局、想いを伝えることはなかったし、もちろん伝わることもない。
友達以上恋人未満の関係で俺の恋は呆気なく終わってしまっていた。
 pn「…あれ、らっだぁ ?」
 rd「ん?」
 pn「これ、つけてないの?」
 彼のバッグにはうさぎのキーホルダーが付いていなかった。
彼が高校の頃にくれたものだ。
 rd「あぁそれ?」
 rd「無くしちゃったんだよね」
 pn「… 無くした?」
 rd「うん、ごめんね」
 pn「… なんで ッ ..」
 rd「…ん?」
 pn「なんで ッ !! 大切にしようって言ったじゃん !!」
 高校卒業してから、こんなに大きな声を出したのは初めてだと思う。
怒りが頂点に達して、気持ちを抑えられない。
 rd「え、いや、そんなに怒らなくても …」
 pn「俺は嬉しかったの !! 嬉しくて、ずっとずっと大切に持ってたのに !!」
 rd「じゃあまたお揃いのもの買おうよ … ?」
 pn「もういい !!」
 俺はそのまま彼が来た道を走って行った。
少し遅れて後ろから追いかけてくる彼から逃げるように。
だんだん悲しみも込み上げてきて気づくと俺は泣いていた。
ムカつくし悲しいし。
 
 
 rd
 pn「もういい !!」
 久しぶりに会った彼と、お揃いのキーホルダーの事で揉めてしまった。
俺が無くしてしまったから。
彼は怒っていたが瞳は涙ぐんでいて、そんな気持ちにさせてしまった事に罪悪感が溢れる。
好きな子のあんな表情を見たくなかった。
 そもそも俺らは別の大学だから会うことはほとんどない。
それでも追いかけなきゃいけないと思った。
追いかけて、ちゃんと謝らなきゃいけないと。
もう会わないとしてもこんな終わり方は嫌だ。
 rd「待って !!」
 ようやく彼に追いついた。
彼は疲れてしまったのかしゃがみこんで泣いていた。
 rd「はぁ ッ …. 、」
 rd「ぺいんと ッ 、 ごめん ッ ….」
 pn「嫌だ触らないでッッ!!」
 キキー !!
 rd「!!」
 rd「ぺいんと !! 車来てるから !!」
 pn「えッ?」
 rd「ッッ ..」
 守れなかった。
ぺいんとは死んでしまう。
こんな再開で、彼の最後の記憶は俺なんて。
 pn「…らっだぁ?」
 rd「…え、?」
 rd「なんで … 生きて … ッ」
 pn「…あーあ 、 ぐすヾ」
rd「え .. ぺいんと?」
pn「バレちゃったか … 、 笑ヾ」
rd「ぇ、いや ッ 、 どういう …」
pn「俺の手、触ってみて」
rd「うん」
!!
rd「え … なんで ッ」
pn「俺、高校の頃の夏休みに事故で死んだんだよ」
pn「なのにらっだぁは話しかけてくるからさ」
rd「え、そんな、 だって今まで ッ」
pn「今までも物を通してしか触れられてないよ」
rd「そんな …」
pn「うん、ごめんね」
pn「… でも俺もうそろいかなきゃ」
rd「どこに…?」
pn「天国。待っててもらってるの」
pn「らっだぁに言うまで待っててもらってた」
rd「そんな .. 行かないで ッ」
pn「ごめんね」
rd「嫌だッ待ってッッ !!」
rd「俺 ッッ !!」
pn「…ん?」
rd「俺、ぺいんとの事好きだから …」
pn「俺も好きだよ」
pn「これからも見えないけどそばにはいるから」
rd「… ッッ ぐすヾ」
pn「泣かないでよ 笑ヾ」
pn「またね、らっだぁ」
rd「うん ッ、 またね 、 ぺいんと 」
俺ってば、大切なもの無くしてばっかりだな
リクエストお待ちしております
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ ♡1000 💬1
コメント
5件
ありがとうございます!!!😭😭😭 あんなぐちゃぐちゃな説明がこんないい作品になるとは……😇😇😇 季節?時期?設定がもう上手いですね。秋頃から始まってpnは夏に死んでて、今まで物を通してしか触られてないっていうのがキーホルダーにかかってるってのがマジでうまいと思います🫰🫰🫰 マジでありがとうございます。最高です💖💖💖
なくしものっていう題名がキーホルダーと好きな子どっちにも掛かってるの凄すぎて読み終えたあといい意味で鳥肌立ちました…😭🫰♡♡♡