それから、親どうしの関係も好転を始めた。母が突然「手料理発表会」なるものを開くと言い出して以来、家族三人が金曜の夜に同じテーブルを囲むようにさえなった。最初は共通の話題なんて一つもなかった。最近ではとりあえず、料理が中心の話題だ。俺は母に、イスケンデル食堂で習ったピラフの作り方を教えている。反対に母はサバサンドの弁当を作ってくれた。レシピは父が、魚屋オリエントから入手してきたようだ。こうなってからは、もう国境などどこにもないのだから、家を出てどこかに住もうが、ここに住もうが、全くの自由だ。ここもあそこもどこも、今では同じ自由共和国の空の下なのだから。
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