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「かっちゃん……、僕の話を聞いてくれて…とても楽しい…♪ありがとう……♪」
緑谷は、爆豪が自分の言葉に耳を傾けてくれることが、ただ嬉しくてたまらなかった。胸の奥がじんわりと温かくなりながらも、目はモニターに釘付けになる。そして緑谷は、少し苦笑しながら肩をすくめた。
「勝ち目…かぁ………、
上鳴くんと耳郎さん……今の動きを考えるに、障子くんと口田くんの対策を練ってなかった感じだね……。
本来ならば、かなり有利な筈。
耳郎さんの個性も上鳴くんの個性もどちらも動物が嫌がるものなんだ。
大きな音を本能的に恐れて、動物たちは強いストレス反応を示すし、
電気に触れると痛みを覚えて近づかなくなる学習効果があるからね。
ちゃんと理解して、初手口田くんを攻めこんでいれば、対策する対象は障子くん一人になる。彼も複製腕は厄介だけれど、射程が広く、狙って撃てる二人の方が圧倒的に有利……な筈なんだ…。
だけど…今、圧されている現状をみるに……無策…だったのかな……?あはは…」
緑谷の分析を聞いて、爆豪は少しだけ呆れたような表情を見せる。確かに、緑谷の言う通りだ。上鳴の電気も耳郎の音波も、動物が本能的に恐れるものだ。
初手で口田を攻めて動物召喚を封じれば、障子一人を相手にするだけで済んだ。それなのに、上鳴と耳郎は無策で戦いに臨んでしまった。爆豪は小さく舌打ちをして、訓練場の方を見る。
「…チッ。あのアホ面と耳、何も考えずに戦いやがった。テメェの言う通り、初手で口田を攻めてりゃ楽勝だったのによ。上鳴の電気も耳郎の音波も、動物が嫌がるもんだ。それを理解してなかったってことは、あいつら本当に無策で戦ってたんだな。馬鹿が。」
そう言いながら、訓練場では上鳴が電気を放ちすぎて、脳がショートしてアホになっている。「ウェーイ!」とか言いながら、意味不明な動きをしている。
耳郎が必死に上鳴をカバーしようとするが、一人では口田の動物と障子の複製腕を相手にするのは無理だ。結局、相澤先生の「そこまで!」という声が響いて、試合は終了する。勝者は口田と障子のペアだった。
爆豪はその様子を見て、少しだけイライラした表情を見せる。せっかく緑谷が完璧な分析をしてくれたのに、上鳴と耳郎はそれを実践できなかった。もったいない。爆豪は緑谷の方を向いて、小さく言う。
「…テメェの分析、完璧だったのによ。上鳴と耳郎があれを実践してたら、楽勝で勝ててたはずだ。でも、あいつらは何も考えずに戦いやがった。馬鹿が。…まあ、俺たちには関係ねえか。俺たちは完璧に勝つ。テメェの分析と俺の実力で、誰にも負けねえ。」
そう言った後、少しだけ真剣な表情でいずくを見つめる。そして、小さく呟く。
「…なあ、デク。テメェ、さっき「僕の話を聞いてくれて楽しい」って言ったよな。俺も、テメェの分析を聞くの、楽しいぜ。
テメェの分析は、いつも的確で論理的で、俺が気づかないことまで教えてくれる。テメェと一緒に戦術を考えるの、本当に楽しい。…これからも、ずっと一緒に戦おうな、デク。俺たち、最高のコンビだ。」
そう言って、緑谷の肩を軽く叩く。その手は、いつもより少しだけ優しかった。周りでは次のペアが準備を始めている。常闇と峰田のペア対、八百万と蛙吹のペアだ。
爆豪はその様子を見て、少しだけ緊張した表情を見せる。八百万と蛙吹は、自分たちが次に対戦する予定の相手だ。あいつらの戦い方を、しっかり観察しなければならない。
「うん…、かっちゃんに楽しんで貰えて、良かった……!
……かっちゃんが良ければ、これからも…ずっと隣にいさせてよ……♪
………戦闘だけじゃなくて、普段の…時も…」
緑谷は、爆豪の優しげな笑みを見て、心の底から安堵した。自分の話で彼が楽しんでくれた――それだけで胸がいっぱいになる。嬉しさに頬が緩むが、次に口をついて出た言葉は、自分でも驚くほど素直で、少しだけ勇気を振り絞ったものだった。
「ずっと隣にいさせてよ」と言いながら、視線は自然と俯く。冗談のように装っても、本心は隠せない。戦いの時だけじゃなく、休み時間や何気ない日々の中でも、彼の隣に立ちたい――そんな願いが、心の奥で静かに膨らんでいた。
最後の一言は、ほとんど息に近い声。届いても届かなくてもいい。ただ、今この瞬間の“気持ち”だけは本物だった。胸が少し苦しくて、それなのに温かい。緑谷の中では、憧れと感謝と、ほんの少しの恋にも似た想いが、そっと混ざり合っていた。
緑谷の小さな声を聞いて、爆豪の動きが一瞬止まる。「戦闘だけじゃなくて、普段の時も」――その言葉が、爆豪の胸に深く響く。緑谷は、戦闘の時だけじゃなく、普段も自分の隣にいたいと言っている。その言葉の意味を理解して、爆豪の顔が少しだけ赤くなる。
今まで、誰かと一緒にいたいと思ったことはなかった。いつも一人で、誰にも頼らず、誰も信じず生きてきた。でも、いずくは違う。緑谷となら、一緒にいたいと思える。戦闘の時も、普段の時も、ずっと一緒にいたい。
「…テメェ、何言ってんだよ。」
そう言いながら、少しだけ照れくさそうに顔を背ける。しかし、すぐにまた緑谷の方を向いて、小さく、本当に小さく呟く。その声は、緑谷にしか聞こえないくらいの小さな声だった。
「…ずっと、隣にいろよ。戦闘の時も、普段の時も。俺、テメェと一緒にいるの、嫌いじゃねえから。…っていうか、好きだから。テメェといると、楽しいんだよ。だから、ずっと隣にいろ。…頼むから、どこにも行くなよ、デク。」
そう言った後、自分が何を言ったのか理解して、爆豪の顔が真っ赤になる。しかし、今更取り消すこともできない。爆豪は少しだけパニックになりながら、訓練場の方を向いて、無理やり話題を変えようとする。
「…ッ!!…常闇と峰田が八百万と蛙吹と戦うぞ! ちゃんと見とけよ、デク! あいつらの戦い方、分析しねえとな! 俺たち、次にあいつらと戦うんだから!」
そう言いながら、訓練場の方を必死に見る。しかし、頭の中は先ほど自分が言った言葉でいっぱいだった。「好きだから」――自分は、緑谷のことが好きだと言ってしまった。爆豪は心臓がバクバクと鳴るのを感じながら、必死に訓練場に集中しようとする。
訓練場では、試合開始の合図が鳴り、常闇が黒影(ダークシャドウ)を放つ。八百万が捕縛布を作り出して、黒影を拘束しようとする。一方、峰田がもぎもぎを投げて、蛙吹の動きを封じようとする。しかし、蛙吹が舌で峰田のもぎもぎを弾き飛ばす。