「そんなことを言われたら、帰れなくなるだろう?」
キャビネットの上に置いていたメガネを手に取り、掛け直した彼が、
「……なら僕の代わりに、これを抱いて寝るといい。ちょっとジェラシーを感じそうだがな」
前にプレゼントをしてくれた大きなミコのぬいぐるみを、ベッドに横たわる私の腕に抱かせた。
「それを、僕だと思って、おやすみ」
鼻先に軽くキスが落とされる。
「いい夢を」
そう言い残して、玄関に向かう背中へ、
「……チーフ」と、もう一度だけ呼びかけると、
振り向いた彼が、「好きだよ、美都」とためらいもなく口にして、メガネの奥の眼をふっと細めて甘やかに微笑んだ……。
コメント
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いや〜そうじゃなくて、ぬいぐるみとよりもチーフとが良いんだと思うんだけれどなぁ。