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緑山 紫苑
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「………ん」
身体に重みを感じてゆっくりと目を開けるフィニス。
全身が痛い……
重みを感じている方に視線を向けると……
「す〜……く〜……」
ニティアが上半身をベッドに預ける形で寝ていた。
「おや、起きましたか?」
ニティアが寝ている反対側を見ると、魔導書らしき書物を読んでいるジャヌスがいた。
「……先生……俺は……?」
本を閉じ、フィニスの方に身体を向けるジャヌス。
「今日で6日目……ですかね。あなたが眠ってから」
優しく笑うジャヌス。
⸻
ギィっ……ギィっ……
「遅い………」
椅子を後ろに傾けながら、テーブルの上に準備してあるお皿を見ているニティア。
ガンガンガン!
すごい勢いで叩かれるドアの音にびっくりして、椅子ごと倒れそうになるニティア。
「な!なに!なんなのよ急に!」
ドアの方から何かを叫ぶ声が聞こえる。ゆっくりとドアに近づくと……
「はぁ……はぁ……二、ニティアちゃん!大変だよ!フィニスが、フィニスが!!」
「え……?」
話を聞いたニティアは持てるだけの薬を持ち、全力の飛行魔法で村まで飛んでいった。
村についたニティアは急いでフィニスが寝ている場所へ向かう。
「フィニス!」
ベッドで横たわっているフィニス。
身体中が黒く焼け焦げ、至る所から血も出ている。
「フィニス!フィニス!!」
「落ち着いてニティアちゃん!」
駆け寄るニティアを止める村人たち。
少しだけ落ち着いたニティアは、泣きながら持ってきた薬を飲ませたり、塗ったりするも……フィニスの傷は殆ど治らなかった。
あたりはもう夜を通り越し、明るくなり始めている。
「私じゃ駄目……ジャヌスさん……ジャヌスさん呼んでこなきゃ!フィニスが死んじゃう!!」
そう言い残し、再び王都へ飛び立った。
王都の王国図書館で文献を読んでいるジャヌス。
まだ朝早いのに、何やら外が騒がしい気がする。
ふと気になって、図書館の入り口に目を配った瞬間……視界が真っ黒に染まる。そしてその次の瞬間。目に写ったのは、泣きじゃくるニティア。
再び視界が真っ黒に染まると、視界が戻り、先ほど見ていた図書館の入り口が写っていた。
「全くあの子は……」
そう呟いた後、文献を棚に戻し、図書館を後にする。
外に出た直後、上から降りてくるニティア。そして、先ほど見た光景……泣きじゃくるニティアが目の前にいた。
「グスッ……ジャヌスさん!フィニスが……死んじゃう……」
「……大丈夫です」
一度後ろを振り返ったジャヌス。図書館の入り口に立つ兵士にコソコソっと何かを耳打ちする。
兵士が一度敬礼をし、そそくさとその場を離れていった。
「ここは私がなんとかします。気にせずに飛んで戻りましょう」
「グスッ……はい………」
そう言ってジャヌスはニティアの手を握る。
2人はふわりと浮き上がり、すごいスピードで王都から離れていった。
⸻
「とまぁ、こんなことがありまして……村で治療をした後、ここに運んできて、今に至るわけです」
フィニスの方を見るジャヌス。
「こんなに取り乱したニティアを見たのは初めてですよ。まさか王都にまで飛行魔法で来るなんて……」
そう言って苦笑いをするジャヌス。
「……まじか……大丈夫なの?それ……」
弱々しい声を発するフィニス。
「まぁ、なんとか誤魔化しましたよ。あれは今研究をしている魔法。空に自分たちの幻影を投影させ……相手を困惑させる。人間は飛べないと言う常識の裏をかく為の魔法。今度は2人で使用するから、街の人たちがざわついたらそう説明をしてほしい……って」
そんな無茶な誤魔化しを王都でできるジャヌスは何者なんだろうと思いながら、軋む手でニティアの頭を撫でるフィニス。
「無茶しすぎだろ……」
小さなため息をつきながら、ジャヌスも小さく呟く。
「それはあなたもですよ。何があったんですか?」