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これは、最近演技が話題になっている目黒と阿部が、主演で共演した脱出ゲームの映画のお話。
阿部が目を覚ますと。
見覚えのない天井があった。
「……え?」
ゆっくり体を起こす。
頭が少しぼんやりしている。
周囲を見回すと、そこは綺麗に整理された部屋だった。
ベッド。
机。
本棚。
小さなソファ。
一見すると普通の部屋にも見える。
ただ。
窓がない。
どこを見ても、外へ繋がる窓が一つもない。
阿部はベッドから降りた。
「ここ、どこ……?」
記憶を辿ってみる。
けれど。
どうしてここにいるのか。
何一つ思い出せない。
阿部は唯一の出入口らしいドアへ向かった。
ドアノブを回す。
ガチャ。
「……開かない。」
もう一度。
ガチャガチャ。
鍵がかかっている。
「嘘でしょ……。」
急に怖くなった。
スマホもない。
時計もない。
外が見えないから、今が何時なのかすら分からない。
「誰かいませんか!」
ドアを叩く。
「誰か!」
返事はない。
阿部は不安を抑えながら部屋を調べ始めた。
すると。
机の上に一枚の紙が置いてあることに気付いた。
「……何これ。」
手に取る。
そこには。
短い文章が書かれていた。
『隣の部屋に、あなたと同じ状況の人間がいます』
『二人で協力してください』
『一緒に最初の部屋から脱出してください』
「脱出……?」
阿部は紙を見つめる。
どういうことなのか。
分からない。
ただ。
隣に人がいる。
その事実だけで少し安心した。
阿部は壁へ近付いた。
「……。」
恐る恐る。
コンコン。
二回。
壁を叩く。
「……。」
数秒後。
コンコン。
「!」
返ってきた。
本当に。
誰かいる。
阿部はもう一度叩く。
コンコンコン。
向こうからも。
コンコンコン。
「聞こえますか!」
阿部が壁に向かって声を上げる。
少しして。
微かに。
男の人の声が聞こえた。
『……聞こえる!』
「よかった……!」
思わず声が漏れた。
一人ではない。
『そっちも閉じ込められてる?』
「うん! ドアに鍵かかってる!」
『俺も。紙あった?』
「あった!」
同じ状況らしい。
阿部は壁に近付いたまま話す。
「俺、阿部!」
一瞬。
向こうが黙った。
そして。
『俺、目黒。』
「目黒くん?」
『うん。よろしく。』
「よろしく……。」
顔も見えない。
声だって壁越しで聞き取りにくい。
それでも。
今この状況で唯一頼れる人だった。
___________
二人はそれぞれの部屋を調べ始めた。
「こっち、本棚と机とベッドがある!」
『俺も似てる。でも本棚はない。壁に数字が書いてある。』
「数字?」
『0708。』
阿部は机の引き出しを調べる。
一番下。
四桁のダイヤル錠がついた箱を見つけた。
「あった!」
『何?』
「四桁の鍵!」
『じゃあ0708?』
「やってみる。」
カチッ。
「開いた!」
『よし!』
箱の中には。
小さな鍵。
そして。
また紙。
『その鍵は、あなたの扉には使えません』
「……えっ?」
『どうした?』
「俺のドアの鍵じゃないって。」
『じゃあ俺の?』
「でも渡せないじゃん。」
二人の間には壁がある。
阿部は鍵を眺める。
「……。」
そして。
部屋をもう一度見回した。
「あ。」
壁の下。
床に近い場所。
小さな四角い蓋がある。
開けてみると。
隣の部屋まで繋がっている細い穴。
「目黒くん!」
『ん?』
「壁の下見て! 小さい扉みたいなのない?」
少しして。
『……あった!』
「鍵送る!」
穴へ鍵を入れる。
向こうから手が伸び。
鍵が消えた。
『来た。』
「開く?」
数秒。
カチャ。
『開いた!』
「よかった!」
ところが。
目黒の部屋のドアを開けた先にも。
すぐ別の扉があった。
その扉には。
また鍵。
『あべちゃん。』
「……ん?」
阿部は一瞬固まる。
「今、あべちゃんって言った?」
『嫌だった?』
「いや……別にいいけど。」
こんな状況なのに。
少しだけ緊張が解けた。
『こっちに今度は鍵じゃなくて問題ある。』
「どんな?」
二人は再び。
壁越しに謎を解いていく。
阿部の部屋にある本。
目黒の部屋に書かれた文字。
片方だけでは絶対に答えが分からないようになっていた。
一つずつ。
情報を伝える。
間違える。
考え直す。
また試す。
そして。
最後。
阿部のドアから。
カチャ。
音がした。
「……!」
ゆっくり開ける。
阿部の部屋の外には。
狭い廊下。
そして。
隣の扉も。
同時に開いた。
「……。」
そこから。
背の高い男が出てきた。
目が合う。
「あべちゃん?」
「……目黒くん?」
「うん。」
初めて。
お互いの顔を見る。
目黒は少し安心したように笑った。
「やっと会えた。」
「……うん。」
阿部も笑った。
たった数十分。
壁越しに話していただけなのに。
ずっと知っていた人に会えたような。
不思議な安心感があった。
しかし。
二人が出てきた廊下の先には。
また。
大きな扉が一つ。
その横には。
新しい紙。
目黒が手に取る。
二人で読む。
『STAGE 1 CLEAR』
『おめでとうございます』
「……ステージ1?」
阿部が呟く。
嫌な予感しかしない。
その下には。
さらに文字が続いていた。
『ここからは、二人一緒に脱出してください』
「……。」
阿部と目黒は顔を見合わせた。
どうやら。
今の部屋は。
本当に。
最初の部屋でしかなかった。
コメント
2件
💚の好きな謎解き脱出ゲーム、でもパートナーが🖤で大丈夫? YouTubeでも🖤は脱出ゲーム参加して無い様な気がする
壁越しのやり取りだけで一気に距離が縮まる感じ、すごく良かったです。「あべちゃん」って自然に出てきたところに、ちょっと照れつつも安心した空気が伝わってきて。結局まだ「STAGE 1」だったというオチも、これからどうなるんだろうと気になります。脱出ゲーム×二人きりの掛け合い、設計がしっかりしてますね。
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#⛄️
kaede🍁
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