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「大丈夫?」
ソファーの上で少し寝づらそうにしている彼女が体を少し動かしたのを見て声をかける。
「ん・・? だいじょうぶ・・」
なんか微妙そうだけど。
その時、美咲さんが言ってた言葉を思い出す。
ホントに今オレのこと聞いたら、今の素直な気持ち言ってくれんのかな・・。
半信半疑で、様子を伺いながら声をかける。
「ねぇ・・。オレのこと・・どう思ってる・・?」
きっと答えなんて返ってこないだろうけど。
「う・・ん・・。早瀬・・くん・・は・・」
「うん・・。オレ・・は?」
「はや、せ・・くん・・のこと・・」
「うん・・」
なんだよこのドキドキ。
心臓すげーんだけど。
そのあとの言葉・・なんて言う・・?
「フフッ・・・」
そう一瞬笑った彼女はそのまま答えを言わずにまた眠りについた。
だよな・・・。
そううまく聞きだせるはずないか。
まぁそもそもなんとも思ってないかもだし。
好き、なんてまだそんなこと言ってもらえるはずないか。
都合いいよな、オレ。
こんなんで聞き出そうとするなんて。
実際それもどこまで本当の気持ちかもわかんないしさ。
そして彼女がソファーで眠りについてるのを見て、やっぱり少し寝心地悪そうで。
オレのベッドで申し訳ないけど、ここはベッドで寝かした方がいいよな。
酔いが醒めるまでは心配だからこのまま見ておきたいし、とりあえずベッドまで運びたいとこだけど・・・。
さすがに寝てる時に少し抵抗はあったけど、さすがにここに寝させておくワケにいかず、寝てる彼女の様子をうかがって。
「ごめんな」
そう言いながら、寝ている彼女を抱きかかえて、そっとベッドに運ぶ。
そして、そっとベッドから離れようとすると・・・。
寝返りをうって、こっち側に体制を変えてくる彼女。
落ちそうになりそうなのをまたそっと戻して、離れようとすると。
いつの間にか、オレの片手を握っていて。
えっ、いつの間にそんな器用にオレの手首掴んでた?
気付かれないように、そっともう片方の手で外そうとするも・・・。
「・・ダメ・・・」
そう言いながら握っている手を放そうとしなくて。
えっ??何これ??
いや、ダメって言われても・・・。
てか、この状況で寝てる状態では言え、そんな無意識で色っぽくダメとか言われて手掴まれてて、オレの理性吹っ飛びそうなんですけど。
いや、でもここは平常心・・平常心・・・。
ここで手出したらオレは終わる・・・。
必死に気持ちを落ち着かせる。
だけど、オレのそんな気持ちをまったく知らない彼女は今度は気持ち良さそうにまた眠っている。
なのに、まだオレの手は掴んだままで。
そんな彼女が可愛すぎてオレは観念して、そのままベッドのそばに座り込む。
例え酔っている中だとしても、目の前にいる彼女がオレに素直に甘えてくることが嬉しすぎて。
そしてこんな状況で心臓も彼女への気持ちも、これまでにないくらい最高潮になったまま、眠っている彼女を見つめる。
まぁ、こんな状況恵まれすぎだよな。
今はこの彼女の寝顔しっかり見ておくか。
こんな姿見てるなんて、彼女には絶対言えないけど。
そう。これはオレだけの幸せな秘密。
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