橙桃です。本人様とは関係ありません。
地雷だよって方、通報される方は見ないようにしてください。
⚠暴力的な表現があるので、苦手な方はお引取りください。
桃side
テレビに映った見覚えのある人物。
なんで…なんでこの人がプ○キュアの世界に?
…いや、だだ似ているだけかもしれない。
ジェルも言ってたしな、世界には自分と似ている人が3人いるって。うん、きっとそうだ。
気を落ち着かせるように窓の外を見る。
空はすっかりオレンジ色。
まるでジェルの髪色みたいだ。
そういえばジェル遅いな。長引いてるのかな…。
そんな事をぐるぐると頭の中で巡らせていると突然玄関のチャイムがなった。
この時の対応も随分なれたものだ。俺はインターホンの画面越しにその人物を見た。
同時にとても焦っているような震えた声が俺の耳を突き刺した。
赤「あっ!!えっと、さとみくん…だよね!この前会った莉犬です!今、ジェルがバイト先で倒れて病院に運ばれたのッ!」
…病院、?運ばれた?倒れて?
赤「と、取り敢えず開けてくれる…ッ?」
桃「うん…」
必死に走ってきたのだろうか、俺がドアを開けるなり汗をかいた赤髪の男は肩で息をしていた。
赤「ごめんっ押しかけちゃって…俺ただのバイト仲間ってだけだから、ジェルの実家とかの連絡先知らなくて、…ッ誰か伝えなくちゃいけない人いたかなって考えてたら…君を思い出したんだ」
桃「……それでジェルは…ッ?」
赤「今、病院で治療受けてると思う。血も出てないし、目立った外傷は無かったんだけど…」
俺は…どうすればいい?
こんな時、普通の人ならどうするんだ?
桃「……兎に角、ジェルの所、行こう」
渡した水を飲んでいた莉犬はその言葉を聞いて手を止めた。
赤「…、______」
桃「…え?」
赤「チャンスだよ」
桃「は…?何、言ってるんだよ…」
その時俺は思い出した。つい先程の光景。
やっぱり本人だったんだ。
赤「帰ろう、お兄様」
桃「やっぱり……」
莉犬、お前は何故ここに居るんだ。
俺の弟であるお前が____________。
赤「…見つけ出したんだ。あの時、光りに包まれながら消えていった貴方の行方」
桃「……」
赤「プ○キュアに助けてもらって、あとは貴方だけになった時、まさか消えるだなんて思わなかった。プ○キュアに力を貸してもらって、なんとかこの世界に行ける方法を見つけて、上手く紛れてやって来たのに…貴方は今までのの事を忘れたかの様に幸せそうに笑っていた…ッ」
桃「…莉犬、ごめん。俺まだ全てを思い出した訳では無いんだ。それに、今はジェルの所に…」
赤「ッなんで?!」
莉犬は叫ぶように俺の発言を遮った。
赤「こっちには帰る方法だって分かった!もうそれ以上求めるものは無いでしょ?!」
桃「それは違うッ!!だって俺は!ジェルの事…」
あ、れ……
俺にとって…ジェルはどんな存在なんだ?
赤「なに?お兄様はいちごの国よりもあいつの心配しているの?」
桃「ッ…、」
違う。確かに自分が壊してしまった王国も大切だ。だけど、ジェルだって俺にとって大切な存在なんだ。
前にジェルが教えてくれた。この気持ちの名前。
桃「俺は………ジェルの事が好きなんだ」
赤「……は?」
桃「だから!今はジェルの所に行くッ!」
赤「い、意味分かんない!」
桃「決めてたんだッ!いつかお別れする日が来るとしても、そのときはッジェルと笑ってさよならを言うって!!!」
赤「…………バカなお兄様。分かったよ、病院に案内するから。走る準備はいい?」
桃「…もちろん」
ドアを開けるとそこにはジェルが横になって一定のリズムで呼吸していた。
赤「お医者さん、調べてくれたらしいけど何処にも異常は見つからなかったって。多分疲れてたんじゃないかな」
桃「…そっか…」
よかった…
一気に肩の力が抜ける。
赤「……、ねぇお兄様。その人とのこと、聞いてもいいかな?」
桃「…うん」
俺はジェルと出会った日から今までの事を莉犬に全て教えた。俺に愛を教えてくれたこと。間違っていた知識を直してくれて、たくさん笑顔にしてくれた人。
そのことを伝えると莉犬はなんだか表情を曇らせていた。
赤「、ッ………………今から言うこと、落ち着いて聞いて欲しい」
桃「…………?」
赤「ジェル…実は…
あの世界の人なんだ」
桃「……え、?」
俺が聞き返そうとした瞬間、
ベッドが軋む音がして振り返った。
桃「…ジェル、?」
橙「……、何処や…ここ…」
桃「…ッ?!」
見てしまった。見つけたくなかった。
信じられない。信じたくない。
ジェルと過ごす日々が楽しくて
ジェルに愛というものを教えてもらって
すっかりと薄くなっていた俺の頬にあるマーク。
ダーク王国の証。
王様が俺を監視するための痣。
それが目の前にいるジェルの頬にもくっきりと浮かんでいて。
赤「……ジェルくん敵だったんだ。俺たち、いちごの国にとって」
その衝撃で思い出した。
今までの全ての記憶を。
一瞬にして壊れた世界。真っ暗な闇。
愉快で何処からともなく笑い声が聞こえてくるような世界だった。
なのに、あの日。ダーク王国の王様が人々を闇に閉じ込めてしまったんだ。
父上と母上が抱きしめて守ってくれた。
忘れもしないその光景。
だが、俺は何故かそこから意識が途絶えた。
桃「んぅ…、ここ、何処……?」
気がついた時、俺は暗い牢屋の様な場所に居た。
ただ真っ黒なその視界、分かったのは金属同士がぶつかる音。
あぁ…俺拘束されてんだ。
先程までのことを思い出すと、考えられるのは敵に捕まったことは確定だと思う。
これからどうなるのか、と不安になった時だった。
無機質な音が部屋中に響いて影でしか捉えられないがガタイの良い人物が入ってきた。
桃「ここは何処だッ」
そう言葉を放った瞬間、次に響いたのは肉のぶつかる音。
殴られた……ッ。
王「私はこの国の王だ」
桃「何言ってるんだッいちごの国の王は父上だ…ッ」
今度は腹部を蹴られた。
王「残念だが、もうそんな国は存在しない」
桃「は…?」
王「もういちごの国は滅んだんだよッ!!」
高笑いと同時に身体に伝わる痛み。
俺は…これからずっと暴力を振るわれるんだ。
もう為す術もなく、俺は涙も流れなかった。
あれからずっとずっと暴力を受け続けた。
苦しい。辛い。痛い。怖い。寂しい。
そんな感情さえ、よく分からなくなってしまうほど。
でも、俺には唯一の心の救いがあった。
王が部屋を出て行くと入れ替わるように静かに入ってくる青年。
青年は入ってくるなり、俺の怪我の治療をしてくれた。
?「ごめんなぁ、消毒しか出来なくて」
暗いせいで顔は見えなかったが、声だけでも優しい人だというのは分かった。
ずっと暗闇にいた俺を照らしてくれる、太陽のようなその声が俺の心を癒やしてくれた。
?「本当はガーゼとか貼ってあげたいんやけど、気づかれたらまた暴力ふるわれるやろ?」
自分が怒られるかもしれないのに、俺のことを心配してくれるんだ…。
いつか彼の顔を見れる日が来るといいな…。
しばらくして、
囚われた日から何日、何年経ったかも定かでは無くなってしまった。
ずっと同じような日々を過ごした俺にはもとの人間らしい心は無くなってしまった。
今思えばこのときからもう王の魔法にかかっていたのかもしれない。
突然王様に呼ばれた。まるでこの時を待っていたかのように不敵な笑みを浮かべた王様は俺に命令してきた。
王「プ○キュアが現れた」
桃「プ○…キュア…?」
王「この国を支配したときに別の国に行っていた3人が変身して私の国を滅ぼそうとしている」
桃「そんなっ…!!!」
王「分かっているな?さとみ。部下はもう用済みだ。お前なら、私の頼みを聞いてくれるな?」
心の何処かで俺が叫んでいる。
駄目だ。聞いては駄目だ。
でももう遅くて。俺は操り人形になってしまった。
桃「ええ、王様の為ならなんなりと…♡」
王「また、駄目だったのか!!!」
桃「申し訳ございません!次こそはッ…」
王「もういい、後で罰を与える」
桃「…ッ」
王「なんだ?嬉しくないのか?私はさとみを愛しているのだぞ?」
桃「……いえ、なんでもありません。王様からの罰は俺にとってこの上ない幸せです」
口が勝手に動いている違和感にも気づけなかった。
王「だが、やはり計画を邪魔する奴は粗末せねばならない…。あぁそうだ」
王様がパチンと指を鳴らすと、その人は突然現れた
?「お呼びですか、父上」
その声で分かった。あの青年だって。
王「今度はお前が奴らを粗末しろ。分かったな?ジェル」
橙「期待に応えられるよう、精進します」
王「下がれ。さとみもだ」
桃「ッは!」
部屋から出て長い廊下を歩く。
前にはずっと見てみたかった、お礼を言いたかった相手。
桃「……ッあの!」
橙「……」
桃「えっと、ずっと俺の治療をしてくれてたのって貴方ですよね…?その、ありがとうございますッ…!」
橙「………そう」
桃「…………、」
怒っているのだろうか。
無表情のまま歩き続ける彼を俺はひたすら追いかける。
橙「……、ここでええか」
桃「…?」
橙「はぁ………」
た、溜息?!
橙「顔見して」
桃「え…」
急に振り返ったと思ったら俺の頬を優しく撫でて来た彼。凄い…びっくりした…
橙「………うん、跡にはなってないな。良かったな綺麗な顔に傷つかなくて」
桃「へ……」
き、綺麗……なんて言われたことない
橙「ふふっ間抜け面やな〜」
桃「か、からかってます?!」
橙「ううん、可愛くてついいじめたくなってまうだけ」
桃「なんですか…それ…//」
橙「ずーっと気にしてたんよ。父上がずっと暴力振り続けて、何を企んでるのかと思ったらまさかのプ○キュアと戦わせるし。てか、さっき廊下で無視してごめんな?他の奴らにさとみと話してる所見られたら父上にチクられるからさ」
桃「…ジェルさん優しいんですね」
橙「そうか〜?あ、敬語じゃなくてええで?」
桃「…うん!わかった!」
それからずっとジェルと一緒に過ごしてきた。
俺が仕事を果たせなくて罰を受けたあと、必ずジェルは俺の頭を撫でて慰めてくれた。
橙「俺さ、いつかこの国から抜け出して自由に生きたいんや」
桃「え…、王様に逆らうの…?」
橙「……父上の事は勿論尊敬してるよ?…でも俺はこんな世界を見たかったわけじゃない」
彼はそう言ってバルコニーからこの国を見渡す。
その目にやはり光などは入っていなくて、いつも何処か作り物のような笑顔。でも俺はそれでもいつも優しくしてくれる彼が大好きだった。
橙「俺には父上を止められるような力はない。だから逃げるしかないんや」
ジェルもプ○キュアを粗末出来なかったとはいえ、俺よりは天と地の差ほど強い。
橙「ねぇ…さとみ。もし、その日が来たら…一緒にこの国から抜け出そう?」
桃「…うん!」
王様に逆らうなんてあり得ない事だけれど。
俺はジェルと一緒にいたい。そう思った。
例えそれが暗い闇でも。海の底でも。地獄でも。
…………こことは違う世界でも。
だけど、そんな甘い考えなんてただの夢にすぎない。
俺の目の前に迫った眩しい光。
正体はプ○キュアたちの技のビームだ。
あぁ…俺、消えるのかな…。
俺はそっと目を閉じた。
けれど俺が消えることは無くて、代わりに
桃「…ッ?!ジェル…ッッ!!!」
ジェルがその光を浴びた。
なんで
なんで
なんで俺なんかを庇ったの?
桃「ジェル!!!」
いくら呼んでも彼はもう消えかけていて
桃「やだ!!ッ消えないでよ!!!」
いつぶりかも分からない涙を流して叫んでも
橙「…さとみ、好きだよ。」
未来には絶望しかないんだ。
それから俺は狂ったように戦い続けた。
俺の大切な人を奪った奴らを恨んで。
でもある日、また同じ光が放たれた。
もしかしたら、この光の先には貴方がいるんじゃないかと手を差し伸ばして。
あぁ…温かい
王『お前は悪い子だ』
ッ王、様……
王『私はお前を愛していたのに』
…愛…か…
…王様は俺を愛してくれていた
……俺は…誰か愛していた人はいたのだろうか
思い出せるのは最後に見た光景と
耐え続けてきた暴力という名の愛。
その言葉のせいで…俺の記憶から
貴方は…消えてしまったんだ。
それから…俺はこの世界でジェルと出会った。
ジェルはこの世界で新しい人生を歩んでいた。
貴方は…この世界で暮らした方が幸せだった?
なのに俺が来てしまったせいであの世界のジェルに戻ってしまった…?
桃「ごめんッ…ごめんね…ジェル…」
きっと、俺たちは出会ってはいけなかったんだ
どうもー!!!てんです!
新年初の小説!う〜ん!とってもシリアス!
この小説“一応”コメディなんですけど(
うちにはコメディ向いてないわ……
そしてめちゃくちゃ進みましたね〜
展開早いですよねwwwwwwwww
最終回まで後何話かな〜なんて考えていますが全然わかりませんw
それでは〜今年も亀更新でいきますよ〜
いじょー!!!
ベリーベリーグッバイ☆
コメント
11件
めちゃくちゃストーリー上手くて、本当に尊敬してます!続きも待ってます!
自分シリアスしぬ程大好きなんですよ……それを投稿したのがてんさんっていう……狼狽えました…… とりあえずてんさんの作品はBIGLOVEです……続き永遠に待ちますほんとに大好きです…(;´༎ຶД༎ຶ`) シリアスでもコメディでも面白い作品作れるてんさん最強です😭😭😭
プ○キュアとか、言葉が出てくる度にふふって笑いそうになるのに内容と、てんの言葉選びが神過ぎて涙しか出てこなかった… え、てん、小説販売しよ?買うよ?← ボロボロ泣きながら読むよ…?今回もめちゃくちゃいい話だった…急展開でマジでアニメ見てるみたいにビックリ…どの話も大好きだなぁ…(´;ω;`)