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ドルバ「2分以内に・・・お前を殺して見せる!!!」戦場に、希望の旋律が走る。
グレイ(2分以内に・・・倒せる!)
ヒルク(奴は両手を使えない・・・勝てる!)
モルス「やったるぜぇぇぇぇ!!!」
勢いよくモルスが走り出す。
ドルバ「今だ!すぐに攻撃をぶちかませ!!」
ドルバを見ると、笑っている。
まだ生きれる喜び、2分以内に殺せるという確信、
殺戮への高揚。
ガルグ「くそっ・・・がぁ!!!」
落ちている霧毒髏を口で噛み、持ち上げる。
ガルグ「ふんっ!」
モルスの攻撃を受け止める。
モルス「こいつ・・・!」
グレイ「鬱陶しいわねっ!」
刀を振るう。
ガルグの左太ももに傷を付ける。
ガルグ「うぐっああ!」
痛みに耐えられず、霧毒髏を口から落とす。
ヒルク「今だ!水流斬!!」
流れる流水のような斬撃がガルグを襲う。
ガルグ「くそ・・・・!」
その瞬間、走馬灯がガルグを襲う。
10年前・・・
邶賀国は所謂【バブル時代】に入っており、
金持ちと貧乏人の差が最も激しかった時代でもある。
ある日、風俗終わりのガルグは、異様な雰囲気の路地裏を見つけた。
ガルグ「せんぱぁい、俺ちょっと寄りますわぁ。」
先輩「あぁ?もう十分だろうがぁ!はははぁ!」
ガルグ「いやいや、いい女居るかもしれやせんぜぇ!」
先輩「じゃあ1人で行けや!明日教えろよぉw」
先輩はノリノリで家に向かって帰って行った。
ガルグは、その路地裏に入って行った。
異様な匂い、だが嫌いじゃ無い。
風俗特有の甘い匂いではなく、現実と理想の間のような・・・
そんなことを考えていると、目の前にありえない光景が飛び込んできた。
そう、人間の死体だ。それも一つじゃ無い。
視界には、7人ほどの女の死体がある。
ガルグ「うっ・・・オエェ!?」
ふわふわした感覚から、一気に重力が舞い戻ってきた。
地面にへばりつき、土砂物を吐く。
風俗で飲んだ酒、つまみ、その前の居酒屋で食ったまかない、
全てが原型を留めず身体から放出される。
2分ほど、ガルグは吐き続けた。
ガルグ「おえっ・・・ん?」
少し視線を上げると。道が続いている事に気付く。
興味本位で、その道を歩いた。
1分ほど経ったその時、目の前に広がった光景は、
とても現実とは思えないものだった。
ガルグ「これは・・・一体・・・!?」
自分が育ったバブル時代の邶賀国とは、まるで真反対の世界だ。
ボロボロな家、腐った小動物、飛び回る蠅、
倒れている人間達。
ガルグは、近くの老人に話しかけた。
ガルグ「おい、おっさん!これはどういうこと・・・」
話しかけた老人は、確実に目が死んでいた。
だが、息はしている。
話す気力もないのだろう。全く聞いてる気配がない。
ガルグ「おいおい、なんなんだよ・・・」
帰りたいと、ガルグは思った。
だが同時に、この地獄のもっと奥に進んでみたいと思った。
ガルグは後者を選んだ。
さらに、腐敗した町を歩く。
その途中、不思議な人間を見つける。
そう、この町で唯一まともな人間だ。
服は破れていない、髪も整っている、そして・・・・
顔が、とても美しかった。
一瞬、この町に住む天女かと思った。
だが、一瞬で人間だと分かった。
服に、見覚えがある。
これは、さっきガルグらが行った風俗店の服だ。
しかも、ガルグらが入店した時、店からちょうど出て行った人だ。
ガルグは話しかけた。
ガルグ「おい、大丈夫か?」
女が顔を上げる。
正面から見ると、もっと美人だった。
ガルグも顔には自信がある。だが、次元が違うと感じた。
今まで見た女の中で、最も美しかった。
女「あ、あなた・・・さっき・・・」
ガルグ「そう。店入った時、すれ違ったでしょ。」
女「ああ。で、なんの様ですか・・・?」
ガルグ「ええと、その・・・」
正直、彼女を家に連れて帰りたかった。
お金には余裕があるし、綺麗だし・・・
ガルグは、正直に言った。
ガルグ「家、来る・・・?」
少しテンパって、口に出した。
女「え・・・」
彼女も反応に困っている。
だが、少し口角が上がった様に見えた。
女「良いんですか・・・?」
見えていた理想と同じ返しが来て、ガルグは喜んだ。
ガルグ「良いよ良いよ!ついて来て!!」
彼女の右手を握り、勢いよく走る。
空には、珍しく星が見えていた。
1つは、【波座】、もう1つは、【夫婦座】である。
家に着くと、ガルグは彼女に風呂に入らせた。
その間に、情報を整理する。
彼女の名前は「フィール・ミラカン」16歳。
あの町出身で、15歳から風俗店で働いている。
家族が全員死に、街の全員がバブル時代に乗り遅れ、貧乏生活に。
そんな中、必死に生きようとしていたらしい。
これは助けて正解だった。と、ガルグは自負していた。
あのままフィールを放っておくと、早い内に死んでいただろう。
これほどの犠牲者が出ているのかと、少し残念な気持ちになった。
その時、フィールが風呂を出た。
フィール「あの、寝巻き、ありがとうございます・・・」
少し人見知りだそうで、会話が苦手らしい。
ガルグ「いいんだ。俺も入ってくるよ。」
フィール「はい。あ、私はどうすれば・・・」
ガルグ「ああ、えっと、ソファでゆっくりしてて。寝てても良いぜ。」
そう言い残し、ガルグは風呂に入って行った。