テラーノベル
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どうも!今日は2度目です!
続編!まだ続きます!ごめんなさい🙏🙏🙇♀️!
引っ越してきた🦀✖️隣人🐱
※ちょっとなんでもありかも…
それから数日。あの日から彼を避けるようになった。まあ当然のことだろうけど?だっていきなりあんなのされて嫌いにならないほうがすごいよ。…まあ嬉しいヤツは嬉しいんだろうけど。
なんとなくだけどあの日、あいつが救急車で運ばれて行った時に風呂場に転がっていたものにも納得している。
この前はスーパーで会った。挨拶されたけどなにも言わなかった。あんな尻軽野郎とは話なんかしたくないし。…でも、スーパーで会ったけどあの日とはなんか違ったな。初めて会った日みたいに、オドオドしてた。
無視した時にすごく悲しそうな顔をしていて少し申し訳ないなぁとか思っちゃった。
もしかして、多重人格…?…わかんないけど
ぴんぽーん
いろいろ思い出していると気の抜けた音が横から聞こえてきた。あれ、なんか宅配とかたのんだっけ?いや、ないはずやけど…。
はいはい、と適当に返事をすると軽く走って玄関に向かった。
がちゃりとドアを開けると小さな隙間からのぞく。すると、見慣れた赤色が見えた。
ドアを閉めたい。こっそり逃げたい。気づいてないことを祈る。閉じようとすると、「あの!」とちょっと張った声が聞こえた。
「…はい」
「あの、ごめんなさい。謝りたくって、開けてください。お話を聞いていただくだけでもいいので、お願いします」
必死に懇願するように早口で伝えてきた。あまりの勢いに、泣きそうな表情に負けてしまい、渋々ドアを完全に開けてしまった。
「えっと、書類を見せたくって、その、玄関まで入れてくれませんか?…ごめんなさい」
「ああ、それなら玄関じゃなくて、リビングの方が、…」
やばい、相手のペースにのまれてる。…まあでも、この感じなら大丈夫…かも。
「いいんですか、それならその方がありがたいんですけど、…」
「全然大丈夫です。どうぞ」
「ありがとうございます。失礼します」
あれ、いつのまにか敬語に戻ってる、とか思っても言う気はないので別にいい。リビングに着くと床に置いてある小さな机の上にすみません、と一言告げると彼は書類を広げた。
そしてその前に座り、それを見つめた。
俺の前に彼も座ると真面目な顔で俺のことを見ていた。
『 診断書 (氏名) キヨ 様(生年月日 昭和 平成 令和 ◼︎年◼︎月◼︎日)病名:解離性同一性障害』
…なんかこれ、聞いたことあるかも。なんだっけ、多重人格障害…みたいな。
「俺は、その通り、解離性同一障害です。簡単にいえば多重人格みたいな。その、主人格という体の持ち主の他に人がいるというもの…です。そして、俺が主人格で、今いる人格は7人くらいです」
「…そうだったんですね」
「はい、なのであんなふうになってんまったんです。…でもそれを言い訳に使いたいわけじゃなくて、本当に謝りたいんです」
「あの時は、不快な思いをさせてしまい、本当に、ごめんなさい。俺のことは嫌いになってもいいです。本当に嫌いで仕方ないなら引っ越しもします。なので、どうか許してください、ごめんなさい…」
頭を下げる彼に優しく頭をあげてくださいというと紙に目を通す。人格一人ひとりに名前があるそうだ。
「大丈夫、嫌いになんかなりませんから。それよりこの前病院に入院する前にあったことをできれば、説明して欲しいです。体は大事にしてほしいので」
「…はい、わかりました」
キヨくんは少し迷った顔をした後、ぽつりぽつりと話を始めた。
「俺の中にいる人格、そのBとでも言っておきます。そいつは結構尻軽なんです。だから男性をよく家に招いているみたいで…。あの日も、家に入れたみたいで、気づいたら全部終わってて。もう怖くなって、そしたらまた記憶が飛んで、目が覚めたらいっぱい怪我してて、また記憶が飛んじゃって。そこで終わりました」
「そう、なんですね。その、怪我してたのって他の人格が出てきたってこと、ですか?」
「そうですね。自傷行為癖があるDと子供で泣き虫のEが出てきたみたいです。痛みを感じないDが引っ込んでいったら、その痛みを敏感に感じるEが出てきたんです」
あ、だから子供の泣き声が聞こえてきたんや。納得。
言葉も出てこなくって、ただこくりと頷いた。2人とも黙りこくってなぜか気まずい空気が漂う。あの、と声をかけられる。
「それだけです!ありがとうございました!ただこれから迷惑をかけたくないので、説明しただけです、ごめんなさいでした、」
「まって、!」
急いで荷物をまとめて帰ろうとするキヨくんの腕を掴んだ。そしてこちらに引き寄せると、
「これからも、仲良くしてくれませんか??!」
「…!…もちろん」
にこ
かわいい、めっちゃ、
「あと、いつか、ゲームしま、せんか」
「やりたい!俺も、レトさんと、やってみたい!」
あ、レトさんって、呼んでくれた。ちゃんと言ってくれてる。うれしい、もっと仲良くしたい。
「それと、敬語もやめていい、ですか」
「やめたい、!です!仲良くしよ!レトさん!!」
きらりと星を飛ばすほどの笑顔を俺に向けるとすぐに優しい顔つきになり、背中を向ける。
ドアが開き、光が漏れてくる。体を外に出そうとした直前、キヨくんがくるんと後ろを振り返った。急いで立ってすぐについて行こうとするとキヨくん立ち止まった。
「俺さ、レトさんのこと割と好きだよ?」
そのまま恥ずかしそうにお邪魔しました!と叫んで帰っていってしまった。
帰ると言ってもまあすぐ隣だけど、その距離ももどかしい何かがある。
「…はぁぁぁあ、反則やろ、あれぇ…」
耳まで真っ赤にして、後ろから光を浴びるキヨくんは天使そのもの。かわいさ爆発…死んでもいいわ…
「俺も好き、だって言えたらなぁ…」
小声でそう呟いた。
ーky saidー
他人にこの秘密を打ち明けたのは久しぶりだ。中々言い出せず、言っても引かれるだけと思って怖かった。だけどレトさんは嫌な顔もせず、優しい笑顔で「体を大切にしろ」と言ってくれた。
俺はレトさんのことが好き。もちろん恋愛的な意味で。整った顔も、鼻にかかるあの声も、時々眉を顰めて不審がるあの顔も。
全部、ぜーんぶ大好きで仕方ない。
“告っちゃえば〜?”
「んー、」
“せっかくのことですし、どうでしょうか…?”
「ねー、」
“いいんじゃない?いい雰囲気だしぃ”
「実際告白みたいなのしたじゃん…」
“さいごにおにーちゃんのかおみてないでしょ?”
「だけど…うーん…」
“いーじゃん!折角なんだし!いざとなったら俺が変わってやるよ、ひひひっ”
“B!静かに!”
“そーだぞ!びーにいちゃん!”
“でも、嫌われたらどうするの…傷ついちゃうよ…”
「それもそれ。しょうがないことでしょ?」
“そんなもんですよ。大丈夫、D”
“ぅん、”
“まあまあ、マイペースにいこぉ〜”
「Cはマイペースすぎなんだよなぁ…」
そう言えば人格の性格とかを言ってなかったっけ…
これ!どう?わかるかな…
A→しっかり者。主人格の俺を慰めたり、他の人格をまとめてくれる。25歳くらい。
B→尻軽野郎。誰にでも心を許してすぐえっちしようとする。28歳くらい。
C→マイペースふわふわくん。優しくってかわいい、人格の中でも精神力が強い子。17歳。
D→自傷癖のある精神よわよわくん。痛みに鈍感で人の心を読むのが得意。12歳。
E→まだまだ未熟な子供。元気いっぱい!だけどよく泣くし、痛みに敏感。5歳。
主人格→俺。子供の頃親に監禁ぽいことされててそれがトラウマになった。その時に作った(できた?)人格が今も残ってる。理解ある友達に病院に行ったほうがいいと言われて診察したら判明した。23歳。
他にもちょっといるけどまあこいつらがよく出てくるやつら。俺的には仲良くしてる…つもり。
でもよくちょっかいかけてくるし、時々めんどくさい。Bとか特にすぐ出てきて後々いろいろあったで済まされることが多い。
この前の救急車騒動もあいつのせいだし…ぐぬぬ、許せない…
まあでもBのおかげ(?)でレトさんとよく話すようになれたし、結果オーライかな…うん。
はあ、レトさんかわいかったなぁ…
俺が出ていく直前に見た顔、顔が真っ赤で天使に見間違えるほどかわいかった。でもあの人はよくモテるだろうし、もしかしたらもう恋人とかいるかもだし…無理なのかなぁ…
“ネガティブにならないほうがいいぞ〜!自分を信じろ!”
「ありがと、C…」
Cは褒め上手だし、言葉の一言一言が心に沁みる。たとえただの人格だとしても俺は1人の人として対応している。楽しいし、1人でも怖くないから。
“折角だし連絡でもしてみたら?男は食事にでも誘っとけ!意外にすぐ堕ちちまうから!”
「B、…うーん、なーんかBは方向性が違うんだよなぁ…」
まあでも前のお礼もできてないからなぁ、お食事にでも誘ってみますかぁ!
すぐそばにあったスマホをつかんで結構前に入れたレトさんの電話番号を押す。すぐ隣なのに何故か電話をしている時点で少しおかしいが直接話すのはどこか恥ずかしいためよしとしよう。
数回繰り返されたコール音の後、聞きなれた鼻声が俺の耳に入ってきた。
『もしもし…』
「あ!あの!キヨです!」
『ああ、キヨくんかぁ、びびったぁ…』
「うん、いきなりごめん。その、今日あの日のお礼したくって!一緒にご飯でもどうかなぁって…どう?この後予定ある?」
『!いやない!ない!行きたい!!』
「ぅおっ、それならよかった!」
「じゃあ◯◯ってところでいい?すぐ近くの居酒屋なんだけど…」
『え、そんなんあったんやね。知らんかった。わかった、何時くらい?』
「…できれば、このあとすぐ…」
『うん!わかった、じゃあまた後でな!』
「ありがと、レトさん。じゃあすぐ後で」
ぷつり、電話を切ると緊張が一気に解けて脱力する。あー、すぐ隣にいるのに、なんだかすごくむず痒い。
“がんばれよ!キヨ!”
全員の人格がそうやって応援してくれた。なんだか時々変わってきそうな気もする。まあいっか、あの人なら笑ってくれるはずだし!
「おー、ありがとなお前ら!」
さーて、少しオシャレしていきますかぁ!
次で終わる!終わらす!
コメント
2件
マイペースかわい、
うぉぉぉぉー!!! どのキヨも愛してます!!尊いです!✨