コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
華ちゃんは大きく首を動かし頷いた。それに少し微笑んで。
そんな華ちゃんに僕はまた質問した。
「華ちゃん、優しいお姉さんになれるかな?」
華ちゃんはさっきの態度とは裏腹にくすんだ顔をしてゆっくりと首を振った。
そして、華ちゃんの鉛筆を持った手は動いていた。
“はなは わるいこだから なれないの”
今までの字より小さくて弱々しく、ひらがなが風邪を引いたかのようだった。
「なんで華ちゃんは、悪い子なのかな?」同じように重たくなった華ちゃんの右腕が動いていく。
“はなは ようし だから”
「養子だからお姉ちゃんになるのが嫌だった?」
こくん、と効果音が着くくらい華ちゃんは頷いた。
とても暗い顔をして。心配そうに。もう僕から質問することはなかった。
でも華ちゃんの手はまだ動いていた。
“ いもうとが できたら はな きらわれちゃうもん ”
白い紙には小さな丸の水たまりができていた
。声にならない声を出して。込み上げてくる思いを必死に隠したこの時間は取り戻すことも治ることもない。
子どもは怒られたり、嫌われたりすることを嫌う。
大切で大好きな人に嫌われたくないからだろう。
だから、声に思っていることを出せなくなってしまう。
蓄積した思いは言えることもできずにひたすらに苦しんでしまうのだ。
僕は華ちゃんの小さな頭を優しく貴重品を扱うように撫でた。