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「氷と焔(こおりとはじまり)」

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「氷と焔(こおりとはじまり)」

4 - すれ違いの先に

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2025年03月15日

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第4話「すれ違いの先に」


陽翔は次第に、慧と過ごす時間が増えていった。毎日のように会話を交わし、時には一緒に帰るようになった。だが、なんだか不安定な関係が続いているような気がしてならなかった。


 (すれ違っているような気がする。)


その日の放課後、陽翔は教室を出ると、いつものように慧を探した。だが、いつもの場所に慧はいなかった。


 (おかしいな、今日は早く出るって言ってたけど。)


陽翔は歩みを早め、校舎を出ようとしたその時だった。


久我:「……あれ?」


突然、目の前に現れたのは、慧だった。だが、彼の表情はいつもと少し違っていた。


慧は陽翔を見て、微かに顔をしかめた。


久我:「……どうした?」

氷室:「いや、なんでもない」


その短いやり取りに、陽翔はちょっとした違和感を覚えた。普段なら、もう少し言葉を交わすはずなのに、慧はそのまま無言で歩き出す。


久我:「おい、どこ行くんだよ?」


陽翔は急いで慧を追いかけた。だが、慧は足を止めることなく、無言で歩き続けていた。


その姿に、陽翔は何かが引っかかるような気がして、思わず声をかける。


久我:「なんだよ、冷たくねぇか?」


その言葉に、慧は止まり、しばらく無言で立ちすくんだ。


氷室:「……別に、冷たくはない」


しかし、その言葉にはどこか力なく、どこか他人を避けるような雰囲気が漂っていた。


久我:「なら、なんでそんな態度取るんだよ。俺が何かしたか?」


陽翔の言葉に、慧は一瞬、顔をしかめた。そして、ようやく口を開く。


氷室:「お前に関わりたくないわけじゃない。ただ、俺には……」


そこで、慧は言葉を止めた。陽翔はその続きを待とうとしたが、慧はすぐに歩き出した。


氷室:「……なんでもない」


その一言が、まるで何かを隠すような感じで、陽翔の胸に残った。


久我:「おい、待てよ!」


陽翔は再び呼びかけるが、慧はそのまま無言で歩き続ける。


 (なんだ、これ?)


陽翔は急に焦りを感じた。慧が無理しているような、避けているような気がしてならなかった。


そのまま、陽翔は一歩踏み出した瞬間、慧が振り返った。


氷室:「……お前が心配だから、近づきたくない」


その言葉に、陽翔は目を見開いた。


久我:「……心配?」


慧は再び目を伏せた。


氷室:「お前が俺のことを気にしすぎると、いずれ……」


その先を言うことなく、慧はまた歩き出した。陽翔はその背中を見つめながら、何か大きな壁が立ちふさがったような感覚を覚えた。


 (心配って、なんだ?)


陽翔は頭の中でその言葉を繰り返しながら、少し遅れて歩き出した。しかし、慧の姿はすでに見えなくなっていた。


 (すれ違った。)


その日、陽翔はいつもの帰り道を一人で歩いて帰ることになった。

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