コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
-–
第4話「すれ違いの先に」
陽翔は次第に、慧と過ごす時間が増えていった。毎日のように会話を交わし、時には一緒に帰るようになった。だが、なんだか不安定な関係が続いているような気がしてならなかった。
(すれ違っているような気がする。)
その日の放課後、陽翔は教室を出ると、いつものように慧を探した。だが、いつもの場所に慧はいなかった。
(おかしいな、今日は早く出るって言ってたけど。)
陽翔は歩みを早め、校舎を出ようとしたその時だった。
久我:「……あれ?」
突然、目の前に現れたのは、慧だった。だが、彼の表情はいつもと少し違っていた。
慧は陽翔を見て、微かに顔をしかめた。
久我:「……どうした?」
氷室:「いや、なんでもない」
その短いやり取りに、陽翔はちょっとした違和感を覚えた。普段なら、もう少し言葉を交わすはずなのに、慧はそのまま無言で歩き出す。
久我:「おい、どこ行くんだよ?」
陽翔は急いで慧を追いかけた。だが、慧は足を止めることなく、無言で歩き続けていた。
その姿に、陽翔は何かが引っかかるような気がして、思わず声をかける。
久我:「なんだよ、冷たくねぇか?」
その言葉に、慧は止まり、しばらく無言で立ちすくんだ。
氷室:「……別に、冷たくはない」
しかし、その言葉にはどこか力なく、どこか他人を避けるような雰囲気が漂っていた。
久我:「なら、なんでそんな態度取るんだよ。俺が何かしたか?」
陽翔の言葉に、慧は一瞬、顔をしかめた。そして、ようやく口を開く。
氷室:「お前に関わりたくないわけじゃない。ただ、俺には……」
そこで、慧は言葉を止めた。陽翔はその続きを待とうとしたが、慧はすぐに歩き出した。
氷室:「……なんでもない」
その一言が、まるで何かを隠すような感じで、陽翔の胸に残った。
久我:「おい、待てよ!」
陽翔は再び呼びかけるが、慧はそのまま無言で歩き続ける。
(なんだ、これ?)
陽翔は急に焦りを感じた。慧が無理しているような、避けているような気がしてならなかった。
そのまま、陽翔は一歩踏み出した瞬間、慧が振り返った。
氷室:「……お前が心配だから、近づきたくない」
その言葉に、陽翔は目を見開いた。
久我:「……心配?」
慧は再び目を伏せた。
氷室:「お前が俺のことを気にしすぎると、いずれ……」
その先を言うことなく、慧はまた歩き出した。陽翔はその背中を見つめながら、何か大きな壁が立ちふさがったような感覚を覚えた。
(心配って、なんだ?)
陽翔は頭の中でその言葉を繰り返しながら、少し遅れて歩き出した。しかし、慧の姿はすでに見えなくなっていた。
(すれ違った。)
その日、陽翔はいつもの帰り道を一人で歩いて帰ることになった。