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ぬゆㄘゃん✎ܚ@中1絵師
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―――気持ちが悪い
ずっとそう思っていた。
本当の「僕」を見たらみんなはきっと失望してしまうだろう。
「アルシュレイン、誕生日おめでとう」
父上からサファイアの指輪とネックレスが贈られる。成人を表すための装飾品だ。
16歳になった僕は、誕生日パーティーの日成人を認められた。
「今日は私の誕生パーティーにお越しくださり、ありがとうございます。成人こそしましたが、これからも誠心誠意国に尽くすことをここに表明いたします」
わっと歓声が上がった。
気持ちが悪かった。
顔や財産が目当てで僕に笑いかけてくるご令嬢。
優しそうに微笑んでいる母上。
わがままを言いながら、もてはやされて上機嫌になっている妹。
壇上の上ではよく見える。この場所が嫌いだった。
「アーシュ。パーティーに終わったら部屋に来い」
胡散臭い笑顔を張り付けながら兄が僕に耳打ちしてくる。
もう、若い女性を連れて軽薄に笑っている様子を見ても、何も感じなくなった。
「アルシュレイン様!今度ティーパーティーを開催いたしますの!ぜひ来てくださらない?」
「んもう!わたくしが先にお誘いしたかったのに……」
「ぜひおいでくださいませ?」
むせるような香水に内心いやになりながらも、笑顔の「形」を作ってこたえる。
「時間があったらお伺いするよ。お誘いありがとう」
「こう」すればみんな喜んでくれる、笑ってくれる。
僕にはそれだけでいいのだ。
―――――♪
ふと、何かが聞こえた。歌うような、まっすぐで澄んでいる音が聞こえた。
いや、幻聴だろうか。
「アルシュレイン様?」
「……ごめん、ウォル。少し外の空気を吸ってくるよ」
「承知いたしました、私は遠くから見守っていますね」
「ああ、ありがとう」
そういいながらも頭の中ではその「音」でいっぱいだった。
――――♪――――♪
ドアを開けると、そこには水球のようなものが複数個浮かんでいた。
ふよふよと宙に浮かんでわずかに光っている。
(………あ、『綺麗』だ)
「―――♪……あ、アーシュ様だ。こんばんは」
「……っ!し、失礼しました。こんばんは。あなたは……」
(成人男性よりも少し高い背。セットされた少し長めのくせ毛。礼服。白い手袋。人の好さそうな笑み。長いまつげに切れ長の目。青緑色の瞳。)
(推定十代後半。視力がいいのか遠くを見つめる癖がある。右利き。)
「この度は成人パーティーにご招待いただき、ありがとうございます。俺はフライゼールから参りました、フィルフリー・フライゼールと申します。アーシュ様、ご成人おめでとうございます」
(フライゼール……。隣国の第二王子……?)
「あ、えっと……僕はアルシュレイン・ノイレスト。パーティーに来てくださり、ありがとうございます。」
フィルフリーは人差し指を傾け、静かに僕のほうに向けた。
水球が、僕の頬に触れた。
(暖かい……なんだ?これは……?)
実際、「それ」は水球ではなく、柔らかくて暖かい、丸くて透き通った絹に近いようだ。
(『これ』はまるで……)
「……!アーシュさま?」
「大丈夫です。何ともありません」
一瞬、昔を思い出したような気がした。文字を見てキラキラと目を輝かせていた、あの頃を。
「……きれいだ」
「そうですか?ありがとうございます」
「………!」
口を押える。
疲れているのだろうか、今日はどうも余計なことをしゃべってしまっている気がする。
口を触って、初めて気が付く。
口角が、ほんの少し上がっている。笑っているのだ。
(まるで、)
「『魔法』みたいだ」
「そうだよ、これは『魔法』だよ」
おかしい、『魔法』はもう『無くなってしまった』はずだ。
「不思議そうな顔をしているね。そう、『僕たち』は残ったままだったんだよ」
「えっ」
残った……?
まさか、本当に……?
「ああ、本当だよ」
コメント
2件
いや〜、るりあげはさん、第2話めっちゃ良かったです! アルシュレインの「気持ち悪い」って内心と外面のギャップ、最初からグッと引き込まれました。そんな中で出会ったフィルフリーの水球…あの「暖かい」感触、主人公が久しぶりに口角上げたシーン、ゾクっとしました。 「魔法」がまだ残ってたっていうラストも痺れる伏線ですね。続きが気になりすぎます🔥