テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
こんばんは。
初心者のほのぼのです。
初投稿なうです。
雨の日の運転は嫌いだった。
視界は悪いし、ニキは無駄にテンション上がってうるさいし。
👑「見てシード、水たまりエグ」
🚬「見る余裕あるなら前見ろや」
👑「大丈夫大丈夫」
🚬「その言葉一番信用ならんのんじゃけど…」
助手席で俺は深く座り直す。
窓に手をつけると、ひんやり冷たい。
夜の街は雨でぼやけていた。
信号も、店の看板も、全部が水の中みたいに揺れて見える。
車内では聞いた事もない古い曲が小さく流れている。
ニキが勝手に流したやつだ。
👑「なぁ」
🚬「なん」
👑「今日しろせんせーさ、お前ら付き合っとるんか?とか言ってきたんだけど」
🚬「は?」
理解が出来なくて俺は思わず眉を寄せる。
🚬「キモ」
👑「お前が毎回助手席乗るからだろ。」
🚬「だってお前の運転怖いけぇ。俺居ないとやばいやん。」
👑「助手席乗っとる時点で信用してる証拠じゃん」
🚬「してねぇわ」
👑「はいツンデレ」
🚬「殺すぞ」
俺は本気なのに関わらずニキはゲラゲラと笑う。
ほんまうるさい。
でも、その笑い声を聞いてる時間は嫌いじゃなかった。
むしろ落ち着く。
いや、なんかこれ腹立つな。
少し疲れてポケットから煙草を取り出した。
咥えて、ライターを鳴らそうとした瞬間。
横からひょい、とタバコを奪われる。
🚬「あ、おま!」
ニキが煙草を指の間に挟んで笑った。
👑「禁煙で〜す!」
🚬「人の煙草取るなや!」
👑「車ん中臭くなるじゃん?」
🚬「ほんなら停めろ、外で吸う」
👑「雨じゃん」
🚬「……チッ」
👑「顔怖」
ニキが窓を少し開けて煙草を遠ざける。
🚬「返せって!」
👑「一本いくら?」
🚬「知らん」
👑「絶対高いやつだ」
🚬「返せぇや!!」
信号で停車する。
道路脇にコンビニの光が見えた。
雨に濡れた駐車場が、白く反射している。
ニキがそこを指差した。
👑「寄る?」
🚬「また?」
👑「肉まん食いたい」
🚬「さっきラーメン食ったじゃろ」
👑「別腹」
🚬「お前の腹どうなっとるん」
ニキは笑いながらウインカーを出した。
その横顔を見て、シードはふと息を吐く。
ほんま、平和だなと思った。
ずっとこんな感じなんだろうなって。
適当に笑って、くだらん話して。
煙草取られてキレて。
そういう日が続くんだって。
勝手に思ってた。
信号が青になる。
車が動き出す。
ワイパーが水を払う。
対向車のライトが滲む。
その瞬間だった。
横から、白い光が突っ込んできた。
クラクション。
耳を裂く音。
🚬「は──」
理解するより先に、身体が浮く。
ニキの顔が見えた。
目を見開いていた。
それでも。
ニキはハンドルを切った。
シード側から逸らすように。
🚬「ニキ!!」
激しい衝撃。
潰れる音。
ガラスが散る。
視界が回転する。
身体がどこかに叩きつけられる。
息ができない。
熱い。
痛い。
何も見えない。
ただ。
👑「……シード」
掠れた声だけ聞こえた。
👑「……無事、か……」
🚬「ニキ、ニキ!!」
シードは必死に身体を起こそうとする。
でも動かない。
シートベルトが食い込む。
鉄の匂い。
血の匂い。
ニキの方を見る。
運転席が潰れていた。
ありえん方向に曲がった鉄の間で、ニキが苦しそうに呼吸している。
頭から血が流れていた。
🚬「待って、待ってや……!」
声が震える。
頭が真っ白になる。
🚬「救急、救急……っ」
スマホを探そうとしても見つからない。
指がまともに動かない。
ニキはぼんやりした目でシードを見た。
👑「……泣くなや」
🚬「泣いとらん!!」
もう声がぐちゃぐちゃだった。
🚬「喋るな……!今、助け呼ぶけぇ……!」
ニキは小さく笑った。
なんで笑うん。
なんでそんな顔できるん。
👑「シード」
🚬「喋んなって!!」
👑「……煙草、返せんかったな」
その瞬間。
ニキの手が、力なく落ちた。
🚬「……え」
雨音だけが聞こえる。
ワイパーはもう止まっていた。
赤いランプが点滅している。
シードは動かないニキを見つめる。
🚬「……ニキ?」
返事はない。
🚬「おい」
喉が震える。
🚬「おいって」
触れた手が、冷たくなり始めていた。
🚬「……嫌じゃ」
息が詰まる。
涙が勝手に落ちる。
🚬「起きろや……」
肩を掴む。
揺らす。
🚬「起きろってぇ!!」
声が車内に響く。
でも。
返ってこない。
シードはその場で崩れた。
呼吸ができない。
頭が痛い。
胸が痛い。
苦しい。
嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だ。
こんなん嫌だ。
なんで。
なんでニキなん。
なんで。
なんで。
🚬「……っぁ、ぁ……」
声にもならない音が漏れる。
シードはぐちゃぐちゃに泣いた。
子供みたいに。
みっともなく。
血で濡れたニキの服を握って。
泣いて。
泣いて。
泣き続けた。
🚬「……っ!!」
勢いよく身体を起こす。
荒い呼吸。
汗で濡れた服。
痛いくらい鳴る心臓。
🚬「……は……」
目の前には。
コンビニ。
雨。
「…い…い。シ……」
流れる音楽。
ワイパー。
そして。
🚬「戻ってる?」
👑「あ、気づいた。」
👑「てか何戻ってるって」
運転席でニキが欠伸をしていた。
シードの呼吸が止まる。
🚬「……え」
ニキは片手でハンドルを握りながら笑う。
👑「なんその顔。幽霊見たみたい」
シードの指が震え始める。
視線が勝手にニキへ向く。
生きてる。
血もない。
潰れてもない。
普通に笑っとる。
🚬「……ニキ」
👑「んー?」
声が掠れる。
頭がおかしくなりそうだった。
さっき。
死んだ。
確かに。
この目の前で。
🚬「お前……」
「どした?」
ニキは不思議そうに首を傾げる。
その仕草まで、さっきと同じだった。
そして道路の先を指差す。
赤信号。
雨に滲むコンビニ。
👑「なぁ」
ニキが笑う。
👑「寄る?」
灰依瀬 @ 不定期投稿
2,156
863
祈莉
234
ゆむちゃ
491
コメント
3件
え!!最強無敵好きなんですか!! ニキニキの優しさが逆に苦しい、……。 でも絶対ニキニキはメンバーに怪我とかないように庇いそう。 事故にあってごめんとかじゃなくて、タバコ返せんかったってのがほんとに刺さりました…🤦🏻
わあ、読み終わってしばらく動けませんでした……。最初は軽快な掛け合いにほっこりしてたのに、あの瞬間から一気に空気が変わるのが本当に衝撃的でした。「煙草、返せんかったな」の台詞で涙が止まらなくなりました。そして最後の「戻ってる?」の反転……これ、ループものなんですか? 続きが気になりすぎて震えてます。初投稿とは思えないクオリティで、心をがっつり持っていかれました。素敵な作品をありがとうございます🌷